忘れられないCinema&Music
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ミユキについて58

ミユキに過去の恋愛をひとつひとつ裸にされて、逆に彼女の恋愛は小出ししか知らさず、あげく思いもよらない場所で恋愛の秘密をつぶやくように言われるとムラムラと気持ちがたかぶるのだ。

ある時、銀座の蕎麦屋にミユキと入った。

その時蕎麦を食べながらミユキが言った。

『昔の彼とここでお蕎麦食べたことある』

『へ~っ』
受け流すように返事をすると。

そのとたん、ミユキはこう続けた。

『それでね、あそこに泊まったんだ』

ミユキの指差す方を見ると三井ガーデンホテルが卑猥な感じてそびえている。

男というものは彼女の昔の男にさえ嫉妬するものである。

こんな事もあった。

ミユキ姉妹が住んでいる私鉄の駅から少し離れた所にある地下鉄の駅の近くを歩いていた時の事である。

駅周辺はちょっとした商業ビルや飲食店があり賑やかである。

地下鉄の出口は何ヵ所かありそれらに直結しているが、中には何でこんな所に地下鉄の出口がと思えるものがある。

それは、住宅街に近いところに申し訳のように取って付けた様に存在している。

エレベーターもないのでほとんんど使われない死んだ階段である。

そんな階段のそばを歩いていると。

『あっこの階段懐かしいなぁ』

『えっ、どうして』

ミユキはちょっと言いにくそうに語り始めた『昔ね、年下の男の子と付き合ってた事があるの』

おっ、若い頃の純愛の話しかと思わせておいてとんでもない方向へ話が進むのであった。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ジャズピアニストが作曲した名曲をもう一曲。

エロルガーナのミスティと同じくジャズの領域を遥かに超えポピュラーになっている、盲目のピアニストジョージシアリングの 『Lullaby of Birdland=バードランドの子守唄』である。

このBirdlandとはかつてマンハッタンにあったジャズクラブであり天才チャーリーパーカーのニックネームであった Birdからネーミングされている。

スターダストは全世界で1800以上のカバーが存在すると言われているがバードランドの子守唄もかなりのカバーがある。

今日はオリジナルのジョージシアリングのトリオで。

でもオリジナルに勝るとも劣らないカバーがたくさんあるのも事実である。

ミユキについて57

ミユキの追求を何とかかわしたが、一方的に攻め立てられるのも納得がいかないので反撃を試みた。

その時ふと浮かんだのは、僕の部下のM子にミユキが話した初体験の話だ。

祖父の恩人の孫が大学生になった時にミユキの家で預かりその彼を家人が留守の時に布団部屋に誘い込んでやってしまったという話だ。

僕は何も知らないふりをして『で・・・君の初体験は』と聞くと。たんたんと答え始めた。

『M子に聞いた?』

『まあね』

『ゴメンね』

ゴメンねの中には、そんな処女の捨てかたをして、またはあなたより先にやらせてしまってという意味が含まれているように聞こえた。

『だっていろんな情報が入ってきてやりたくてしょうがなかったの』

『でも、たしか中3の時だよね・・・ませてたよね』

『普通よ』

『いいな僕も下宿したかったなぁ』

『たいしたことないわよ。だって回りに若い男が彼しかいなかったから』

『彼もまだ経験無かったんじゃない』

『そうよ、だからぜんぜん上手く行かなくて。そこじゃないそこじゃないって言ってたわよ』

『そこじゃないってことわ、あそこじゃないところに入れようとしたんだよね』

『うん、ぜんぜんだめでそのうちに彼の物がしぼんじゃったの』

『だからわたしお口でしてあげたら元に戻って、彼があわててわたしのあそこに射し込もうとしたら入り口に頭が入ったところで行っちゃったの』

『そうなんた。だけど上手くなったね』

『その後彼がどれだけ上手くなったか解らないけど・・・子供を作るだけの機能しかなかったと思うわだってセンス無かったもん』

『センスが無いか・・・気を付けよう』

『私はセンス有るから』

『良く解るよ』

『で・・2番目の男は』

『2番目は・・・あっダメダメいっぺんにバラしちゃだめだと父親に言われてるのに』

『うそだろ』

『今度その場所に行ったら、そこでどんな風にやったかおしえたげるからね』

完全にミユキのペースにはめられた。だがその後に彼女がやったという場所に行く度に嫉妬にさいなまわれる事になった。続く

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

センスがあるという事で思い出したのがジャズピアニスト・・・エロルガーナーである。彼は正式に音楽を学んでいない。だから楽譜が読めない。自分のトリオでの演奏ばかりだ。しかし後世に残る  名作を残した。『ミスティー』である。

ミユキについて56

不二子と別れた夏。毎日イライラして胃が痛む日が続いた。

まだ若かったが、目の前にある海に泳ぎにも行かず。軽井沢も清里もとんでもなかった。

だが、秋風が吹き始め赤トンボが舞い日が短くなるにつれて少しずつ気持ちが回復してきた。

晩秋には回りを誘っては飲み会を毎日のように開催していた。年の瀬にはすっかり不二子の痛手は過去の物になった。

そして不二子の事は思い出さなくなった。

人間とは単純なものである。

それを、ミユキは思い出させたのだ。

ミユキの追及は更に続いたのだが、ここでは割愛する。

ただどうしても1人忘れられない小悪魔についてだけ記しておく。

理系女の(じゅんこ)というキラキラネームの走りの名前を持つ女の子がいた。漢字で書くとちょっと読めないが読み方が解るとなるほどと思う。

ミユキは『この女はなんて名前なの、ろくがつこ?』と敵意むき出しで聞いてきた。

『じゅんこだよ』と言うと、吐き捨てるように『バカな親』と言った。

『じゅんこ』は大学を卒業して化粧品会社の研究所に務めていた。そして司法試験を受けている彼氏がいた。

しかし彼はバカなのか司法試験に3回続けて落ちて『じゅんこ』もいやけがさしていた。

そんな彼女と異業種交流会で知り合った、しかも彼女の家も湘南であったのが運のつきだった。

いろいろあって、関係が出来きてしまうと直ぐに彼氏の事を相談された。

『私もういっぱいいっぱいなのもう彼と別れたい』

『別れればいいんじゃない』こちらは気楽に答えていた。

『じゅんこ』は言った『彼に別れたいって言ったら、最後にヨーロッパ一周してから別れようって言うのよ』

『へぇずいぶん大仰な事を言うんだね』そんなやつでは恐らく何年たっても司法試験に通るはずもないと思った。

『きっとヨーロッパに行けば私の気持ちが変わると思ってるのよ・・・バカなのかなぁ。そんなんで変わるわけ無いじゃん。私はもう彼を切ったんだから司法試験なんて最初から彼には無理』

『怖いなあ女って。だったら行かないで別れた方が・・・』

『行くわよ、だってヨーロッパは行きたいもん会社を辞めて行くわ。彼はヨーロッパに1ヵ月行こうって言ってるのよ』

『おいおいそんな事・・・大丈夫なの』

『もう、会社には言ってあるの。それであなたにお願いがあるの』

『えっ・・・お願いって』と僕は身構えた。

『私、彼にキッパリと言ったの。この旅行が最後だからって』

『へぇすごいね』
と僕は相づちを打ったものの、実際には帰って来たら元のさやに収まっているのではないかと思った。

しかしそれを打ち消すように『じゅんこ』はこう言った。

『私、彼にヨーロッパから成田空港に到着したら到着ロビーでお別れよって』

『すごいなぁ、だって帰りの飛行機に乗るまで1ヵ月も同じ部屋に泊まっててやりたい放題やられてるのにそんな風にいくのかな』

『あなたも女の本性が解ってないのね。私だって真面目そうに見えるけど学生時代に1日に2人の男とやったことあるんだから』

『えっ!うそだろそんな事してたんだ。まあ、若いときにはそうゆう仕事で稼ぎたくなることもあるさ』僕は余裕を持って返事した。

しかし彼女から返って来たのは予想外の返事だった。
『仕事じゃないわよ。付き合っている男が嫌になって、その時好きな男が出来て一時的に重なったのよ』

『それの方が怖いよ、だって1日にだろ』

『そうよ午後に別れ話したら、泣かれてしょうがないから嫌々やって、夜は好きになった人とまたやっちゃっただけよ』

『男には無理だ、別れるつもりの女とは』
しかし、考えて見るとこちらがふられる身になれば最後の1回お願いしますと言いたくなる。でもなかなかやらせてはもらえないのがおちだ。

『女は大丈夫、風俗だって同じ事よ』
そら恐ろしい発言だ、風俗嬢であれば理解出来るが、一般の女子大生しかもかなりレベルの高い大学の理系女ですらこの有り様である。

『でね・・・あなたへのお願いは』

『じゅんこ』のリクエストはヨーロッパから成田空港に帰国する日に車で迎えに来てくれというものだった。

だいたい1ヵ月以上先の約束で到着便と車寄せの場所を指定されてもおいそれとは信用出来ない。

だが若くて無駄がたっぷりで余裕のある人生を進行中の僕はだまされたらしょうがないと思い成田空港の指定場所に車で行き彼女を待った。

指定の便は定刻に到着した。

待つこと30分いや40分彼女が荷物も持たず出て来て助手席に乗り込んだ。

『ただ今。ありがとう』

『彼はどうした?』

『大丈夫よ旅行中さんざん言い聞かせたから、でも最期までうじうじ言ってたけど』

『それで彼はどこに行ったの』

『私は荷物を宅急便で送るからついて来るなと言ったの。それでも付いて来ようとしたから・・・』

『それで?』

『ここで別れなきゃまたズルズルとしてしまう。あなたのためなのよ。勉強頑張ってて言ったら涙流して嗚咽してたわ』

『それで?』

『あなたは電車で私はリムジンバスでって言ったら、じゃあいつまでも見送らせてくれって』

『ふ~ん』

『でね聞いて、見送りだといって付いて来ようとするから、彼の足を指差してそこから一歩も歩くなと言って駆けて逃げてきた、彼が見えなくなってから舌だしてやったわ』
恐ろしい女である。当然こんな女とは長続きしない。だんだん疎遠になって行った。

しかしそれから1年も経たないうちに彼女は結婚した。相手は研究所の上司だった。

どう考えても司法試験の彼氏と僕をつまみ食いしている一方でやり手の上司をこましていたに違いなかった。

昨年のR研のO嬢の出現で同じ理系女の『じゅんこ』を思い出した。彼女は頭は良かったが下半身で好き勝手していた。

O嬢の出来事もあれはおかしい。直ぐにばれるようなインチキ研究を頭の良いO嬢が何の目的もなしに発表するはずがない。

きっとO嬢のあの事件も男女間の裏話が存在するに違いないと思うのである。数年経てば事件の真相が解るかもしれない。

女とは怖い、度胸も行動力も男のかなうものではないのだ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

さてジャズは死んだと言われてもうかなりの年数がたつ。

テクニックの競いあいの中でモードが生まれフリージャズが生まれた。

そして民衆の心が離れるとヒュージョンやエレクトリックやいろいろに別れジャズって何という常態になってしまった。

クラシックが人がやらない無調だとか十二音技法だとかが現代音楽とか言われ民衆から離れてしまったのと同じ道を歩んだ。

一番の特長は既成の音楽理論に縛られない音楽を作りたいという事から発し特に和音に対する不信感、和音に縛られない音楽を作りたいということである。

先進的な音楽をやって中心にいた人たちは我こそトップを走っていると自負していた。

そして民衆は離れても一部の先進的な理解者のみに向けて発信されていた。

しかし、気が付けば後ろには誰もいなくなった。人間は後にならなければ気が付かないのである。

ジャズを代表する巨人を一人だけ挙げよと言われればマイルスデイビス。クラシックの巨人はベートーベン我々は何十年も前のジャズ、百年以上前のクラシックを聞き続けまた実際に演奏されている。

いろいろな説があるがジャズは死んで50年近くクラシックは既に100年近く経っている。

我々はその前の時代の作品を崇めたてまつりまたミュージシャンもその時代の物しか一般的には演奏しない。

しかも人類は何度やっても同じスパイラルにはまる。今のポピュラーミュージックにも同じ香りがしている。

では、マイルスのモードジャズを。おそらくジャズのアルバムて最も売れているKind of BlueからBlue in Green作曲はマイルスではなくビル エヴァンスである。このくらいなら夜に聴きながらシングルモルトでもたしなみたくなる。
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