今日は出張。福岡市天神界隈で昼食をとろうと決めた。天気はイマイチ。曇り空で、時折小雨がぱらついている。以前から、一度やってみたかったこと。それは、福岡市の天神中央公園(ニューヨークのセントラルパークをモチーフにしているそう)の芝生の上でランチを食べること。
近くのコンビニで弁当を買い込み、いざ、公園に入ろうとすると、なんと工事中(芝生養生中?)で入れなかった。残念!気を取り直して周囲を見渡すと、目の前に「アクロス福岡」がそびえ立っている。
アクロスは、今からおよそ20年前(1995年)に建てられた複合施設。建築当時話題をさらったのは、階段状に建築されたビルの各階の屋上部分を階段で結び、その全面を緑化するという壮大なスケールの屋上庭園(ステップガーデン)。
当時めっちゃ話題になっていたけど、地元県民でありながら20年間行ってみたことがなかった。このチャンスを逃せば、二度と登らないかもしれないと思い、意を決して登攀開始。
このステップガーデンは、1階部分の外のエントランスから入って、屋上(15階)まで続き、東側と西側に階段が設置されている。庭園から建物に出入りすることはできないので、一度登りはじめたら最後まで覚悟を決めるしかない。
階段そのものは、一段の高さが抑えられていて登りやすい。でも、さすがに建築から20年の歳月は伊達ではなく、植えられた植栽はどれも立派に育っていて、鬱蒼とした森の中に迷い込んだよう。ところどころにベンチが設けられているけど、とりあえず最上階をめざす。
植えられた植物には、プレートが取り付けられていて、説明によるとなんと58種類もの植物が植えられているそう。ふだん目にする機会がない珍しいものも多い。そんなプレートを横目で見ながらひたすら上を目指していると、やっと14階まで到着。
さすがに、高い。眼下の歩道を歩く人が豆つぶのよう。海こそ見えなかったけど、遠くの山々まで見渡すことができて、ちょっとした登山気分。階段を350段以上登ってきたのに、ほとんど息が切れていないのは、日頃歩いていて鍛えられた心肺機能がまだ衰えていないせいかな。
残念ながら、最上階の屋上庭園は、週末のみの開場だそうで、本当の意味での頂上を極めることはできず。ひとつ下の階のベンチで弁当を開く。開業以来ずっと縁がなかったアクロスの「空中庭園」に、今日、こんな形で来ることになるとは。
ベンチの横を、何人もの人たちが登ってゆく。たぶん、東と西の階段を使って周回できるので、お昼休みに運動しているのだろう。中には、今度開かれる福岡マラソンのTシャツを着て、ランニングシューズにサングラス姿の本格的な恰好の人も。
弁当を食べ終えて、西側から登ってきた階段を今度は東側へ降りることに。途中で、水が流れる音がしてきたと思ったら、なんと滝が流れていた。階段状のステップを流れる滝は、1階の喫茶店の壁を涼しげに落ちてゆく。確か、この水は循環しているはず。
建築当時は、屋上緑化の最先端といわれ、その省エネ効果や建築コストが注目を集めていた。このブログを書くにあたって改めてアクロス福岡のオフィシャルサイトをチェックしてみたけど、どこにもステップガーデンの事には触れていない。ちょっと、残念。
もし近くに来たら、ぜひ一度寄ってみてほしい。急ごしらえのとってつけたような緑化には真似のできない、確かに20年の歳月を経た小さな森が、そこには確かに存在しています。(写真は、画像検索サイトからの転載です)

