アメリカは市場原理主義の国か? | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします

アメリカと日本は違うんだ!!アメリカは市場原理主義の国であいつらはちょっとイかれているんだ。とムキになって主張する人は多い。

また、今回の東電賠償スキームにあたっては「日本はおかしな資本主義の国なんだ!だから、外人は寄り付かなくなる。」「アメリカだったらあんなことをしない!市場原理をゆがめてはならない!」と叫ぶ人も多かった。

そもそも、「市場原理主義」という言葉の定義が何かがまずわからないのだが、日本とアメリカが違うといえばすべてが解決すると思っている人は多い。しかし、日本とアメリカが違うようにアメリカとイギリスも違う。イギリス人に言わせれば、「アメリカとイギリスは違う」となるだろう。イギリス人の中には、「日本と韓国と中国って一緒だろ?」と思っている人もいる。

時に市場原理という言葉を使ってアメリカを批判し、時に市場原理という言葉を使って自分たちの国にダメだしをするのは日本人おお気に入りの常套手段らしい。

それはそうと、アメリカというのは本当に市場原理主義の国なんだろうか?

市場原理主義の一つの信条はなんといっても「自由貿易」だろう。

こんな世論調査がある。

53% in US Say Free Trade Hurts Nation: NBC/WSJ Poll


A new NBC News/Wall Street Journal poll shows that 69 percent of Americans believe free trade agreements with other countries have cost jobs in the United States, while just 18 percent believe they have created jobs. A 53 percent majority—up from 46 percent three years ago and 30 percent in 1999—believes that trade agreements have hurt the nation overall. (WSJより)

TPP反対派に言わせれば、TPPはアメリカの陰謀らしい。また、NAFTAでアメリカは1人がちしてカナダとメキシコは大変なことになったらしい。

しかし、その割りにはアメリカ人の69%が自由貿易協定は自国の雇用にマイナスと感じているという。また、53%は自由貿易は国益にならないと感じている。

もちろん、2010年の9月の調査だから景気の回復が緩慢・雇用の回復も進まないという状況下であったことは考慮にいれないといけないのは言うまでもない。

しかし、多くの人がアメリカは市場原理主義の国なんだ!アメリカ人は市場万歳なんだ!という。しかし現実はそうではない。

2010年11月の読売新聞の世論調査では61%がTPP参加に前向きであった。そもそも、TPPというあり方はいざ知らず、日本で自由貿易そのものに反対する人はよほどの変人以外はあまりいないと僕は思っている。

もちろん、これは時代背景や雰囲気によって大きく変わるものであることは間違いない。

しかし、日本がなぜ発展したかといえば、それは日本が市場を重視した国だからだと僕は思っている。そして、アメリカには意外と保護貿易主義的な面がある。(このあたりは70年代のアメリカの停滞からも説明できそうな気がする。)

いずれにしても、アメリカと日本どっちが市場原理主義かといえば、この世論調査だけを比較すれば、実は日本なのかもしれない。

アメリカを市場原理主義の国だ!と言って攻撃したり、日本の資本主義は変なんだ!と言って妙に自虐的に叫んでみる前に深呼吸して考え直したほうがいいかもしれない。

ステレオタイプ的な価値観は常に危険だといういい例だろう。

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