2018. 12. 16 (日) 14 : 00 ~ 福岡シンフォニーホールにて
<NHK交響楽団 特別演奏会>
チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」 Op.71
序曲
第1幕 第1場:I. クリスマス・ツリー II. 行進曲 III. こどものギャロップと新しいお客の登場
IV. 踊りの場(ドロッセルマイヤーの贈り物) V. 情景とグロース・ファーター踊り
VI. 情景(クララとくるみ割り人形) VII. 情景(くるみ割り人形とねずみの王様)
第2場:VIII. 情景(松林で) IX. 雪のワルツ
第2幕 第3場:X. 情景(砂糖の山の魔法の城で) XI. 情景(クララと王子)
XII. ディヴェルティスマン(嬉遊曲)
a. チョコレート(スペインの踊り) b. コーヒー(アラビアの踊り)
c. お茶(中国の踊り) d. トレパーク(ロシアの踊り) e. あし笛の踊り
f. ジゴーニュおばさんとピエロ
XIII. 花のワルツ XIV. パ・ド・ドゥ(序奏ーヴァリアシオン(第1)タランテラ
ヴァリアシオン(第2)こんぺい糖の踊りーコーダ)
XV. 終幕のワルツ~アポテオーズ
指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ
合唱指揮:大庭尋子
NHK福岡児童合唱団MIRAI
NHK交響楽団
まさにチラシの謳い文句どおり、フェドセーエフとN響からの最高のクリスマスプレゼントだった
このコンビの「くるみ割り人形」(全曲)は、12月12日(水)・13日(木)にサントリーホールでN響の定演Bプロとして演奏され、この日の(なぜか)福岡公演で最終日だったのだが、3回とも聴いた方(この方のことはあとで書きます)の話では、「今日が一番よかった」とのこと。(その方の感想では12日の1回目の演奏はオケの演奏がちょっとギクシャク?していたとのこと)
だとしたらそんな演奏が聴けてラッキー
フェドセーエフ&N響の演奏を聴くのは今年2度目。夏に大分公演でショスタコ5番などを聴いた。ほんとはその前日に鳥栖公演も行く予定だったのだが、あの豪雨災害で当日中止になってしまった だけどフェド様ファンとしては、2度も聴けて幸せ
ちょうど昨年11月にフェドセーエフとチャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ(以下TSO)で「くるみ割り人形」のフェドセーエフによる抜粋編を兵庫芸術文化センターで聴いた(そのときの記事はコチラ)。 その時はまだくるみ割り人形のバレエも観たことがなく、当然ストーリーも知らず、全曲も聴いたことがなかった そのあといつもお世話になっているブロガー様からフェドセーエフのCDをおススメしていただき、早速購入。いまや私の愛聴盤となっている。
そのあと購入したラトル&ベルリン・フィルの全曲盤もすごく好きです。
チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」(全曲)
3,786円
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(これDVD付きのものもあるようです。)
私はバレエも昨年の今頃テレビで一度観ただけなので、曲を聴いてバレエの各場面が思い浮かぶほどでは全然ない。でもバレエが思い浮かばないからこそ逆に曲自体に浸りきって堪能することができたと思う。
組曲版とか抜粋版などよりも全曲版の方が断然いいと私は思う!
聴いていると、単なるバレエ音楽というよりも何だか壮大な交響詩のようだ。決して子供向けだとか単なるバレエの伴奏音楽ではないと思う。
実演を聴くとひとつひとつの曲が(CDで聴くよりも)一層美しくて、チャイコフスキーの偉大さをあらためて思い知った。 もっと全曲版を聴く機会があるといいな。
実際の演奏について
東京での前2公演を聴かれた方々の感想を拝見すると、皆さん”テンポが遅い”と書いてあった。
聴き始めたときは、「普通のテンポじゃないかな」と思っていたが、”ドロッセルマイヤー”のあたりからゆったりとしたテンポになってきた。第1幕が約60分くらい、第2幕が約50分くらいだっただろうか。(例えば12回の鐘の音なんてすっごくゆっくり。ラトル&BPOなんか”チンチンチーン♪”みたくめちゃ早いんだが・・)
ただそのゆっくりのテンポが何ともいえない味わい深さがある。 第1幕の松林の場面そして最後の児童合唱団が入る雪のワルツを聴いていたらジーンとなった 児童合唱団の歌声が本当にきれい まさに天使の歌声でした
そしてなんといってもフェドセーエフの指揮がいい!指揮棒を持たない両手はまるで舞踊家のようにしなやかで柔らかいので、それを観ているだけでも繊細な表現が伝わってくる気がする。時折横を向いたときにその表情も見えたが、一音一音を慈しむようなその表情が本当にチャーミング インタビューでもよく語っておられるように、チャイコフスキーを本当に愛してやまないのだなぁと思った。
オケは冒頭の序曲~クリスマス・ツリーあたりまでは若干バラつきがあるような気がしたが、それからはノッてきたのかとてもよくなった。N響聴くのはまだ3度目だったが、この日のN響が一番いいと思った。やっぱりうまいな~とあらためて思った。
フルート首席の甲斐雅之さん、めちゃめちゃうまかった! チェロの桑田さんは途中椅子から立ち上がらんばかりに熱く弾いていたのが印象的だった。 個人的にはハープがもうちょっと美しい音色だったらなぁと思った。高音になるとなんか乾いた硬い音に聞こえてしまった。
この日はコンマスはマロさん(篠崎さん)、ヴィオラ首席には川本嘉子さんが座っていたが、へえ~!と思ったのが、曲によっては途中ヴァイオリンやヴィオラなどが最前列のプルトだけが弾いたり、あるいは最前列と2列目のプルト奏者だけが弾くところがあり、すごく興味深かった。 (バレエでの)オケピットに入っての演奏だったらこういう細かいところまで観察できないので、得した気分になった
余談ですが、来年3月で定年を迎えるオーボエ首席の通称もぎぎこと茂木大輔さん、来てくれるのをすごく期待してたんだけど・・来てなかったーー!!!
私は絶対来るだろうと勝手に思っていて、あとでサインもらえるようにもぎぎの本とマジックまで持参していたのに~~
もぎぎ最後の雄姿をぜひ観たかったのでそれだけがすごく残念でした・・・
この日が「くるみ割り人形」の最終公演だったので、終演後はフェドセーエフがステージの後方などに歩み寄って、各楽器の首席の方々と握手をして労をねぎらっていた。
フェドセーエフもこの長丁場ずっと立ちっぱなしで(後ろの手すりにも全然もたれなかった)さずがにお疲れの様子で、指揮台から降りて舞台袖とステージを行き来するときの足取りが最初は少しおぼつかなかった。指揮をしているときは全然年齢を感じさせないが、歩く姿を見るとやはりお年なのだと思う。なんてったって今年86歳!本当にすごい。
終演後は出待ちをしている人だけにサイン会をしてくれた。フェドセーエフはCDやパンフなどにこだわらず何にでもしてくれる。
(待っていたら、楽屋口からマロさんが出てきてサインや写真やらで多くの人に囲まれていた。)
で、フェドセーエフを待っているときに前にいた男性の方に話しかけられた。
その方はマエストロの超大ファンらしく、今回の公演もサントリーホールの2公演を聴いてわざわざ福岡まで聴きにきたらしい 「次回フェドセーエフ&TSOの来日は2020年3月みたいですね」と私が言うと、「(マエストロのお年を考えるとそこまで待ってられないから)モスクワまで聴きに行くかな~」とおっしゃっていた。彼らの公演を聴きに今までも何度もモスクワ音楽院の大ホールまで行かれているそうだ
「マエストロは(自分の顔を見たら)きっと表情が変わるから見ててごらん。」とおっしゃっていたが、ほんとにそうだったの!フェドセーエフはそのかたのお顔を見た途端、「あら~よく来てくれたね~」という風に笑顔を浮かべてロシア語でしゃべっていた。フェドセーエフに顔を覚えられているくらい常連なんだろうけど、すごい!見ているこちらもなんだか嬉しくなった。 アクロスのスタッフは握手も写真も禁止!と叫んでいたが、私が感動を伝えるとマエストロは自ら手を握ってくれた。ほんとに優しい
その超大ファンのかたと「これからもマエストロの健康長寿を祈りつつ応援がんばりましょう!」と固い握手を交わしてお別れした
そのかたの情報だと、28日のモスクワでのTSOとの公演が年内最後になるらしい。
どうか来年もお元気でご活躍されますように心からお祈りしています!!
フェド様サイコー そしてチャイコフスキーもサイコー
フェド様にサインもらっちゃったもんね~