『少年皇族の見た戦争』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。


『少年皇族の見た戦争』
久邇 邦昭、PHP、2015年




旧皇族・久邇宮くにのみやとは、伏見宮ふしみのみや 邦家親王の第4王子・朝彦親王が創設した宮家で、大東亜戦争の終戦後に臣籍降下されたお家ですね。その宮家に生まれた邦昭氏の自伝といった感じですね。

ガチの皇族であられた氏の幼少の頃からのお話が載っており、皇族とはこのような生活なのかと興味深く拝読しました。



昭和天皇のお后であった香淳皇后こうじゅんこうごうは邦昭氏の叔母にあたるそうで、大正9年に色盲の遺伝があるので結婚を取り止めるべきだと騒ぎになった事件の話もあったり、海軍での訓練のことなども。



そして大東亜戦争の激化、広島・長崎への原爆投下、敗戦。皇族として戦争を阻止できなかったのかという想いの丈を語られています。昭和天皇はご存知の通り立憲君主であり、政治にとやかく口を挟めません。それもあって皇族も政治に口を出すことに躊躇したのではないかと書かれています。

とはいえ、当時の社会情勢を見るに、皇族の方が戦争反対を訴えてもダメだっただろうし、昭和天皇が反対を唱えたらクーデターとか起こって国内が大混乱の中で開戦になっちゃったことでしょう。。



日本人の精神的構造の欠点は、ろくに考えず大勢に流される付和雷同なところだといい、正確な十分の情報を求めて合理的現実的な判断につとめることが大事だと熱弁され、マスコミに煽られ熱狂したことら反省しなければならないと仰っています。そこは確かに。



戦後、民間人になられてからは海運会社に就職し、平成2年には神宮なの大宮司に就任。平成13年まで勤められたようです。