【チューリヒ(スイス北部)=木村正人】英中部のオールダム東・サドルワース選挙区で13日、下院の補欠選挙が行われ、中道左派の野党・労働党のエイブラハム候補が2位の自由民主党候補に3558票もの大差をつけて、労働党の議席を維持した。(産経新聞より)
イギリスの政治は優れている。民衆の民度も高い。などと言って民主党の小沢や菅直人から保守派まで、日本の政治が混迷する中でイギリスの政治に対する憧れは強い。
実際、保守党 政権はキャメロン首相のもとで正しい方向性(過剰な福祉国家を改めて、Small government,Big societyの実現)に向かって動いていると僕も思っている。その動きも想定以上に大胆だ。やるべきことがある程度見えているのに改革が遅々として進まない日本の政治からすると、イギリスの政治がうらやましいと思うこともある。
しかしだ。
前回の総選挙でイギリスの有権者は保守党に過半数を与えなかった。クレッグ 率いる自由民主党 が躍進したせいだ。自由民主党はクレッグの清新なイメージとともに若者を中心に左派からの支持をえて躍進し、保守党と連立政権を組むに至った。
英国では従来の野党と与党の党首がなじりあい常に対立しているような二大政党制に対する倦怠感も広がっていたようで、「新しい政治の始まり」と今回の連立を肯定的に捉える向きも多かった。
ただ、左派色の強い自由民主党の政策と保守党の政策は必ずしもマッチしていない。
連立内閣の中で、日本の亀井静香率いる国民新党やみずぽたん率いる社民党のようなキャスティングボードを握ってわがまま放題というようなことをクレッグは行わなかった。
ある程度連立というものの問題点を見ている日本人の僕からすれば彼の行動はきわめてフェアであると感じられた。
しかし、やはり自民党を支持した層からは納得できないのだろう。保守党の掲げた政策がどんどん実行に移される一方で自民党の政策はほとんど実行には移されず、自民党の支持率はみるみるうちに凋落した。
そしてクレッグ自身の党内での求心力も急速に低下しているといわれている。
今回の選挙で自民党候補が想定以上の大敗を喫したことで予想よりも早く連立政権は崩壊するかもしれないという懸念も出てきた。
残念ながら、一部の日本人が民度が高いとするイギリスの有権者が連立とはどういうものかというのをわかっていなかったようだ。
政治的にはクレッグはもっとキャスティングボードを握っている立場を生かして自身の政策を実施するように求めるべきだったのかもしれない。しかし、それがイギリスの将来にとっていいことには思えないし、フェアでもないだろう。
ドイツでもCDUと連立を組む自民党の支持率の凋落が著しいという。
チュニジアなどに独裁政権に対する不満があり、日本では連立の不安定さに不満がある。一方で日本が範にしたいと思っているイギリスの政治にも同様に問題がある。二大政党制も一党独裁も連立もすべて問題がある。ま、当たり前といえば当たり前だ。
どこの国でも政治というのは常に問題を抱えている。何がベストかというのは常に難しい問題のように思われる。
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