インフレになれば景気はよくなる? 数字で検証 | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします

インフレになれば景気がよくなる。と単純に論じる人たちがいる。景気低迷の原因はデフレだと。


本当にそうなんだろうか?


20年30年前は郵便局や銀行に10年定期でおいていたら2倍になったのに・・・。という人は多い。
今はぜんぜん金利がなくて資産を増やすのも大変だ。と言ったりもする。


本当に?その間にインフレで物価も2倍くらいになってたんじゃないのか?


要は本当はインフレ率を差し引いて考えないといけないということだ。これは普通に経済学や経済に馴染みが薄い人には一瞬わかりにくいが、よく考えれば当たり前のことでみなが生活の中で実感していることだろう。


今、預金金利は0%に近いけれども、物価が毎年1%程度で下落すれば、資産の価値は毎年1%ずつ上がっている。
要は物の値段が変わらないのであれば、1%で預金しているのと同じだといえばわかりやすいだろうか。


これが給料・投資などすべてにあてはまる。


前置きが長くなった。じゃ、本当にインフレ率と成長率は関係があるんだろうか?
日銀の出したレポートの中にその相関性をIMFのデータを使って調べたものがあるのではりつける。↓



ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ

相関係数はマイナスもしくは一番高い1970年代でも0.5だ。相関係数というのは1だとこの場合はインフレ率と成長率に関係性がある(インフレが高ければ成長率が高い)ということを示す。少なくともほとんど関係性がないか、わずかしか関係性がないことをこの表は示している。(もしくは時期によってその関係性はマチマチといえるかもしれない)


少なくとも1970年以降のOECDの加盟国のデータを見る限りはインフレと成長率にはあまり関係がなさそうだ。(かなり少ない)いや、日本は特殊な状況だ。日本はデフレだからちょっと違う。という人もいるだろう。本当にそうだろうか?前置きの部分の頭の体操をもう一回思い出してほしい。


たしかに、僕もデフレはよくないと思っている。なぜなら、名目金利はゼロ以下にできないから、日銀が効果的な
金融緩和をさらに行って景気をしげきするということができないからだ。


でも、同時に、それはただの風邪薬に過ぎないのも事実だ。実証研究的にも金融緩和の効果は数四半期で
消えてしまうという。


そして、上のデータではインフレと成長率は関係性がないことも示されている。


要は日本経済の本当の実力(潜在成長率という)を高めていく努力をしなければならない。
それは政府が行う財政政策や金融政策などの風邪薬で高められるわけではない。


また、こういうと需給ギャップ論を持ち出す人がいるが、潜在成長率の測定というのは非常に難しく、世界中の経済学者や中銀・エコノミストが苦労している分野だ。本当に今の日本の需給ギャップがそんなに大きいのかという疑問も大きい。


いずれにしても、一国の経済は民間部門の活力ある健全な活動によって高められていくものだと僕は思っている。(というか世界中の経済学を多少なりとも学んだ人が思っていると思うが・・・)


参考論文

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/data/wp10j14.pdf

マネーと成長期待:物価の変動メカニズムを巡って


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