愛車遍歴(その21)・・に至るまでの経緯(2) | M3遣いのブログ

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今日は、M4への乗り換えの経緯「一期一会の運命」編です。


お世話になっているディーラーさん(Balcom BMW)は広島・山口が主な拠点なのですが、年に一度か二度、僕の住む福岡でも大規模な展示会(フェア)を開催してくれます。


ちょうど1年前の2017年2月、大きなイベント会場での展示会のDMをいただき僕の担当営業さんも下関から来福されるとのことで、挨拶を兼ねて行ってみることにしました。


そこで運命的に出会ったのが今の愛車(F82 M4)です。


その個体は、僕が必須条件としている希少な左ハンドル&MT(マニュアル)。


このブログを書いている時点で、ネットの中古車情報サイトにはM4が全国で61台掲載されているのですが、左MTはわずか5台しかなく、素性がはっきりしているディーラー車となるとたった1台しかありません。


また、展示車のボディカラーはシルバーストーンⅡという、一般モデル(M Sport&M Performanceを含む)には存在しない真のMモデルだけのカラーで、シルバーにも水色にも見える繊細なメタリックカラーは、きほん「あまり目立たないけれどひとが乗っていないクルマ」に乗りたい僕にはとても魅力的でした。


装備面では、あるモノが「ついていない」ことが大きなポイントになりました。それは、「愛車遍歴(その21)BMW M4 Coupé(1)」でも書きましたが、オプション設定の「アダプティブMサスペンション(電子制御サス)」です。


以前所有したE92 M3に同じ機能(M Driveパッケージ)が搭載されていたのですが、普段使いで切り換えて走ることはほぼなく、必要性を感じませんでした。


むしろ、ステアリングやシートの座面を通して伝わってくる路面の情報やタイヤの仕事ぶりがこの介在物のせいで薄められてしまっていることがはっきりと判り、雨が降っている時などは感触がドライの場合とほとんど変わらずむしろ怖いと感じるほど。


具体的にいえば、挙動の限界が徐々にではなく何の前触れもなくいきなりやって来ることに繋がり、運転していてこれほど怖ろしいことはありません。

また、標準よりも幅広い領域をカバーしなければならない電制サスは必然的にバネレートを落とさざるを得ず、スポーツドライビングを楽しむ際の高機動・高負荷の領域の限界レベルはパッシブ(非電制)のサスに絶対に敵わない。


純粋に運転を楽しむために乗りたい僕としては、電制サスの非装着車であることは非常に魅力的でした。


あくまでも想像の域でしかないのですが、この個体には安全に関する有償オプションはしっかりと着けられていたり、タイヤも新車登録から2年足らずで★マーク(BMW認証)付の純正タイヤ(4本で約30万円)に換えられていたりしていて、前のオーナーさんは僕と同じように運転を楽しむために乗ってあり、電制サスの非装着は価格面で妥協したからではないと感じました。


長々と説明してしまいましたが、詰まるところ僕は展示会場で出会ったM4に惚れ込んでしまったのです。説明はすべて後からの付け足しに過ぎない。


しかし、いくら惚れても先立つモノがなければ一緒になることはできない。なのでお金のことも書いておこうと思います。買い替えの決断に至る過程で、このことを抜きに説明はできないから。


現在僕が払い続けているのは、3年前に購入したE92 M3(蜜柑号)のローンです。その後に、1M、M4と乗り継いでいるのに、そのお金は?


詳しくはE92 M3から1Mに乗り換える時の経緯を記したブログに書いているのですが、当時僕が利用したのが「委託販売」のシステム。もちろん手数料はかかるけど、ちゃんと売れれば買取りや下取りよりも有利な条件で売却することができる。


E92 M3 Competitionは市場に出回ることが非常に少なく、しかも僕の蜜柑号はMTというマニアックな個体で、もしピンポイントで探している人とマッチングすればメリットは大きい。


M3から1Mへはこのシステムを利用して追加負担をほとんどすることなく乗り換えられました。


そして今回、1MからM4へは?


展示会の会場へは1Mで行ったので、その場で下取り査定も依頼しました。しかし、査定結果(金額)を聞いてあまりの低さに愕然。でも、その理由はすぐに納得できました。1Mは正規輸入車ではないため、ディーラーでは値段が付かない(自社で売ることができない)のです。


それでも数字は出さないといけないため、おそらく同年式のカタログモデルの最上位車種である135iクーペとして査定金額を出したものと思われます。


その時点で僕は買い替えをほぼあきらめかけたのですが、前回委託販売でお世話になった業者さんに展示会場からダメもとで電話をかけてみました。


でも、今回は委託販売と言ってもその業者さんから次の車を買うわけではないので前回のようにはうまくいかないだろう、と正直思っていました。


しかし、業者さんの返答は意外なものでした。委託販売だけでも構わないし、1Mクーペはもともと限定生産で、日本に入ってきた台数も非常に少ない(新車並行輸入のみ)ため市場にもほとんど出回っていない、売る自信はあります、とのこと。


業者さんから示された売れた場合の金額は、ディーラーが提示した査定額のおよそ4倍という驚きの数字でした。


もちろん、1MとM4では車格が違うのでM3→1Mの時のようにはいきませんが、追い銭(追加負担)は僕が1Mに乗った期間分の減価償却とヘッドライトの交換費用、大阪まで車検を受けに行く費用を積算すれば十分に納得のいくものでした。


費用のめどがついてM4の購入を申し込んだ際、1Mの売却予定額に驚いた担当営業さんは「希少車種はやっぱり専門業者さんに任せるべきですね」と言ってありましたが、僕もまさにそう思います。


1Mは現在でも、2年前に僕が購入した時とあまり変わらない価格で中古車市場に出ています。実質的な後継車種となるM2が発売されてからも驚くことにほとんど値落ちしていません。


それは、1Mが日本未導入モデルであることやM2にLHD(左ハンドル)の設定がないことだけではなく、最新のM2でも真似のできない熟成されたエンジンの深い味わいや、Mモデル中最軽量ボディ

(1M:1,495kg ⇔ M2:1,580kg ⇔ M4:1,630kg)

がもたらす走りの良さがきちんと評価されているからではないかと思います。


蜜柑号(E92)の時と同様、キャリーに載せられて旅立つ1Mを自宅で見送った僕ですが、ほどなく「商談がまとまりました」という連絡が来ました。


そして、1Mの新たなオーナーさんから僕に宛てた、「愛車を譲っていただきありがとうございます。車から、とても大事に乗られていたことが伝わってきます。これから大切に乗っていきます。」という嬉しいメッセージも業者さんを介していただきました。


返す返すも、1Mが日本に正規導入されなかったことを残念に思います。135i前期型のN54B30Aをチューンして生まれた奇跡のエンジンは、シングルターボ化されたN55では燃費や環境性能は向上したものの味わいを落としてしまい、M社が組み上げ再びツインターボに戻したS55(現行M3&M4)でも圧倒的なパフォーマンスこそ達成したものの、エンジンの官能性や情緒はこれ一切感じられない、冷徹でともすればショーカー的でライバル他車とスペックを張り合うだけの俗なエンジンに堕してしまった。(僕も歳をとったなぁ・・)


以前中古車情報を検索していたら、E46 M3を出品していた地元福岡の業者さんが、6連スロットルが整然と並ぶS54B32型エンジンの写真の説明文で、


「私ごときが語れるものではありません。崇高なエンジンです。」


と記してあって思わず見とれてしまったのですが、今、そしてこれからのBMW(&M社)には、人をして「崇高なエンジン」と言わしめるほどの名機を生み出すことはもうかなわないだろうな、と少し寂しく感じています。


いつの間にかまた話が逸れてしまいました。


こうしてシルバーストーンのM4は、晴れて僕のパートナーとなりました。以上が、M3遣いが「M4遣い」となるに至った経緯です。


僕を良く知る人からは、「いずれまた「運命を感じた」とか言ってすぐ買い替えるよ。」と予言されていますが、「愛車遍歴(その22)」を書く日はいつになるでしょうか。それは僕にもわからないけれど、今は君だけを見ています。(完)


春遠からじ。でも、今日の福岡地方は今季2度目の大雪に見舞われています。