
夜中。
冷蔵庫をごそごそやってる娘に、
どう?
「・・・どうと言われましても」
「薬に頑張ってくれとしか」
(まーたそういう言い方をする・・)
(一緒に居てくれた彼女もこういう言い方してたな)
先週日曜日昼過ぎ。
起きて来た娘「ぺたん。」リビングに座り込む。
掠れた(かすれた)声で、
「くどさんぶ」
え?
「9度3分」
ありゃ。伝染ったか。
いや・・それにしちゃ潜伏期間長いな。
喉は?
「痛い。」
今日日曜だから明日朝、様子見て病院行きなさい。
翌朝。
熱は?
「9度8分」
うわ。
病院は?
「行かない」
「寝てれば治る」(俺か?)
咳が酷い。
木曜日。
「熱下がったから病院行って来る」
は?(言ってることがわからん。熱下がったから外に出れるてこと?)
午後遅く「ぶすっ」と不機嫌で帰宅。
恐らくこれは保険証を取りに『あっちの家=母親宅』に寄ったからだと。
どうだった?
「舞妓プラズマ」
あーやっぱりね(コロナよりはマシ・・なのかな?)
以来今日に至るまで酷い咳止まらず。
以来今日に至るまでずっと不機嫌。
まぁいんだけどね。
早いもので娘が来て今月末で半年。
Canon 1台、Canon白レンズ 1本、ハッセルブラッド 1台、ライカ用レンズ 1本。
あろうことか『カスタムショップ製ストラト』
を売っ払った。
生活費の為に。
ここまでやらなきゃだめかな?と思う何度も思う。
だめなんだろうな。
その度に思う。
多分、娘は四面楚歌で行き場所も居場所も無いんだろう。俺が最後の砦なのかな。
まぁ・・俺も、ここ何年も四面楚歌みたいなもんだし。
似た者親子か。
潰れるまで付き合うか。
それでもいずれ居なくなる。いずれ俺は死ぬ。
これが俺にどんなに都合悪かったとしても、
これは俺が昨日まで生きて来た結果だ。
たくさんの女の人に嫌な想いをさせた。それがこういう形で最後に返って来たんだろう。

前職場で二番目に偉い方からメールを頂く。
「色々ときつい部署に配属しちゃってすまなかったね」
「出来る限りのことはするから何でも言ってね」
恐れ多くもありがたい限りだ。
偉すぎてあまりコミュニケーションを取れなかったのに気を遣ってくれる。
当たり障りの無い(だって今更文句言ってもしょーがないじゃん)返信をさせて頂く。
更に返信で、
「kenさんの居た部署に空きが出て募集が掛かります」
「ひょっとすると連絡が行くかも知れません」
「スルーをお勧めします」
あははは。
本庁で直属の上司だった方からも、
「どうしてる?」
「全力でバックアップするからいつでも相談して」
本当にありがたい限りだ。
俺、大して仕事出来なかったのにね。
それでも今だに仕事決まらず。
何か他の生き方を考えた方がいいのかもな。
木こりとかマタギとか刀鍛冶とか。

夜中。
上半身裸で寝てる胸が痒い(パンツは履いてる)
ぽつぽつする。
じんましん?
半分寝たまま、
カリカリ
掻く。
指先に何かある。
垢?
あり得る。この汗だもん。いやでも俺、シャワー浴びて・・・ないです。朝、筋トレ後に浴びたっきり。
ん?
・・・これって。
ひょっとして・・・
目を開けて起き上がり電気を点ける。
リビングの絨毯の上に敷いた布団。
の脇。
窓側から廊下に斜めに横切るように幅5cm長さ4mくらいの、
アリの大群
数百匹いや1000匹は居る。
小さな3mmくらいの蟻がびっしり。
良く外で見る『蟻の行列』がリビングの布団の脇を行進中。
はぁ・・(どーしたもんか)
大名行列かよ?
俺のガタガタ音で娘、隣の部屋から、
「どうしたの?」
これ。
「ありゃあー」
普通なら悲鳴を上げる所だろうけど、サファリパークみたいな家に住んでると大抵のことじゃ驚かない。
とりあえず殺虫剤。
けど『ひと部屋ワンプッシュ』を「しゅっこしゅっこ」やったもんだから俺と娘「げほげほくるしーっ」呼吸困難涙目になる。
だってたくさん居るんだもん。
時計は午前1時過ぎ。
この時間に掃除機掛けるのもなぁ。吸ったところで死ぬわけじゃないからなー
ぴこーん♪
閃いた。
施設から大量に出た廃棄のコロコロを(許可を得て)持って帰った。
コロコロ
プチプチ
コロコロコロ
プチプチプチ
ゴロゴロゴロー
プチプチプチプチー
駆除し終わったら3時過ぎてた。

武蔵野の雑木林の中の日陰の一本道。
真正面に大きな大きな積乱雲。
大家とラーメン屋の帰り。
なぁ?
「ん?」
俺達、
あと、
何回くらい夏を見れるかな?
「10回・・・くらい?」
そうだろうな(いや大家、お前は酒やめない限り10回は無理だ)
ジャーンプっ↓
