都市伝説:長身の怪人 | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ

さまざまな町でニュースを追っている記者のサラとカメラマンのマイロ。彼らはある小さな町で銀行に差し押さえられた家の中で1本のビデオテープを見つける。中には謎の黒いスーツの男と記号が映っていた。やがて2人はその家にかつて住んでいた家族を見つけるが、彼らは“その男”に監視されていることに気付いてしまう。それをきっかけに、想像を絶する恐怖に巻き込まれることに…。(メーカーサイトより)

 

■ネタバレ

*夜の森の中、狼狽え怯えているイーライとジェイミー。彼等はその場から逃げ出そうと、懸命に車へ向かって走る。遠くに長身でスーツ姿の男のシルエットが見えて、ジェイミーは小さく悲鳴を上げる。それでも彼女はどうにか車へ乗り込むが、イーライの様子がおかしい。車の傍に佇み動かないのだ。必死に呼び掛けるジェイミー。するとイーライは無表情で車の窓ガラスに頭突きをする。痛がる事もなくガラスを割ると、ジェイミーを車から引き摺り降ろす。それはあるカメラに残されていた映像だ。
*2013年を迎えるコロンビア、ニューイヤーパーティでカメラマンのマイロは新人レポーターのサラ・コビックと知り合う。彼女は他人のバスルームで鎮痛剤を漁っていた依存症だ。その夜から数週間は夜を共にした2人だが、それ以上は進展しなかった。しかしマイロはその後も密かにサラを盗撮している。依存症患者のグループセラピーに参加しているか、酒や薬は断っているかと監視しているのだ。止めるべきだとは思うが、どうしても続けてしまう。そんな事をするのは彼女を好きだからだと、自分に言い訳をしながら。
*ある時マイロやサラの上司が退職し、後任としてチャーリーがやって来る。一流大学の出身で、ボストン支社からの転勤だ。マイロは顔を合わせる前から「きっと嫌味な奴だ」とサラに向かって陰口を言うが、そこにチャーリーが居合わせた。出会いは最悪だが、経歴に加えて容姿も良いチャーリーは然程気にしている様子でもない。
*取材のため、チャーリーから呼び出されるマイロとサラ。目的地は抵当物件で、元居住者が残した家財道具の処分が題材だ。一般には馴染みの薄い業種で、視聴者にも面白いテーマに成り得るだろう。残された物品の評価をして、価値がありそうな物は盗難に遭わないように別の場所へ運ぶと言うのが仕事の流れ。何軒か一緒に立ち入って、その日最後に訪れたのがウィトロック家だ。
*殆どゴミしかなかった他の家とは違い、ウィトロック家は本当に人が住んでいないのかと疑わしい状態だ。全ての家具が残っているようで、冷蔵庫には家族の写真が貼られ、テーブルの上にはやりかけの子供の宿題がそのままになっている。留守電のメッセージを再生すると、夫ダンの勤務先の上司や母親、妻ローズの友人、娘タラの担任等、住人達を心配する声が多く残されている。彼等に頼る事もなく、ウィトロック家は姿を消したのか。
*マイロが1人で地下室を物色していると、壁に無数の記号が書かれているのを発見する。丸印に×を重ねたシンプルなものだが、意味が分からず不気味だ。鎖が掛けられた扉をボルトカッターで開いてみると、ペンキ等に交じってビデオテープの山が見付かる。処分業者には無価値なもので、チャーリーがこれを譲り受ける。
*ウィトロック家は不動産業者が立ち退かせた訳でもないようで、ビデオを見れば失踪の秘密が分かるかもしれない。最初はサラと一緒にビデオを見始めたが、一家の行方の手掛かりを探す作業は結局マイロの任務になる。退屈なホームビデオに辟易して席を立つと、終わったと思っていたテープにはもう少し続きがあった。寝室を横切る人影。「パパ?そこに居るのはパパなの?」と訊く少年の声。返事はない。モニタに映し出されるその映像を、置かれたままのマイロのカメラが捉えている。
*調査を進めると、一家には娘タラの他に息子ジェレミーが居た事が分かる。キャンプの時、泳ぐジェレミーにボートが衝突して幼くして命を落とした。一家の友人は、それ以降ダンは人が変わってしまったと言う。ビデオカメラを常に持ち歩き、誰も居ない森を撮っていたと。警官も、ダンが何度も通報してきたと話す。「家の裏の森にストーカーが居ると主張していたが、実際には誰も居なかった」
*しかしダンの主張を裏付けるように、マイロが不審な人影を発見する。誕生日パーティの最中、少し離れた森の中に佇む男。スーツ姿で長身、だが顔は分からない。別のテープには夫婦の口論が残っている。ダンは「肉眼では見えないが、カメラを覗くと男が見える」とローズに訴えているが、到底信じられる話ではない。マイロがその映像をサラとチャーリーに見せると、サラも男の姿に気付く。夫婦の口論後、庭に面した窓の外に顔の分からない男が立っているのだ。男が捉えられる時には、決まって映像にノイズが走るようだ。
*膨大な量のビデオ全てを見直すマイロ。タラの教室の外にも男の姿が見える。最初は信じていなかったローズも、カメラ越しに森の中の男を認識し狼狽えている。1人自宅での作業中、停電が起こりマイロも狼狽える。カメラを手に家の中を移動していると、窓越しではなく家の中に居る男の姿が映り込む。しかしマイロはそれに気付かない。
*他にもビデオがある筈だと感じ、単身ウィトロック家へ侵入するマイロ。写真の束の中に1本のテープを発見する。停電以来何かの気配を感じているマイロは、リビングのソファで横になりながらダイニングの様子も分かるように、カメラの映像を壁に映し出しておく。何とか起きていようとするが居眠りしてしまうと、ダイニングに男の姿が現れ指を動かすような仕草をする。映像が投影されているリビングでは、指先はマイロの身体に重なるような位置になる。
*目を覚ましたマイロの首筋辺りに、丸印に×を重ねたような傷が浮き出る。裏庭では飼犬のマーティが吠え立てるため「何も居ないだろ」と宥めようとするが、カメラを覗くと男が至近距離に居る事が分かる。慌てて家に逃げ込むが、ここも安全には思えない。恐怖に震えながらサラの家を訪ねるマイロ。ノックをしても反応がないが、スペアキーの隠し場所を知っているため勝手に家に入る。家にはサラと半裸のチャーリーが居た。普通なら滅入る状況だが、今のマイロはそれどころではない。焼き印のような傷を見せ、必死に男の事を訴える。2人はマイロが自分で傷を付けたのではないかと疑っているが、その最中にも窓の外を捉えたカメラには人影が映る。
*結局サラの家を追い出されたマイロは、直ぐに帰る気持ちにはなれずにスーパーに立ち寄る。その間もカメラは手放せない。ダンと同じ状態だ。警察への通報も考えるが、ダンと同様に取り合ってもらえないだろう。帰宅するとマーティがまた何かが居るような様子を見せ、自分でも気配を感じる。慎重に家の中を進むと、チャーリーが勝手に家に入っている。お互い様と言えるが、チャーリーはサラの盗撮映像を見ていた。ますます信用を失うマイロ。サラも駆け付けて騒ぎが大きくなるが、撮影中の映像にノイズが走ったため「カメラを見てくれ」とマイロは懇願する。チャーリーが全く信じないままカメラを覗き込むと、肉眼では見えない男が確かに部屋の中に居た。
*慌てて車に乗り込み逃げ出す3人。ひとまずモーテルに入り、改めてマイロが男について説明する。自分達やウィトロック家が狙われた理由や目的は不明だが、男の動きには一定のパターンがある。ウィトロック家の映像では、まず窓ガラスに印が描かれた。ダンの首筋にもマイロと同じように傷が現れている。無数の印をノートに書き始めるダン。そしてマイロが地下室で見付けたテープには、タラの腹部とローズの手首にも同じ印が現れた様子が収められている。クロゼットの中で佇む男の姿もはっきり見える。
*男は標的を精神的に追い詰めると言う事なのか。一家は行方不明だが、死んでいるかどうかは分からない。生きていれば、男から逃れる術があるのかもしれない。一家の行方を調べてみると、ダンがクレジットカードで購入した品物の送付先が分かる。コロラド州オルモント、リトルケープ通り2901。3人はコロラドへ旅立つ準備を始めるが、チャーリーの腹部にいつの間にかあの印が刻まれている。タラと同じだ。

*旅の途中、チャーリーにボストン支局をクビになった理由を尋ねるマイロ。彼は「上司のオフィスをゴルフクラブで破壊したのが原因だ」と言う。ボストンの私立高校で裏口入学が横行しており取材していたが、実は上司の息子もその内の1人だった。圧力を掛けてきた上司を許せず、怒りを制御出来なかったと。自分の気持ちを抑えられない状態は、マイロにはよく理解出来た。
*長い道中、運転を交代しながら旅を続ける。マイロが運転中の深夜、ヘッドライトが不安定になる。2人は眠っており、停車しても起きる様子はない。降りて調べてみるが故障ではないようだ。その様子を撮影する車載カメラ。マイロの背後、森の中の遠い位置に浮かぶ人影。ボンネットを閉めて何かの気配に振り向くが、その時には人影がマイロの傍らに立っている。やがてサラが目を覚まし、マイロの不在に気付く。慌てて探すと、マイロは車の近くで立ち尽くしていた。サラが「何故降りたの?」と訊くとマイロは我に返った様子で「ヘッドライトを修理しないといけなかった」とぎこちなく言う。
*モーテルに泊まると、バスルームでサラが泣き崩れる。彼女の手首にもあの印が現れたのだ。ローズと同じ場所。不安定になったサラは、もう止めた筈の鎮痛剤を取り出す。それを取り上げてトイレに流すマイロ。他にも隠し持っているのではないかと、サラの鞄を勝手に探す。制止するチャーリーには「止めなければどうするんだ?ゴルフクラブで殴るか?」と煽る。揉み合いになるマイロとチャーリー。チャーリーは倒れたマイロを蹴り、更に部屋に備え付けのオーブンを掴んで振り上げる。その足元にマーティがぶつかり、転倒したチャーリーが正気に戻る。部屋にはあの男も居て、感情を操られていたようだ。
*モーテルを出て再び走り始める。事態を変えようと、カメラを止める事を提案するサラ。視認出来なければ影響も受けないかもしれない。チャーリーも同調し、半信半疑ながらマイロも応じる。翌朝、マーティが冷たくなっている事に気付くマイロ。騒然とする車内。曇った窓ガラスに浮かぶあの印。ワイパーでは消えず、触れてみると消える…内側から書かれているのだ。男は車内に居た。
*疲弊し消沈しつつも、目的地が近付く。ナビに導かれるのは森の奥深く。ウィトロックは余程人に会いたくなかったのだろう。辿り着いた場所に残っていたのは、警察の黄色い規制線だった。そこは火災現場で、建物は全焼したように見える。希望を絶たれたが、チャーリーが近くの木に設置されたアンテナを見付ける。それは地下に繋がっており、扉を探して入ってみるとどうやらシェルターのようだ。中はガラクタだらけで、壁はあの印で埋め尽くされている。奥にはモニタがあり、電源を入れてみると家中を監視出来るカメラが設置されていた事が分かる。最後の日付は2013年7月。
*その夜、ダンは眠っているタラを枕で押さえ付けて窒息死させる。夫婦の寝室のクロゼットには男が立っている。異変に気付いたローズが泣き叫びながら夫を罵倒すると、ダンは無表情に妻の首を締め上げる。ローズは倒れるが死んだ訳ではなかった。起き上がると、立ち尽くしているダンに体当たりする。階段から落下して動かなくなるダン。男の姿は消えている。ローズは家に油を撒いて火を放つ。逃げ出さず、タラが大事にしていたぬいぐるみを抱えてソファに座るローズ。燃え上がる家、ローズの絶叫、NO SIGNALの表示。
*地元の保安官に取材すると、ローズは一命を取り留め精神科病院に入院中だと分かる。病院を訪ねると長身の男の影が見えたかと思ったが、それは入院患者の老人だった。老人は「あの男を知ってるか?」と話し掛けてくる。「存在しない奴だ。そこには居ない…そこじゃない」それはまるであの男の事のようだ。ローズに面会すると、彼女は車椅子に座り肌は痛々しく焼け爛れている。サラがダンについて尋ねると「彼について話すなら[友人]の事も話さないと…人生に関わった近しい人の事はそう呼ぶでしょ?」と言う。「ダンがあいつを探したせいで、ドアが開いてしまった。不幸を招き入れてしまったの」「家族を奪われたのね」「そうなのかしら?私に分かるのは、ダンが死んだら直ぐにあいつも…」そこでローズは、サラの手首の印に気付く。「ここへ連れて来たのね、どうしてそんな事を」ローズが騒いで暴れ出し、3人は部屋から出るように指示される。

*山荘を借りる3人。一緒に居れば殺し合うなら、離れたらどうなる?無関係な人間を殺すのか、或いは自殺するのか?結論の出ない話し合いの中、マイロが今日撮影したローズの映像を見直して、彼女の手首から印が消えている事に気付く。ダンが死んだ事でローズは解放されたのか。その時、映像にノイズが混じり照明も不安定になる。山荘に何台も設置したカメラに次々と男の姿が浮かぶ。

*このままでは何が起こるか分からない。マイロはロープを梁に掛けて、2人の制止も聞かずに首を吊る。ダンの死でローズが救われたのなら、自分が死ねば2人が助かるかもしれないと考えたのだ。彼は暫く宙吊りになり、その後ロープが切れる。床に転がるマイロ、泣きじゃくるサラを抱き寄せるチャーリー。これで全て終わったかと思われたが、また映像にノイズが混じり照明も不安定になる。倒れていたマイロが起き上がるが、その瞳孔と虹彩には色がない。マイロは床に転がっていた火掻き棒で無表情にチャーリーを殴り殺す。外へ逃げ出したサラのカメラには長身の男の影が迫る。振り返ると至近距離に白い眼球のマイロが居る。彼女は小屋に投げ戻され、マイロに殴り殺される。倒れたサラの隣りにマイロも崩れ落ちる。それを見下ろすように立つ男。男が姿を消すとマイロの瞳に色が戻るが、彼はもう動かない。

*ガレージセールでビデオカメラを買ったダン。車内で自撮りして、乗り込んできた妻も写す。ダンがこんな風に相談なくカメラを買うのは初めてではなく、ローズは呆れ顔だ。「新品なら3倍の値段がする機種だよ」とダンは言い訳する。「ちゃんと動いてるし、誰かのテープも残ってた」「どんな内容なの?」「誰かのアート作品かな?若者が森でスーツ姿の男を追い掛けてたよ」幸せだった頃のウィトロック夫婦の姿だ。カメラと一緒に入手したテープのラベルには、丸印に×を重ねたような記号が殴り書きされている…それは、あるテープに残された映像だ。

■雑感・メモ等

*映画『都市伝説:長身の怪人』

*レンタルにて鑑賞
*都市伝説系POVホラー

*映画フェスでの公開タイトルは『スレンダー 長身の怪人』だった模様。実際の都市伝説(と言うか創作)のキャラクター[スレンダーマン]を題材にしていると思われるけど、権利上の問題なのかその呼称は避けている様子。エンドロールでは『THE OPERATOR』との表示が出て(これが[長身の怪人]の役名でもある)Oの部分に×が重なって例の印になっている。(原題は『Always Watching: A Marble Hornets Story』。)

*スレンダーマン本家は1枚の写真からフィクションが展開していったようなので、この映画でも[カメラ越しにしか存在を確認出来ない]と言う設定になっているのかなと思うけど、映画上での起源等は謎。

*本筋より前に怪人の標的になっていたウィトロック家だけど、まず最初に息子ジェレミーが異変を感じ取るような映像がある。カメラなしでも異変が分かるのか、息子は不審な点のない事故死なのか?この辺も詳細不明。
*POV形式の作品は好きなんだけど正直ハズレも多い。これは比較的安定した作り。設定のお陰で撮影し続ける事に対する違和感はないし、会話や展開等も無難。ただ怪人が自らは何もせずに棒立ちなので、見ていて居心地が悪い。感情を操るにしても、折角メイン3人それぞれの精神的な弱さを描写しているのに、そこを突いてくると言う訳でもない。負の感情を増幅させるのかなと思ってたけど、最後のパートでは眼球の色が変わってマイロが別人みたいになるんだよね。何が出来るのか何がしたいのかどうも釈然としない。

*主人公が飼っている犬マーティ(ラブラドール・レトリーバー)が良かった。マイロにキレた後、気落ちしているチャーリーに寄り添って顔を舐め、次の場面ではチャーリーがマーティを両手で抱えてる…と言う流れがあってそれがとても可愛い。マーティについては怪人が誰かを操って殺させたの?車内に居たようでもあるけど、怪人は基本自分では動かないよね。マーティが犠牲になったのは3人への警告なのか主人を救ったせいなのか…許し難し。
*最後にマイロが持つのは火掻き棒て事にしたけど、違う気もする。木製の何かに見えるけど火掻き棒なら一般的に鉄製が多いだろうし。でも暖炉の傍に転がってて、薪にしては細長いんだよね。パーティ中に野球が始まれば※ これはバットだなって分かるのにな。(※バイバイマン