2022. 5. 22 (日) 18 : 00 ~ ビーコンプラザ フィルハーモニアホールにて
J.M.ルクレール:2つのヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 Op.3-3
(清水高師(Vn)、栗原壱成(Vn))
J.S.バッハ:パルティータ 第2番 BWV826 ハ短調
(マルタ・アルゲリッチ(Pf))
ピアソラ:ファイブ・タンゴ・センセーションズ
(三浦一馬(Bandneon)、清水高師(Vn)、栗原壱成(Vn)、小峰航一(Vla)、辻本玲(Vc))
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44
(マルタ・アルゲリッチ(Pf)、清水高師(Vn)、栗原壱成(Vn)、小峰航一(Vla)、辻本玲(Vc))
ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
ヴァイオリン:清水高師、栗原壱成
ヴィオラ:小峰航一
チェロ:辻本 玲
バンドネオン:三浦一馬
待ちに待ったアルゲリッチ音楽祭復活 新型コロナのため2019年以来3年ぶりの開催なのです 3年ぶりにアルゲリッチ総裁の御身を拝見できる!と楽しみでしょうがなかった
日曜なので (翌日朝も仕事早いし)ほんとは昼間の時間帯に開催してほしかったですが(博多までJRで帰ると0時近くなる)、渋るオットを道連れにw別府まで行きました (だって夜遅く別府公園あたりひとりで歩くのとても怖いんですよね・・)。
例年なら、大分のiichikoホールと別府のビーコンプラザの一方がオケとの共演、一方が室内楽コンサートで毎年それが交代するのだけど、今年は両会場ともに室内楽で、オケとの共演は東京と水戸のみだったようだ。
別府駅からホールまで徒歩で約20分。3年ぶりに歩く別府の街、歩道のアスファルトに一定間隔でつけられているアルゲリッチ音楽祭のマーク(それをたどっていくとホールへ着く道案内となっている)は風化してしまってなんのマークかわからなくなっていて年月の経過を感じた。
例年だと会場で色んなグッズやCDをボランティアのおばちゃんたちが売っているのだが、コロナのためそれもなし。オンライン購入になっていた。
今回の寺西基之氏による曲解説はコチラ
1曲目はジャン=マリー・ルクレール (Jean-Marie Leclair)の2つのヴァイオリンのためのソナタ から第3番。
ジャン=マリー・ルクレール (1697-1764)
(画像はwikipediaよりお借りしました)
この曲初聴きだったが、予習で第1番から第6番まで全部聴いてみたらどれもすごくよかった!あとでまた聴くために載せておきます。
J.M ルクレール:2つのヴァイオリンのためのソナタ第1~第6番 (1時間5分55秒)
(今回の第3番は17分47秒~30分56秒まで)
/ アントン・マルティノフ (Vn), クレメナ・ニコロヴァ (Vn)
実際の演奏でのおふたりのヴァイオリンは上のyou tubeに比べるとやや安定路線といった感じで欲を言えばもう少し躍動感があったらいいなと思った。第2ヴァイオリンの方の音程が時々微妙に不安定なのがやや気になった(あくまで主観)。
次はアルゲリッチによるJ.S.バッハのパルティータ 第2番 BWV826。
シンフォニア (Sinfonia)、アルマンド (Allemande)、クーラント (Courante)、サラバンド (Sarabande)、ロンド― (Rondeaux)、カプリッチョ (Capriccio)の6曲から成る。
アルゲリッチの独奏の曲はバッハかシューマンの「子供の情景」のどちらか、ということで開演直前のアナウンスで初めてバッハと明かされた。
私がこの音楽祭に通い出してからこんな風にアルゲリッチのまったくのソロ演奏が演目に組んであるのはほとんど初めてかも。それまでソロがあるとしても娘同伴だったり。アルゲリッチがソロで弾くのをすごく嫌がってるのは知っていたので、今回の音楽祭では各地でソロが組んであるのは正直驚いた。よく彼女の承諾がとれたなぁと。
コロナ禍の間、無観客でのソロ演奏の映像を撮影したりしていたがなにか彼女の中で心境が変化したのだろうか。そして彼女の今の心境はバッハなのだろうか。
登場するまでに結構間があったので、きっと舞台袖でゴネてるんだろうな~wと思いつつ待っていた。舞台が明るくなっただけで登場する前から皆拍手 みんながどれだけアルゲリッチをこの別府で待っていたかがうかがえる。
この作品は若い頃にも録音があり、彼女のお気に入りなのかもしれないが、久々に聴く彼女のピアノ、本当に素晴らしかった ”あまり響いてこなかった”と呟いてらっしゃる方もいたが、それは席のせいでは? 私の1階平土間の席にはガンガンと響いてきた。若いときのこの作品の演奏とはまたちょっと違うと思うが、現在のアルゲリッチにしか弾けない演奏だろうと思う。
そしてテクニック的にも3年前と全く変わらず全然衰えていないのにも驚愕特に最後のカプリッチョなどもう圧巻でした。天賦の才能もさることながら、このレベルを保つために毎日ものすごく練習しておられるのだと思うのだ。超素晴らしかった
(画像はアルゲリッチ音楽祭の公式ツイッターよりお借りしました ©脇屋伸光)
演奏後は1階やバルコニー席のあちこちで、Brava !と一文字ずつ書いた紙を掲げる方々(地元の後援会の方々?)がおられて、アルゲリッチも「あら、まあ!」と笑顔で応えていた。
演奏の様子を少しと拍手に応えるアルゲリッチの様子が地元のニュースで放映されたそうなので載せておきます。 よかったらご覧ください。
また、同曲の彼女の演奏の動画があったのでこれも載せます。
J.S.バッハのパルティータ 第2番 BWV826 (19分23秒)
/ マルタ・アルゲリッチ (Pf) (2020.10.13 Görlitz Synagogue Lausitz Festival)
この動画、演奏終了後にアルゲリッチがどこに行ったらいいかわからずさまようように手前に歩いてくるのがおもろいw
休憩後、後半最初はピアソラのファイブ・タンゴ・センセーションズ。
アストル・ピアソラの生涯については彼の命日の7月4日に書いたことがあります。
ピアソラが大好きな私 なのでこの曲を聴くのも楽しみだった。
この作品はピアソラが亡くなる前年の1991年に作曲され、「眠り」(Asleep)、「愛」(Loving)、「不安」(Anxiety)、「目覚め」(Despertar)、「恐怖」(Fear)の5曲から成る。前述した寺内氏の解説にもあるように、晩年のピアソラの心境を映し出すような内省的なメランコリーを感じさせる作品。
上の記事内にも書いているし、以前Eテレの「ららら♪クラシック」でも観たことがあるがバンドネオンってめちゃ難しいんですよね~。
三浦一馬さんは初めて聴いたが、めちゃめちゃうまい
予習で聴いていった色んな動画のバンドネオンよりうまい気がした。
バンドネオンって(全然詳しくないので恐縮ですが)じゃばらを弾いたり押したりして音を出すという単純なものではなく、それによって強弱はもちろん、様々な感情など非常に幅広い表現ができるのだとあらためて再認識した。そしてさらにバンドネオンが大好きになった 三浦さんかっちょええ~ コンサートあったら行ってみたいな。とにかくピアソラ万歳!
(画像はアルゲリッチ音楽祭の公式ツイッターよりお借りしました ©脇屋伸光)
そして最後はシューマンの「ピアノ五重奏曲」。
この曲は2017年6月の第19回別府アルゲリッチ音楽祭でも聴いた(ただしこの時は第1、第2楽章のみ 🎼)。
この作品もアルゲリッチのお気に入りなのか、色んなところで色んなメンバーと頻繁に演奏していて録音もある。
ちょうど1994年1月にアルゲリッチが来日してこの曲を演奏した動画があったので載せておきます。今回のメンバーのヴァイオリンの清水さんも第2ヴァイオリンとして演奏、若き日の豊嶋さん(ほとちゃん(蛍原徹)みたい)やマイスキー、そしてアルゲリッチもお若い!冒頭にインタビューがあります。
シューマン:ピアノ五重奏曲 Op.44 (33分29秒)
/ マルタ・アルゲリッチ(Pf), 加藤知子(1stVn), 清水高師(2ndVn), 豊嶋泰嗣(Vla), ミッシャ・マイスキー(Vc) (1994年1月16日 昭和大学人見記念講堂)
そして実際の演奏は予想通り(?) アルゲリッチがぐいぐいと引っ張って(あるいは煽る(?)w)、それにくらいついていく弦の4人、という感じだった。
個人的には特に低弦のおふたかたがよかった。特にチェロの辻本玲さん。一度聴いてみたいと楽しみにしていたが、頻繁にヴァイオリンの清水さんやアルゲリッチの方を見ながら弾いていらした。第3楽章が華々しく終わったとこで、終わったと思って拍手したかた多数。隣のオットも拍手していたw
アルゲリッチはソロだけでなく室内楽のピアノも絶品なんですよね~。共演メンバーに応じて合わせ方が絶妙。そしていつも思うのが、共演した人たちはアルゲリッチマジックでどんどん実力以上のものを引き出されている気がするのだ。
(画像はアルゲリッチ音楽祭の公式ツイッターよりお借りしました ©脇屋伸光)
例年だとアンコールもたくさんやってくれるが今回はなし。恐らくコロナで時間制限があるのかもしれない。
その代わり、何度もカーテンコールに応えてくれた。
客席ではまたあちこちで Brava !を紙に一文字ずつ書いたものを掲げた方たち。(!マークの紙が上下反対になっていて、i になってて、「ブラばい」と博多弁ぽくなってた人たちもww)
アルゲリッチは気を使って、舞台の端から端に移動して手を胸に当てて感謝を表していた。
まもなく81歳になられるアルゲリッチ総裁。いくつになられてもその笑顔はとってもチャーミングでほんとに魅了される
来週末も大分に遠征する予定です
この日終演後の38秒ほどの短いインタビューです
「なんて言ったらいいのかわからないけど、ここ(別府)には特別な愛情がある」とおっしゃっています。ありがたいお言葉
マルタ・アルゲリッチ監督のコメント
— 別府アルゲリッチ音楽祭 (@59xdZQ1x4ApUXmB) May 23, 2022
別府公演を終えて
ここ別府で演奏されることは海外や他の地域と違いますか。
-毎日違う場所で演奏すれば、違う気持ちを感じます。でも別府に対しては特別な愛着があります。https://t.co/C4YM9INkxO#アルゲリッチ#別府アルゲリッチ音楽祭 #別府へおいで
帰りの別府駅