今日(2023.5.16)のローカルニュースで、福岡市動物園がミャンマーからのゾウ4頭の受け入れを今年度中に行う方向で調整していると報道がありました。
(FBSニュースより)
ミャンマーでは、2021年2月に軍によるクーデターが起き、政権の座にあったアウンサンスーチー氏の拘束、軍に反対する国民への弾圧などを強め、現在もミャンマー国内は内戦状態が続いています。
福岡市動物園では、6年前に唯一のゾウ「はな子」が亡くなり、ゾウがいない状態が続いていて、2019年にミャンマーからゾウを譲り受けることが発表されていました。
ところが、2020年に始まったコロナ禍と、軍によるクーデターの影響で交渉はストップしたままの状況が続いていました。
今日のニュースでは、ゾウの受け入れによって来園者の増加につなげたいという福岡市動物園のコメントも紹介されていました。
僕は福岡市民ではないけれど、同じ福岡県民として今回の発表に強い憤りと失望と恥ずかしさを感じます。
クーデター勃発後2年3か月を経過したミャンマーの情勢や国民生活は悪化する一方で、弾圧された民衆は言論を武力によって封じられ、軍による弾圧や内戦による国民の死亡者は2,900人にも上ると報じられています。
よりによって、そのミャンマーからゾウを受け入れ、来園者の増加につなげたいとは、どういう神経をしているのかと疑います。
何も知らない子どもたちが6年間居なかったゾウを見て喜ぶ姿も容易に想像できます。
来園者の増加によって動物園の収支が上向き、施設や飼育環境の改善につながれば、という動物園関係者の切実な願いも透けて見えます。
また、軍政を敷くミャンマー国軍と新たに交渉を開始したわけではなく、ゾウの受け入れはクーデター前から合意していた事項だから・・というお役所的な言い訳も聞こえてきそうです。
でも、でも、本当にそれでいいのでしょうか。
この記事を書きながら見ているテレビニュースでは、岸田総理大臣がロシアによるウクライナ侵攻を強く批判し、ウクライナ侵攻が一番大きな議題となるG7サミットの舞台として、原爆を投下されたヒロシマほどふさわしい都市はないと誇らしげにインタビューを受けています。
スーチー氏らが民主化をさらに進めようとしていた政権をクーデターにより転覆させ、軍政を敷く現在のミャンマーは、中国やロシアとの関係を強化し、戦争を続けるロシアを擁護する立場を取っています。
もちろん、日本政府が旧来からミャンマー国軍とのパイプを太くすることで民間の日本法人の現地進出などを図ってきた経緯も聞きますし、クーデターを正面から批判したり、大規模な経済制裁を発動できないといういわゆる大人の事情があることも知っています。
それでもなお、今回の福岡市動物園の、ミャンマーからのゾウの受け入れを進めるという決定に僕は反対します。
このニュースを耳にした途端、ざわざわして何ともいえない複雑な気持ちになりました。
何も知らず日本にやって来る(予定の)ゾウに罪はない。
このニュースを聞いて、ゾウの到着を楽しみに待つ日本の子どもたちにも罪はない。
綺麗事だと批判を受けるのは覚悟しています。
それでも僕は、民主的な手続きを無視したクーデターを継続し、軍政に反対する民衆と内戦状態にあるミャンマーから、福岡市にゾウを受け入れることに反対します。
最後までお読みいただきありがとうございました。