2022年3月8日(火)
夕方19時頃、僕が仕事から帰宅すると、家族が自室で横になってテレビを見ていました。
まあ、いつもの光景です。晩ごはんを作るのは僕の役目。その日のメニューは、和風きのこハンバーグ定食の予定でした。
ところがその日は帰ってくるなり「さっきから具合が悪いので夕食を別々にしてほしい」と家族が言い出しました。
熱っぽく、扁桃腺の辺りの痛み・倦怠感があるとのこと。
いつごろから?と聞くと、「17時45分頃から」と意外に詳細な答え。
僕はすぐに、体温を測るよう伝えました。
ちなみに家族は、その日は仕事休みで、前日までの3日間(土日月)は仕事に出ていました。
体温はなんと、39.0℃。ここ10年以上、僕も家族も体験したことのない高熱です。
僕はすぐに新型コロナウイルス感染症を疑いました。
オミクロン株の症状で特徴的といわれる喉の痛みを聞いてみたけど、扁桃腺は痛いけど喉は痛くないという。
この時点で20時を過ぎていたため、当日中の受診は見送り、翌朝一番でかかりつけ医に電話して受診し、PCR検査を受けるよう話しました。
家族は、PCR検査と言われ不満そうでしたが、39℃という高熱が出ている以上、たとえ熱が下がったからといって安心はできないと思ったからです。
自室のベッドに横になったままの家族と距離を取ったまま話し合い、PCR検査の結果が出るまで「家庭内隔離」を実施することを決めました。
どこまで感染リスクを減らせるのか素人だからわからないけれど、やれるだけのことをやってみようと思ったのです。
・基本それぞれの自室で過ごし、部屋から出る際はお互いにメールで知らせた上で必ずマスクをする
・共用部分(トイレ・洗面所・浴室・キッチン)を使った後は、毎回各自で消毒・清拭する
・家族は受診以外で外出せず、どうしても買い物が必要になった際は僕が最小限の範囲で出ること
僕の職場の上司に家族の発熱を報告したところ、とりあえず翌日の出勤を見合わせるよう指示がありました。
3月9日(水)
家族の体温:38.2℃
家族は午前中に電話を入れたうえでかかりつけ医を受診しました。お医者さんからは、診察後必ずしもPCR検査が必要とはいえない旨説明されたようですが、コロナでなくてもきちんと陰性の判定が出ていないと出勤の可否の判断に支障があるので、市内でPCR検査ができる医療機関を複数紹介してもらいました。
家族が電話で問い合わせ続け、ようやく3か所目で当日午後検査を受けられるところが見つかり、検査を受けて帰ってきましたが、結果が判明するのは翌々日(金曜日)の夕方になるとのこと。
最近は全国的にコロナの新規感染者数は漸減傾向ですが、PCR検査に関しては以前として滞りが解消していないようです。
上記の経緯を上司に電話で報告したところ、「人事に確認して折り返す」との返答の後あらためて電話で、検査結果が判明するまでの出勤停止(自宅待機)を告げられました。
もし同居家族が陽性となった場合、僕がどのような基準で濃厚接触者と判定される(またはされない)のか分からないけれど、仕事への影響を最小限に抑えるため、自分たちでできる限りの感染対策をしようと思いました。
家族は、PCR検査の後、スーパーに寄って大量の食糧や飲料を買い込んできていました。
これは失敗でした。受診が終わったらどこにも寄らずにまっすぐ帰ってきてと伝えていなかったからです。
自宅に食料の備蓄はそこそこあって、少なくとも5日程度であれば、二人とも外出しなくても過ごせるだけのものはあったので、食事は僕が作って彼女の部屋の前に置けばいいと考えていました。
オミクロン株に感染すると、固形物を飲み込むのが辛くなるほど喉の痛みが激しいとニュースで見たことがあったので、大量のゼリータイプの栄養補給パックまで買い込んでいたほどです。
この日の家族の体温変化は変動が大きく、36℃台に下がることもあれば、再び38℃台に上がることもあったようです。
3月10日(木)
家族の朝の体温37.5℃
この日は自分の職場から電話が頻繁にかかってきて、早く職場復帰しなければと焦りを感じました。その件で上司と連絡を取り合った際、「ご迷惑おかけして申し訳ありません」と言うと「もうほんとに〇〇さんのせいだよ~」と冗談ぽく言われましたが、やはり凹みました。
もし自分が逆の立場になった時は、絶対に同じようなことはたとえ冗談でも口にしないと固く誓いました。
翌日はやっとPCR検査の結果連絡がある予定の日です。陰性であることを祈りながら布団に入りました。
3月11日(金)
家族の朝の体温37.2℃
体調は、扁桃腺の痛みは軽減したようですが倦怠感と全身の関節の痛みは続いているようです。
家庭内隔離も3日目となり、二人ともだいぶ慣れてきました。
僕は、自室を出る時はマスクと使い捨て手袋をはめ、部屋に戻る前にその都度廃棄しました。最低でも1日4回ほどは部屋から出るので、それぞれ10枚以上のマスクや手袋を使いましたが、感染のリスクを少しでも減らすためには仕方ないと思いました。
困ったのは、ほとんど動かないことによる運動不足でした。
ウクライナ情勢のこともあり、新聞は毎朝起きた時に自分が1階の集合ポストまで取りに行きました。エレベーターを使わず、6階まで階段で往復しましたが、それだけでは到底運動不足の解消にはなりません。
コロナ疑いによる出勤停止の期間中なので、夜でも外出しているところを誰かに見られたら、と思うと早朝・深夜でも外に出ようとは思えませんでした。
ようやく午後4時前に、家族に電話でPCR検査の結果が陰性だったことが伝えられました。
その時点での家族の体温は37.0℃で、まだ倦怠感などは残るものの、だいぶ快復したとは言っていました。
家族は会社に連絡して、体調に問題がなければ翌日から出勤するように言われたそうです。
僕は、当日夜に重要な会議(僕が司会の予定)が入っていたので、上司に連絡して16:30に出勤し、21:00まで勤務しました。
16:30前に出勤して、「大変ご迷惑をおかけしてすみませんでした。」と同僚に頭を下げると、ちょっとショックな言葉を投げかけられました。
「PCR検査って、1回陰性が出ればそれでOKなんですか?2回目受けなくていいんですか?テレビとかで、1回目陰性だったのに2回目受けたら陽性だったとかよくいってるじゃないですか。あなたはPCR検査受けたんですか?受けなくて大丈夫なんですか?」
と機関銃のようにまくしたてられました。
その人は、16:30で勤務終了なので言いっぱなしでさっさと帰っていきましたが、僕は言われたことがショックでしばらく動けませんでした。
僕は、家族に発熱の症状が出てから一度も体調不良や発熱(毎日4回測定しました)はありませんでした。
もし、少しでも発熱等の症状があれば当然僕もPCR検査を受けたと思いますが、症状がないのに家族が発熱したからという理由で、体調が悪くなくても検査を受けるという発想はできませんでした。
言っている人の不安は理解できるよな、と思いながら、そんなこと言ってたら永遠に職場復帰できないじゃんって反発する気持ちもありました。
どうするのが正解だったのか今も考え続けていますが答えは出ません。
家族は翌日(土曜日)、体温・体調に問題ないことを確認して出勤し、その後シフト通りに働いていて特に変わりはありません。
僕も、翌日土曜日も溜まっていた3日間ぶんの仕事も含め仕事に出ましたが、その後一週間、特に不調はありません。
ちなみに、家族の発熱が判明した火曜日夜に家庭内隔離を開始して、次に家族と顔を合わせたのは、4日後の土曜日の夜でした。
以上が、家族が発熱してPCR検査を受けた4日間の顛末になります。
この経験を通じて僕が思うのは、相手の気持ちを思いやって発言したり行動したりすることの大切さです。
上司の、「〇〇さん(僕)のせいだ」とか、同僚の「2回目検査受けなくていいんですか?」とかは、内容の是非は別として言われた僕はとても傷つき、凹みました。
世の中で言われる「コロナ差別」とは少し違うとは思いますが、人は、無意識のうちに本心を口にして他人を傷つけてしまうことが往々にしてあるのだ、ということを僕は心に刻んで、これから僕自身がよりよく生きるための教訓にしたいと思います。
それから、今回の「家庭内隔離」は、夫婦二人だけだったので比較的うまくいったと思いますが、もし小さい子どもがいる家庭や、大人数の家庭だととても困難だろうと思いました。
政府は、経済活動を優先するため、陽性者は自宅療養を原則とする等の方針変更を次々と発表しています。
今回のことを経験してみて尚更、簡単に自宅療養とか言うなよって思う。
感染して回復したものの、その後コロナの後遺症と推察される原因不明の不調に悩まされて、仕事の継続にも支障をきたしてしまうという事例が度々報道されています。
新型コロナに関する長期間の知見がまだ十分に得られていない現段階で、季節性インフルエンザと同等の扱いにするしないの議論など論外だと僕は思います。
5日間、まともに料理を作れなかった反動なのか、今週はずっと丁寧にいつもより時間をかけて夕食を作っていて、家族からは味は好評なんですが待たせている途中で「お腹すいた~」と催促のつぶやきが飛んできます。
美味しい料理を作ることも大事ですが、時間短縮も課題にして、これからも料理の腕を磨いていきたいと思います。
今日の一枚(写真と本文は関係ありません)


