THE　人間力考察！！

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先日、DEBU-G君がブログの中で「人間力とはなんぞや」的なことを書いていらしたので、ここはアンカー的な感じで現時点での私的人間力論を語ってみようかと思う。

人間力。

これなぁ、人によって解釈が実に様々だろうなと思うのだが、要するに万人に共通するコレ！！みたいな究極の答えは絶対に出てこないだろうな、というのがある意味答えではあるｗ

が、それが結論ではさすがにプライドが許さんのでいきますぜ。

人間力が高い、となると私の頭に浮かぶのはまず説得力があるかどうかである。
何かを発言したり体現したりした時に、そこに強烈な説得力が宿っていればすなわち人間力そのものが高いのではないか、とする推測、仮説である。

でもコレだと言い方は悪いが少々妙なモノを背負ってるヤツ（霊的なもんのことなｗ）や口だけが妙に達者なヤツ、空間掌握力だけは長けているケースなんかも含まれてしまうし、オーディエンスの姿勢も問われるので正直ビミョーかなとも思う。
例えば、超絶技巧派の演者だったりした場合。
ステージの上ではものすごい演技を見せるが普段はクソだっつー場合も少なくないだろう、芸術肌の人間はとかく不安定だったりもするから一点集中型だとこうなることも想定しやすい。
これだと言動による説得力ってのは一概にコレとは言えないよね。

そこで、私の脳裏を掠める、昨年のとある記憶について話す。

当時クライアントさんだったとある女性から、ある日連絡がきた。
私がサザエが大好きだという情報を知った彼女が実家からサザエを送るという内容である。
彼女のご実家は東北の海辺の町。
ご両親は漁師をされていらっしゃるとのことだった。

サザエが来る！！と聞いてなにも考えずに小躍りしていた私の元に数日後、その大きな小包は届いた。
両手で抱えるには少々大きい発泡スチロールの箱に、やまほど生きたサザエが詰めてあったのだ。
数えたところ、１００個近くそれは入っていた。

うちの近所のスーパーで買えば余裕で１個５００円だの１０００円だのするのが東京で見かけるサザエだ。
それが１００個近くも生きたままで入っている。
私はしばし呆然としたｗ

その後すぐにクライアントさんだった女性に確認を取った。
彼女のお父様が海へ入り、取ってきてくださったものだと言う。
東京の知り合いに送りたいからと頼んだところ、すぐに行ってくださったようだ。

彼女の話では、お父様は誰かに何かをあげる、と言うとすぐにそのように大量の海山物を獲ってきては食べきれないような量を箱に詰めて寄越すのだと言う。
お父様はとかく無口で、多くを語らない方でいらっしゃるとのこと、しかしいつも誰かに何かをと言うとそうやってご自身の仕事を黙ってこなし、生きた魚や貝を送られるのだそうだ。

私はそれを聞いて、涙が止まらなかった。
会ったこともない名前も満足に知らないどこか遠くの人間のために、東北の冷たい海へ何時間も潜ってサザエをやまほど獲ってきてくださる初老の男性の背中を思うと唇を噛み締めずにはいられない、不思議な衝動に駆られたのだ。

彼から見たらただ、娘から頼まれたから、それだけだろう。
しかし、そこには見栄や傲慢さ、自己顕示欲やエゴなどまるで欠片もないではないか。
こんなもの、誰も見ていない、評価しない。
ましてや送る相手を知らないのだからそもそも期待のしようがない。

もうただただ、相手が誰かなどはまるで関係なく自分のやれることを最大限している、本当にそれだけだ。
そこには言い訳も大義もなにもない。
お父様はご自身の仕事を最大限、淡々とされただけに過ぎない。

一度もお会いしたことも話したこともないお父様のその静かでなにもない、しかし壮絶な生き様を思うと、身を正さずにはいられない。

ちょっと考えてみて欲しい。
アナタは誰か知らない人のために、お礼はあるかわからない、金になるわけでもないのに何時間も北の冷たい海に潜って１００個サザエを獲ってこれるか。
仕事だったらできるとかそういう問題じゃないだろう。
これを普段からやってのける平常心と懐の深さみたいなもの。
コレはさすがに人間力の高さじゃないかと私は思うのだ。

彼は口数が少ないと聞く。
つまり、言葉で言う説得力では劣るだろう。
しかし、数十年かけて培った体と勘と技術を惜しみなく体現している。
そこにはなんの期待もなしに。

きっとその背中は、とんでもなく強く太いオーラを帯びていることだろう。
いつか彼にお会いしたい。
それが私の夢のひとつだ。