永遠のビギナーのブログ -25ページ目

有用性の裏面

(悪意ある使われ方をした機会に)有用なものを禁止したがる人への説得例として包丁の例が挙げられると思います。

つまり、包丁は基本的に料理を作るためにあるのであって、人を刺すためにあるのではない。道具が悪意を持って使用される例があるという理由でその使用、または所持を禁止すべきではない。このブログで何度も繰り返していますが、私は自由"万歳"主義者なのでこれらの意見に同意することは多いです。が、もう少しここでは考えてみましょう。

包丁はたいていのご家庭にある一般的なものですが、これがそうではないとしたらどうでしょう。たとえば(なぜかは分かりませんが)非常に不気味な人の家にしか無いものだとしたら、多分周囲の人は気味が悪く思うでしょう(それが誤解だとしても)。

非常に有用なものが、金額的に値がはるもので大きな企業しか持っていないとしたらどうでしょう。多くの場合、有用さはそのまま悪意を持って使用された場合の被害と相関関係にあるでしょう。ここまでですと曖昧で、いろいろな人が様々なものを想像するかもしれませんが、ここでは今度の3月に改訂されるグーグルのプライバシー条項です。様々なサービスをIDで紐付けて連携するのは特に珍しくありません。それでもここまでの巨大企業がやるとなるといろいろと問題も起こりそうです。が、一番の問題は収集する情報がのべつ幕なしと言った感じのものである所です。何しろ電話をかけた相手の電話番号、SMSの内容、本当にのべつ幕なしです。

まあ、グーグルは世界中の情報を束ねたがっている企業(別記事:WikiLeaksとテロとインターネットの今後) ですのでそういう欲求があるのは仕方がないかもしれませんが、今回の件では同時に自制心も欠けている企業であることも吐露しています。自制心の欠けている所にはたやすく悪魔の誘惑が来ますから、例の社訓(Don't be Evil)が守られなくなる日も近いのかもしれません(ひょっとするともうなっているのかもしれませんが)。

まあ、一方的に責めるのもあれなので巨大データを所持していること(最近のパズワードだと、ビックデータ)に寄る有用性の一端を私の考察から。

以前、迷惑メールフィルターと集合知の観点から記事を書いた が、一方(多分皆さんも同じだと思うが)Gmailではほとんど迷惑メールは来ない。おそらくほぼ確実に弾いているか、以前の段階で確実弾かれるようになったので迷惑メール発送業者(以降、送信業者と呼称する)もう送るのをあきらめたのか、そのどちらかであろうと推測している。私の以前の記事が正しければ、グーグルはどのようにして弾いているのだろう。以降は私の推測である。

多分集合知とは関係がないのであろう。とはいえ、巨大なデータ(ここではメールアドレス)を管理していること依存しているのは間違いないだろう。送信業者は非常に短い時間に大量の宛先に似たような(おそらくは本文の相手先の名前、またはアドレスが違う程度の)内容のメールを送りつける。その際迷惑メール固有の最も重要なデータはおそらくURLだ。これが迷惑メールを依頼した業者(以降、依頼業者と呼称する)の稼ぎ先だからだ。とはいえ、URLを数日程度で転々とする業者も多いと聞いているのでこれだけが決め手になるわけでもない。しかし、URL以外も似たような内容だからベイズ推定で疑わしいものは絞り込める。疑わしい単語(たとえばバイアグラとか)の出現位置を転置インデックスをつけて類似性を見ても良い(これはベイズ推定の範囲内か)。何より単純で圧倒的な力を持つのは、非常に短時間で大量に来た似たようなメールを全て迷惑メールにしてしまえば良い。ここで「似たような」の判断基準にベイズ推定を使う。

送信業者のビジネスが成り立つのは非常に安価に、つまり短時間に大量の、メールが送れるからでこれが成立しなければビジネスは成り立たない(通常、送信業者は送信だけでビジネスをしている)。一方、グーグルは大量のメールアドレスを保持しているので、送信業者が差別的に送信しなければ大量の迷惑メールを短時間で受け取る。従って、グーグルは短時間で受け取った似たようなスコアを持つメールを破棄すれば(または迷惑メールホルダーに入れれば)良い。

そのための技術的な仕組みは(大量データを短時間で処理する必要を除けば)簡単だ。通常のWebメールサーバの前に別のメールサーバ(以降、ガーディアンと呼称する)を置く。ガーディアンは通常のメールサーバと異なり、単純にバケツリレーをしない。ある程度の時間プールしておいて受け取ったメールのスコアリングを行う。ある単語で似たようなスコアを持つメールが閾値以上ある場合破棄される(ここら辺は実際にはもう少し複雑だろう)。一定時間以上保持されたメールは通常のWebメールサーバーへ転送される。電子メールは転送にかかる時間を規定していないし(そもそも転送処理そのものも保証されていない)、特に問題にはならないだろう。受け取りが遅くなると言った文句は可能ではあるが、不要な迷惑メール処理に追われる時間の方が普通の人にとっては切実だろう。

この仕組みと似たような仕組みをグーグルが採用していると仮定すれば、ここには集合知は存在していない。ただ大量のデータの保持とそれを短時間で処理する仕組みが存在しているだけである。

まとめ:
1)有用性はその裏に危険性も秘めている。
2)包丁のロジックが説得力を持つのは一般的に所持可能なもので、そうでなければ恣意的な運用の危険性が増大する。
3)グーグルの今回のプライバシー条項改訂は自制心を欠いているように思える。
4)大量のデータ保持とその処理能力の組み合わせはうまく使えば有用だ。

iCloudのバックアップがあまり役に立たない件

先ほど、ちょっとした誤操作でiMessageのデータを一件消してしまった。なのでリストアしようと思いiTuneへ接続。

どうも、OSの再インストールからやり直すらしい。そんな時間の無駄は止めにしてほしいのだけれど仕方がない。おそらくWindowsの二の舞を踏まないようにしているのだろうと思う。Windowsは消えたはずのものが消えていないので「クリーンインストールからアプリのインストール」と「重ね重ねのインストール」でパフォーマンスがかなり違う事態が起きてしまったからそれを避けたいのだろう、と想像する。

今の状態をバックアップするかと聞かれるので、当然念のためにバックアップをする(思えばこれが間違いだった。)。Appleになにやら問い合わせてバックアップデータを選ぶ。さて困った。時間の記述がどこにもない。全部同じ名前だ。そして実は自分の環境では前の3GSと今の4Sも同じ名前になっている(これは仕方がない。端末を乗り換える時に既存の端末からデータを継承すると名前も継承する。しかも端末の名前を変更することは出来ない)。つまり複数端末が同じ名前で並列に存在し、時間の記述がないのでどれをバックアップデータにすればいいのかわからない。さっきバックアップしなければ最新のバックアップデータがこの端末であることは明白だったのだが。

そういうわけで、あきらめてiMessageを消えたままで復活させる(時間がもったいないから)。これが大事なデータであればさらに時間を費やす(というより費やさざるを得ない)のだが。

そういうわけで、
1)複数端末が同じ名前になる。
2)バックアップデータ名に時間の記述がない。
などの条件が重なると非常に面倒なことになる。

Appleではせめて
端末の名前を変更できるようにするか、バックアップデータに時間をつけるぐらいはしてほしい。というか、後者は当たり前だと思うのだが。

たしかMac上でバックアップをとっていた時にはデータに時間が必ずついていたのだが。こうなると大事な端末はiCloudでバックアップをとらない方がいいかもしれない。

組織的とは何か?

さて新年も幾分過ぎました。新年早々からアホに「アホ」と言う文章を書くのも気が引けたのでなかなか書けないでいましたがこのままだと今年中書けなくなりそうなので意を決して書くことにします。

さて、かなり旧聞に属しましたが今日はここ 。




そうです、オリンパスの上場廃止に関するお話です。技術的なことは詳しくありませんので結論の妥当性は問いません(個人的にはかなりおかしいと思っていますが)。

組織的とはどういうことを指すのでしょうか。参照先を伝えるニュースで「組織的犯行ではない」ようなニュアンスで伝えるニュースがあったかと思います。おそらく以下の部分をさしてそう伝えているのでしょう。「一連の行為は、会社組織としての関与が認められるものの、その発端となった損失の発生やその後の隠蔽行為は、一部の関与者のみによってなされたものでした。」(以降「」内引用)

ただし別の箇所ではこういう記述もあります。「本件については、代表取締役を含む複数の取締役が関与していたうえ、監査法人からの指摘に際して損失の隠蔽が発覚するのを逃れるために虚偽の説明を行い」

であれば、少なくとも虚偽の説明を行ったのは”組織的”ではないのでしょうか?

私は”組織的”とは以下のように定義します。

『知るべき人が知っていて、かつその一部に組織のトップが含まれている時、それは組織的である』と言う。

この組織のトップとは代表権を持つものか、それとも取締役全体に拡張すべきものかは議論の余地があると思いますが、今回の件については菊川氏が代表権を持っていたことを考えると、私の定義に従えば間違いなく”組織的”です。

つまりオリンパスは、上場企業が公表すべき情報について”組織的”に虚偽の情報を公表した、ということになります。

このことが市場においてどのような評価を得るかは、株価を見れば良いのですが不思議なことに東証は「同社の本業における経営成績を拠り所とした市場の評価を著しく歪めたものであったとまでは認められませんでした。」と述べています。「市場の評価」とは通常、株価でしょう。東証は市場を経営している立場ながら市場の価格形成能力は当てにならないと言っているようです。つまり、市場としての健全な存在価値はないと自ら告白したわけです。

私がここで述べた話は全て公開情報に寄っています。東証のトップも知っているはずのことでまた多分知っているでしょう。従って東証は”組織的”に自らの市場としての価値を大きく毀損したと思います(非公開の、ここでの結論に大きく影響を与える情報があれば別ですが)。

まとめ
1)オリンパスは、上場企業が公表すべき情報について”組織的”に虚偽の情報を公表した。
2)この件で東証は”組織的”に自らの市場としての価値を大きく毀損した。