ちょうど5カ月前にブログで書いた、進路選択に揺れる中学三年生。
その後の経過を記します。
彼女は悩んだ末、将来の夢を医療関係と決め、受験する高校を薬学系の大学の付属高校の専願に決めた。
先生方の支えもあって無事専願入試をクリアし合格が決定。
しかし、入学までの道のりは険しかった。
その家庭には、納入期限が公立高校合格発表の翌日までと定められた入学金等約60万円を用意することができないと判明し、周囲は金策に奔走し、本来なら支給決定まで約1か月かかる奨学金手続きを無理くり2週間で進めてもらって、どうにか入学取り消しを免れた。
資金計画も立たないまま進学をさせようとする保護者の気持ちが理解できない。
子を思うがゆえ、と言われたとしても、なおさらお金のことは事前にしっかり考えなくてはいけないのでは?と思います。
入学して約1カ月を経過した彼女の様子を、母親から聞いてみました。
最初から浮かない顔をしていたので、ちょっと嫌な予感がする。
僕「彼女の高校生活のスタートはどんな感じですか。」
母親「もう辞めたいと言っている」
「どうして?」
「自分がイメージしていたのと違う。友だちが合わない。校則が厳しくて登校から下校までスマホが使えない・・という不満がある。」
「授業はどうなんですか。ついていけていそうですか。」
「勉強については何も言っていない。」
「友だちとはどう合わないんですかね。」
「最初に仲良くなった友だちがいるけど、しょっちゅう話しかけてきてウザいって。」
「スマホが使えないのは学校全体だから仕方ないんじゃ・・」
「他の高校に進学した友だちの話だと、昼休みだけは使える学校が多いらしくて、不公平だと。」
うーん・・・
「医療関係に進みたいという希望は変わっていないんですか。」
「看護師は嫌だそうです。医者か薬剤師になりたいと。医者は無理だと言いましたけどね。」
「彼女が進学したのは薬学系の大学の付属高校だから、薬剤師になりたいのならこのままがんばるのがいいのでは?」
「じつは、とても行きたかった高校があると最近言い出して、その学校と教育委員会に電話してみたんです。そうしたら、私立高校から県立高校への転学や編入はできないと断られて・・」
いや、当たり前やん。それに、その高校を受験しなかったのはそもそも学力が足りなかったからなのは本人も保護者も判っていたはず。
子を思う親の気持ち(書くの2回目)というべきか、自分が言うのが嫌だから学校や教育委員会のせいにしたかったのか。
以前ブログに同じことを書いた記憶がありますが、
「嫌なことは嫌だと声を上げていいんだよ」
という、理不尽なことを黙って我慢しなくていい、それによって社会をより良く変えていこう、という空気が醸成されつつあるのは歓迎します。
しかし、「イメージと違う」「友だちと合わない」「スマホが使えない」といったようなことまで、我慢する必要はない、嫌ならそこから離脱していいんだよ、という論理にはならないと思う。
母親とは、30分程度話をしただけだから、僕が母親を通じて聞いたのはごく表面的なことに過ぎないと思うし、彼女には彼女なりのもっと深い考えや思いがあるのかもしれない。
毎朝7時に家を出る彼女に笑顔はないそうです。
彼女の笑顔を取り戻すために、僕は何をすべきなのか、何ができるのか、毎日自問自答していますが答えは出ない。
「通信制の高校なら、中途退学した生徒を受け入れてくれるところもあるみたい。」
母親は、「中学校の先生に勧められた進路の選択がそもそも間違いだった」という考えに固執して、退学したいという子の願いをどうやったら聞き入れられるかという事だけにしか頭が向いていない。
彼女と、彼女の母親に僕が伝えたいこと。
夢を実現したいと強く願うならば、その道のりは必ずしも楽なことや楽しいことばかりではないはず。
それらの困難を努力して乗り越えた先にこそ、本当の笑顔が待っているのではないか。
・・そんな化石じみた話をしても、もう通じないんだろうな。
そういえば、会社の電話を受けるのが怖いという新入社員が増えているそうです。
それを報じていたテレビ番組では、そもそも家に固定電話がない環境で育った子も多く、誰が相手かわからない電話に出た経験がないから、と分析されていました。
じゃんじゃん鳴る電話を取るのが僕らの世代の新入社員のお決まりの仕事だったけどな・・と小さく呟いてみる。
九州福岡の連休は雨の予報です。皆様どうぞ健康で安全な黄金週間になりますように。
今日の1枚(写真と本文は関係ありません)
半年間の改修工事を終えて新装された事務所です。2023年4月10日から業務を開始しました。
【改修前】
床のデザインを決めていいと言われたので、同僚と話し合って決めました。僕がこの世に存在しなくなってもこの床は残るんだと思うと、ちょっと感慨深いものがあります。