今日のシューズはドライビングに最適な濃紺のnew balance MVL530。
BMWには青が良く似合う。頑固なまでに走りにこだわったクルマを作り続けるドイツ南部バイエルンに居を構えるこの会社にすっかり魅せられてしまったエンスー(フリーク)の、勝手な思い込みです。
駐車場に下りて、僕の新たなパートナーとなったM4の前でしばし立ち止まり、心の中で言葉を交わす。さあ、今日は一緒に何処へ行こうか。

ドアを開けてコックピットに身を沈め、イグニッションをオン。
ディスプレイには、始動とともに水色、青、赤のストライプに彩られた『M』ロゴが鮮やかに浮かぶ。
この車を作ったM GmbHの社名の由来、『Motorsport』は伊達ではない。
乗用車にスポーツカー風の殻を被せただけの凡百のクルマたちがまごついて結果など出しようのないモータースポーツの厳しい世界でこそ、このM4は本領を発揮する。
エンジンに火を入れると、血液や心臓を暖めるための高めのアイドリングが始まり、やや大きめの重低音が、真のMモデルの証である4本のマフラーから吐き出される。
1分ほどでエンジン音は静かになり、走り出す準備ができたことを教えてくれる。
しかし、回転計の可変式のレッドゾーンは、はやるドライバーをなだめるように、本来のレヴリミットである7,600rpmまで簡単には回させてくれない。
適温まで温められた血液(オイル)が全身に行き渡り、タイヤも暖まって本来の性能を発揮できるまで、けっして無理はしない。
クルマと対話しながら、彼が伝えてくる今日のエンジンの調子や、タイヤから緻密に伝わる路面の微細な状況を瞬時に判断しながら、3つのペダルとシフトノブとステアリングを操る。
路面の凹凸に合わせて上下するサスペンションの仕事ぶりが手に取るように分かる。ダンパーの中のオイルも徐々に温まって、本来の性能を発揮し始める。
僕のM4のサスは、電子制御(アダプティブMサスペンション)ではない。あえて、非装着車にこだわって選びました。
電子制御ダンパーは、切換の効果をドライバーに明確に感じさせるため、SOFT側はかなり柔らかく設定されている。
それは日常の快適性と引き換えに、真に運転を楽しめる高負荷高機動の領域では、自ずと挙動の限界が低くなってしまう。
また、路面がウェットのような厳しい条件の時、ドライバーにちゃんとタイヤの仕事振りを伝えてくれないという隠れた瑕疵も併せ持つ。
すなわち、硬軟の幅を必要以上に大きく取らざるを得ない電子制御サスペンションは、良くできたパッシブ(非電制)のサスには絶対に敵わない。
同じことが、ステアリング操作にも当てはまります。M4のパワステは、電動電子制御。これは標準装備なのでどうにもできないけれど、油圧式だったE92やE46と比べると、ステアを通して伝わってくる情報がどうにも希薄で不安になります。
電制パワステの利得は、硬軟の切換が可能になることではない。常時エンジンパワーを使って油圧をかけておかなければならない従来式と違い、電制にすれば必要な時だけ電気を使えばいい。
つまり、エコカーからスポーツカーまで、猫も杓子も電動パワステ(EPS)を採用したがるのは、運転の楽しさをスポイルするのが判っていながら、ほんのわずかの燃費向上の利得のために過ぎない。
もちろん、電制であるがためにできる安全装備も、最新のM4には満載されている。
ステアがブルブルと振動して教えてくれる車線逸脱警告装置は言うに及ばず、走行中ドライバーの死角に他車がいると、左右のドアミラーに内蔵された警告灯が点滅して教えてくれる。
もちろん、自動ブレーキも当たり前のように標準装備。先日、狭い道をゆっくり走っている時、前から来た自転車が一瞬M4の前に出てきた瞬間、「ゴゴッ」という音と共に車は緊急停止。衝突しそうな危ない場面ではなかったけれど、いざという時には頼りになりそうです。
続きは次回に。