『体育館の殺人』
青崎 有吾、創元推理文庫、2015年
こうして、完全犯罪の下準備は整った。
神奈川県立風ヶ丘高校の旧体育館で、放送部の生徒の刺殺体が発見された。
事件当時、密室状態の体育館の中にいた唯一の人物である女子卓球部の部長に容疑がかかっていることを知った部員の袴田 柚乃(はかまだ ゆの) は、学校一の天才と噂される男子学生・裏染 天馬(うらぞめ てんま)に事件の解決を依頼する。
学校内の部室棟〝開かずの部屋〟で寝起きしているというアニメオタクの駄目人間・天馬は、卓球部員たちから報酬を受け取ることを条件に事件の調査を開始。
現場近くのトイレに置かれていた傘を出発点に、圧倒的なロジックによって天馬が導き出す真犯人の名前とは。
とある高校の体育館で起きた生徒殺し。施錠と目撃者の証言から密室状態であった体育館で、犯行があった時間帯に一人でいた生徒に容疑がかけられるところから、何故か学校に住んでいる裏染 天馬が引っ張り出されることになります。
百人一首研究会という名ばかりの部室で密かに暮らしていて、重度のアニオタ兼引きこもりで愛想もなくぶっきらぼうな男。でも、恐ろしいまでに頭の回転が早い。
この事件を担当する捜査一課の仙堂警部や、刑事でもある柚乃の兄に迷惑がられながらも調査を進め、今時珍しいくらいのガチガチのロジックで謎解きを行ないます。読者への挑戦もあるし。