消化不良感の否めなかった金曜日のフォーラムとそれを受けた新たな展開 | おやまだやまと公式ブログ『推譲(すいじょう)』

 

 

 

先週の金曜日に開催した「農業・農村の将来ビジョンをエネルギー自給戦略から考える」

 

 

と題されたフォーラム。

 

 

 

 

 

営農型太陽光や木質バイオマス事業の第一線で取り組む実践家、自治体関係者、大学の先生を擁して開催されました。

 

会場は150人の定員をほぼ埋め尽くす盛況ではありました。

 

私も仲間が多数参加している、という事もあり参加しました。

 

ちょっとこの間のことについては個人的に思う事もあり、また、当日も思う事は多々ありましたが、

 

それを書くと私憤ととられるので書かないこととすることで私なりに大人の配慮を示します。

 

ただ、ちょっと全体的に残念だな、と思う事、それから、フォーラムの中で、

 

そこはソーラーシェアリングを実践するものとしてちょっと僕のケースとは違うな?と思う事

 

それから、

 

本当は意見を述べさせる時間というものがあったはずなのですが、それもなくなるという、ちょっと本来であれば失礼じゃないか?と思う事もあったのですが。

 

まあ、そういうことは時間が無くなってなし、という事はあることなので大目に見たいと思います。

 

そういう意味で全体を通して、詰め込みすぎ感は否めないフォーラムだな、という印象は受けました。

 

もっと言えば深堀が出来ないな、という感じでしたがそーしたことも含めた上で感じたことを書きたいと思います。

 

まず、ちょっと感じたのは、実践家としては、今の国の動向というのはソーラーシェアリングについては推進しようという感じではなくなっていると感じる中で、


今回のフォーラムではソーラーシェアリングに可能性がある、バラ色であるかのような印象を受けるのですが

 

そうじゃないな

 

という事です。

 

ソーラーシェアリングについては、農地法施行規則への根拠づけなど制度の改正がこの春に行われました。四月からその制度に基づいて運用が開始されました。

 

これを農水省は「ソーラーシェアリングを規制したものではない」と言いますが、多くの自治体関係者、農業委員会担当者は「規制強化」と受け止めています。


実際、私が接する神奈川県内の多くの農業委員会担当者、県の担当者もそうした認識です。


私も実は今、新制度での農地転用手続きをしてますが、書かされることは多くなっているな、という実感はあります。


ただ、死ぬほど大変とはまだ思ってません。意外にいけるか?とはおもいますが、


実は現場の農業委員会事務局も良くはわかってないから試行錯誤なのです。


そのあたりは、ここに参加した人はリアル感ないからわかんないだろうな、とはおもいますが…

 

世の中的には規制強化の動きの中で、しかし、日本で脱炭素や再エネ比率を高めるという公約を成し遂げるには農地での太陽光発電=ソーラーシェアリングは有望な選択肢です。


単なる野立ての太陽光は農地を守ることにはならないところ、ソーラーシェアリングは農地も守り脱炭素も推進することが出来るからです。

 

そうであれば、国の規制強化の動きに警笛を鳴らしつつ、

 

一方において、食料・農業・農村基本法でエネルギー自給戦略が記載されていないことを問題にしながら、食料安全保障、エネルギー安全保障に資する営農型太陽光発電をしっかりと位置付けるということをどう進めていくか?ということをもう少ししっかりと議論してほしかった。

 

また、今回のフォーラムの登壇者は、いわば農村地帯でエネルギーを作っていくことに必ずしも反対でない、どちらかというと推進する方向の人たちしか来ていないわけです。

 

私は、このフォーラムについては、お話しされた早稲田の元副学長で名誉教授の堀口先生に、




ソーラーシェアリングを推進する人、反対する人、反対とは言わなくても少し懐疑的、疑問を持っている人、そういう人ともひざを突き合わせて議論をすることが必要だと申し上げてきました。

 

ところが、今回はどちらかというと発電事業者というか、発電を推進したい人たちしか結果的に集まらなかった。

 

そこは主催者の意図として、もう少し間口を広げないと、ソーラーシェアリングも広がらないし議論も型落ちになると思うのです。

 

率直に書けば、発電を推進したい人たちだけでまざまな討論をする局面は過ぎた。

 

国民的議論を喚起するには、同じ山を登ろうとしているのだけどソーラーシェアリングにはちょっと懐疑というか疑問を持っている。

 

そういう人たちとも胸襟を開き膝附合わせる議論の場を作らなければならない、という事です。

 

私は今回、発電に興味がある、推進する立場の人しか登壇しなかった。

 

そのことも影響していると思うのですが、結果として聴衆、参加してくれた人を見ても、

 

本来、地方自治体の政策を考え、執行する自治体行政職員関係者が極めて少なかった。ほぼ〇でした。

 

私も小田原市、松田町、開成町、いずれも首長にも(小田原は除いて)声を掛けましたし、農業委員会関係者、環境部系には声をかけましたが参加は〇でした。

 

このことは本当に残念です。

 

これは実践家だから言いますが、農業委員会も、農家も、およそ農業に関わる人というのは、

 

そのマジョリティーはほぼ「ソーラーシェアリング懐疑論」です。

 

ここを変えなければ、これ以上の議論の広がり、深まりは期待できないのです。

 

そこの視点が残念ながら今回のフォーラムは希薄だったと僕はストレートに書けば思っています。

 

また、その声は、残念ながら届かないな、と思いました。

 

そう、思ったら、自分でやるしかないでしょ?笑

 

もう一つの視点を書きます。

 

自治体職員にとって、ソーラーシェアリングも、農村や農業分野でのエネルギー自給という観点は全然刺さらないし、興味関心がないのです。

 

本当は、地域で経済を循環させる地域経済循環論からも、

 

消滅可能性都市問題を抱える地域経済の活性化の観点からも

 





エネルギー自給、食料自給すなち食エネ自給という観点は極めて重要なのです。

 

いみじくもフォーラム当日に発売されたこの本をパラパラとめくり読みましたが、エネルギーの地産地消、自給圏という視点からの言及は全く無いのです。


これは地方創生を考える意味でもかなり象徴的な欠落です。


国が今一つ自然エネルギーを推進したいという姿勢を持っているのかどうか?疑わしい中、

 

どう国の動向もにらみながら(そうはいってもカーボンニュートラルはお題目としてはある)

 

お金を獲得して、自治体独自の交付金を作ることが出来るか?

 

そのヒントは私が関わる小田原市にあるようにも思います。

 

小田原市では、重点速化地域に選定されたことで営農型太陽光に対する補助があります。

 

脱炭素先行地域に指定されたことで、地域のエネルギーを地域の行政施設、公共施設でグリッドを使って地域で融通するエリアエネルギーマネジメント(AEMS)計画が進行しています。

 

行政が民間と協力・連携することでソーラーシェアリングのエネルギーを地域の地産地消の肝にする。

 

その結果、食べ物もエネルギーも自給し、耕作放棄地解消、食料自給率向上、農家の担い手不足の解消などにもつなげることが出来ます。

 

そのモデルこそ、未来への希望ではないか?

 

そのことを多くの行政関係者に示したい。

 

 

以上のような意味で、5/10のフォーラム開催を待つ前から、自分がやりたいフォーラムをやろうと思い準備を進めていました。

 

そして、先の述べた小田原モデルの話は今度、全国町村会の小野さん(経済農林部長)とやりとりをして全国の町村に配信する小田原モデルという事で取材をしてもらうことにしてもらえるという事となりました。

 

これらをまとめた統合的フォーラムを下記で行います。

 

10月4日(金)13:00-18:00、場所は、LIFULL Table(東京都千代田区麹町1-4-4)

 

ソーラーシェアリングサミット2024

 

登壇者は、

 

行政の立場を代表して

 

首長である

 

神奈川県松田町町長本山博幸さん、

 

全国町村会小野文明経済農林部長、

 

神奈川県小田原市の環境部の幹部

 

農業関係者からは

 

全国農業会議所稲垣専務理事

JA関係者

 

を招聘します。

 

そうです。

 

ソーラーシェアリングを全面的に賛成の立場でない方たちとも議論をする場としたいという事でこのような仕込みとしています。

 

今回は、千葉・エコエネルギーの馬上社長と私で企画します。

 

馬上さんからソーラーシェアリングに関する説明を、農業経済学の大御所、堀口健治元早大副総長から基調講演をいただくほか、

 

事業構想大学院大学の重藤さわ子さんにも登壇をお願いしました。

 


更に若者世代からの提言としてZ世代の皆さんでの討論も通じて、

 

持続可能な食料・農業・農村の在り方のなかでのソーラーシェアリングの位置づけと可能性を明快にする

 

ことで、今まで、同じゴールを目指しながらなかなか交わることのなかった人たちと新たなプラットフォームを作る新しい局面を構築したいと思っています。

 

最後に、フォーラムの中で出ていた

 

融資は14円の買取価格でないときつい、という趣旨の意見が出ていましたが

 

それは、小田原かなごてファームの事例ではその限りではありません。当方は税込み12円でも融資はしてくれています。但し、補助金が半分入るのでその点が違うのかもしれません。

 

ただ、個人的に金融機関とつめの協議をしているものとして、価格がこうでないからやらない、という事はなく、そのことであえて言われるとすれば

 

「農地転用の期間は10年で取得してくれないと融資は難しいです」という部分ですね。