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孤独な道標 【第九章】~計略③~

【第九章】
≪計略③≫

「みるく、俺・・・風邪引いたみたいなんだ。もう、3日も寝込んでる。会社も行かなきゃいけないのに、このままじゃいけない。なあ、みるく・・・おまえの作ったお粥が食べたい。」
「みるく・・・みるくが俺の元に戻って来てくれないのなら、俺はこの世に生きている価値がないような気がする。俺は・・・このまま・・・。」

みるくからメールが返ってきた。飛んで火に入る夏の虫とはこのこと。

病人のフリをするのも辛いものだ。わざわざ有給を2日取り、無償髭を生やして髪もぼさぼさにした。これで演出はOKだ。

部屋の鍵を開け、狸寝入りをしながらみるくが来るのを待つことにした。
みるくがこの部屋に来てくれることが嬉しかった。また俺の棒を見たら、むしゃぶりついてくるに違いない。何だかんだ言っても結局はこの棒が恋しいんだな。

赤ずきんの童話にはおつかいを頼まれて森に住むおばさんの家に向かうと、おばあちゃんに化けた狼が赤ずきんを食べるというくだりがあるが、これから俺がしようとしているのは狼のように食べつくすことだ。

赤ずきんを罠にかけ、食べつくす。全てを飲みこみ、俺の身体に入れるんだ。

ドアを開ける気配を感じ、すぐさま狼のように顔がばれないように背中を向ける。

「らしくないよ。お粥、作るから・・・とりあえず、食べて滋養をつけて。」

赤ずきんは優しく話しかけ、台所に消えていった。

これから狼が赤ずきんを食べることも知らないで、暢気な赤ずきんだ。

台所にいるみるくを抱きしめ「俺、2日、風呂に入っていないんだ。背中流してくれないか。」とお願いをした。

「お風呂はいれるわ。でも、一人で入って。私は彼女じゃないからそんなことまでしたくない。」

そそくさと風呂場へ行く姿を横目に、俺は狼に豹変していく。

みるくが作ってくれたお粥を食べ十分に栄養をつけると俺はみるくを抱きしめ、何度も何度もキスをした。
服を捲ると身体中にいくつかのキスマークがあった。男がいるのは明らかだった。

「これだけキスマークがあると少しくらい増えたってわからないな。おまえが浮気しないようにこうやってマークをしてるみたいだが、俺には通用しない!」

「やめて・・・もう、淳介の彼女じゃないの。もう、淳介のものじゃないの。」
力が抜けおとなしくなったみるくを食べに食べつくした。

狼は赤ずきんを食べることに成功したように・・・。

その後の赤ずきんの物語の結末など気にもしなかった。