愛車遍歴(その18)BMW_M3(10-1) | M3遣いのブログ

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足かけ4か月近くにわたって連載してきた、E92_M3クーペ コンペティションについてのレポート。10回目となる今回は、前所有車、E46_M3との比較をベースに、現時点での僕の蜜柑号に対する総合評価をしてみたいと思います。


とはいえ、書き始めの時点で、果たしてどんな結論になるのかは、書いている僕自身にもわからない。今までぼやけてはっきりと見えなかった蜜柑号のイメージは、この章を書き終えたとき、シャープに像を結んでくれるのだろうか。がんばって、書いてみます。


ただ、2002年式のE46_M3と、2011年式のE92_M3を全く同じ土俵に上げて比較するのはフェアではない。もしそんな単純な評価をしたとしても、およそ10年分のテクノロジーの進化を詰め込んだ蜜柑号の圧勝に終わることは目に見えている。


なので、それぞれのクルマの、良いところをまずは挙げてみます。


E46_M3の良いところ


・武骨(?)なスタイリング
E46は基準車となる3シリーズクーペと比較すると、フォルム(形状)の違いが大きい。最も特徴的なのが、左右にグッと張り出した前後のフェンダー。ある自動車評論家が、「ボンネットとツライチ」という表現をしていてちょっと笑っちゃったけど、ツライチはさすがにオーバーにしても、まるで後付けしたオーバーフェンダーをパテ埋めして一体化させたのではないかと思えるくらいの尋常じゃない張り出し方。それが、前から見ても後ろから見てもひと目でM3とわかる特徴。


E92のような流麗さはないけれど、鍛え抜いた筋肉質のアスリートを連想させる武骨なフォルムは、僕は今でも大好きです。職場の同僚に譲ったM3と毎日のように路上ですれ違う。特別に意識しなくても、毎回姿とエンジン音に見惚れて、「やっぱ、カッケー」と素直に思う。


・S54B32型エンジン
E46_M3が積むM社謹製の同エンジンは、BMWのビッグ6の流れを汲むいわゆるシルキー6と形容されるエンジンではない。また、E36(後期M3C)からさらなるパワーアップを果たすため、シリンダ隔壁を極限まで削って容積を稼いでいるため、エンジンフィールそのものは獰猛でガサツなものになってしまっている。


しかし、レスポンス鋭く7,900rpmまで一気に吹け上がり、それでいて下のトルクも十分に太く、渋滞の多い街なかでも扱いに困らないエンジンは、直6自然吸気エンジンとして現在でも世界最高峰だと思っています。


・トータルバランスに優れたハンドリング
E46の次の二世代のE92・F82(試乗)のM3(M4)は、いずれも電動電子制御のパワステ&サスペンション。それに対しE46は油圧式パワステで、サスも電子制御ではない。ところがそれが、僕にとってはマイナスポイントには感じられない。


あるショップで、E46のアライメントを取ってもらったことがある。診断してくれたショップの人は結果を見せてくれながら、「とても優秀で、修正すべき箇所は全くありません。とても10年10万km以上走った車とは思えない優秀な数値です。」とびっくりしていた。


熟成されたそのハンドリングは、前245・後275という極太タイヤを履いているにも関わらず、直進ではどっしりと安定し、コーナーではタイヤからの微細な路面情報やタイヤの仕事ぶりを余すところなく伝えてくれる。


限界域に近づくにつれ提供される情報は増え、ドライバーは安心してぎりぎりまで踏み切ることができる。「電制まみれ」になってしまった現代のクルマの多く(E92やF82も例外ではない)が、挙動の限界が近づいていることを一切ドライバーに伝えることなく、いきなり限界を超えてしまう危険性を抱えているのに比べると、クルマと対話しながらドライビングを楽しめることは、何でも電制化され、自動化されていく中で貴重なアドバンテージと思います。


次に、E92_M3の良いところ


・精悍かつ流麗なスタイリング
蜜柑号の2台前に乗っていたE92クーペ(「愛車遍歴(その16)BMW_320i Coupe」 参照)。当時6気筒の323iセダンを探していたにもかかわらず、エンジンを妥協(4気筒)してまでクーペを選んだのは、そのフォルムに一目惚れしてしまったから。


蜜柑号もその基準車と大きく変わってはいない。前後フェンダーの張り出しはE46ほどではないけれど、Mモデル共通の台形デザインのフロントフェンダー、サイドのスリット、リアの4本出しマフラーが、紛れもないM3であることを控えめに主張している。たまーに見かける、リアのエンブレムだけ「M3」に貼り換えてる3シリーズのセダンやクーペちゃん。恥ずかしいから、やめようね。


横道にそれました。車の印象はボディカラーによっても大きく変わる。黒は精悍さが強調され、白はボディを大きく伸びやかに見せる。で、蜜柑号のファイアオレンジは?


マットブラックの専用ホイール(Yスポーク359M)やカーボンルーフ、同じくカーボンのリアウイングやドアミラーなどとファイアオレンジのボディカラーは強烈なコントラストを生み出し、圧倒的な存在感を主張する。初めて蜜柑号を見た僕の知り合いは、全員が口を揃えて「○○さんのイメージに合わない」とおっしゃいます。


今まで乗ってきた車のほとんどが、白か黒だったからもあるだろうし、どちらかというと地味で寡黙で几帳面な僕自身のイメージと、ド派手な蜜柑号は当然違和感ありまくりだろう。これから蜜柑号との歳月をさらに重ねて、いつしか「よく似合うね」と言われるように僕自身もがんばりたい。


・S65B40A型エンジン
初めて乗った時、「ヒューン」とまるでモーターのようなV8自然吸気のエンジン音に感動したのを覚えている。しかし、4,000rpm以上まで回してやると、「クォーン」という力強い響きに一変し、420馬力のモンスターであることを再認識させられる。


その音の官能性は、僕にとっては「旋律」と呼ぶにふさわしく、E46の野性的なエンジン音と比較すると洗練されていて、「シルキー」と表現したくなる。なので、季節を問わず窓を開けてエンジン音を楽しみ、自分がコンダクター(指揮者)になった気分で蜜柑号を運転しています。


また、下のトルクはE46以上に豊かで、街なかや渋滞でも全くストレスを感じさせない。シフトフィールも、硬すぎず柔らかすぎず、どのシフトにも気持ち良くスコーンと入ってくれるので、毎回信号で先頭に止まった時、発進加速の爽快を味わうのがとても楽しい。


・ボディ剛性の高さ
E46と比較して明らかな向上を肌で感じるのがボディ剛性。E46では、高負荷のコーナリング時にボディの後ろ半分から「ミシミシ」という音が聞こえていた(本皮シートの摩擦音とは別)けど、E92になってからは一度も感じたことがない。


また、電子制御サスと、同じく電子制御のLSDなどの働き、アルミブロック化により軽くなったエンジンとカーボンルーフによる低重心化によって、「曲がる」機能は大幅に強化され、回頭性が良くなった。


しばらく前に代車で乗ったトヨタのプレミオ。自宅の車庫から出そうとして、「あれ?うそやろ?」・・・M3だと切り返さずに出られるのに、一度切り返さないと車庫から出せなかった。


プレミオの最小回転半径は5.3m。対する蜜柑号は5.9m。数値上では、プレミオのほうが小回りが利くはずなのに、現実は逆。自宅(マンション)の駐車場が狭いため、今までカタログ上のスペックばかり気にしていたけど、現実にはこういうことが起こり得るというお話でした。


終わらねー(笑)


(次回へ続く)