加藤憲一さんの「地域自給圏」という言葉がわかりにくい。
そんな声をききます。
そこで、そのことに、私なりに答えたいと思います。
本人に確認をとるわけでもないので、違うかもしれませんが、加藤さんが市長在任中からも、
そして20年に退任してから4年間、共に同志としてこの動きで気脈を通じ共に汗を流してきたものとして、そんなに違わないと思うので、簡潔に書きます。
地域自給圏=食エネ自給圏
そう、まずは読み取ってみてはどうでしょぅか?
地域で自給できるものを自給することをとことん追求する
これが、どうして、地域づくりの最重要課題なのでしょうか?
人間の生存に必要なもの
水
食料
エネルギー
これに
住むところ
衣服
交換手段としてのお金
があれば、最低限、人間は生きていけます。
私がやっている営農型太陽光発電=ソーラーシェアリング=アグリボルタイックを思い描いてください。
小田原カナゴテファームに集う若者たちも加藤憲一さんを応援しています
農業をやりながら発電をする=電気(エネルギー)を作るということです。
農業をすれば農作物が出来ます。お米もお野菜もできますね?電気も作れますね。
今は、農地で作った電気を物理的に離れている自分の自宅に届けることも出来ます。
つまり、自家消費です。
電気が出来れば、地下に埋設されている「水」をくみあげることも出来ます。
そーいうことを、どの家庭でもやることが出来るのです。
それが「自給」という事です。
自分で作る電気なのですから、基本的に電気代はかかりません。かかったとしても、普通の電気代より安くなります。
そうやって、水代かからない、エネルギー代かからない、そういう風にすれば、可処分所得は増えますね?
それを、育児に使ったり、貯蓄に回したり、色んなことに使えますね?
家計も助かります。
ややマクロ経済的に考えれば、光熱費として油代として出て行っているお金が
18万6千人の小田原市は年間440億円あると言われています。毎年それだけのお金が出て行ってしまう。
油に頼らないエネルギーというのは、これは自然エネルギーしかないのです。再エネですね。
太陽光、風力などです。木質バイオマスなんかもいいんですよ。もちろん、水力も。
再エネ比率を地域で高めることは、地域のエネルギー自給率を高めていきます。
そうすれば、地域の外に出ていくお金を地域内に留めて、そのとどまったお金を地域の中で回す(再投資する)ことが出来ます。
エネルギー自給率を20%にすれば440億の2割である88億円が地域内にとどまり再投資されます。
それは乗数効果が作用するので計り知れない効果を生みます。
地域に雇用が生まれ、新しい産業が育ちます。
あるいは、エネルギーを地域で作り、そうして出来たエネルギーを使い切らずに余らせることとなれば、
それを売ることで外貨を稼げますね。
そして、その稼いだお金を、例えば交通困難地域のお出かけの足としての公共的なバスの運行の財源に充てる、とかすればいいのです。
こういうことをドイツとかオーストリアではやっているのです。
そうした取り組みを
シュタットベルケ
と言います。
そういう社会、それは、みんなで支えあい、分かち合う社会を作る、という事です。
農業をやらなくなってしまったような農地をうまく使いながら、食べ物や電気(エネルギー)を作る。
そうして出来た食べ物やエネルギーを地域で使うのです。
耕作放棄地がよみがえり、農地が活き活きとし、そして、地球温暖化対策にもいい。
そういう社会を作ることが
加藤憲一さんがいう「いのちを守り育てる地域自給圏」なのです。
放棄地を蘇らせたソーラーシェアリングの田んぼでの田植え後の様子
ですから、地域自給圏は単に環境の事だけではないのです。
究極の地域経済活性化策であり、地方創生であり、新しい資本主義そのものなのです。
経済、経済、経済でもある。
同時に脱炭素政策であり、エネルギー政策であり、農業政策でもあるのです。
ですから、わかりにくい事なんてなくて
家計の所得を増やしていく政策でもある、という事も先に述べた通りです。
そんな意味では、福祉の政策でもあります。
地域自給圏を、食べ物、エネルギー、福祉の自給と言い換えたのは他ならぬ経済学者であった内橋克人さんという人でした。
そのことからも地域自給圏が経済政策なんだよ、という事がお分かりいただけると思います。