ふんわり風船ハート みぶき えみ@月の記憶の声を聴く人

   

月の記憶の声を聴きながら綴る

みぶきえみの世界観🌙

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前のお話

下矢印

 

 

ある冬の朝、目覚めると

母と弟がいなかった。

 

父は身支度をしていて

母はすぐに帰ってくるから

いい子にしているようにといい残し

仕事に向かった。

 

しかし、何時間たっても

母と弟は帰ってこなかった。

 

寒くて、心細くて、淋しくて

お腹がすいて・・・

 

泣いても、誰にも聞こえないし

誰も助けてくれない。

 

辺りはだんだんと暗くなり

電気をつけることを知らなかった私は

真っ暗闇の中で、ただ、うずくまっていた。

 

ふと空を見上げると

沢山の星たちと細く輝く月を見つけた。

 

 

いつもは、昼間の空や雲を眺めていた私が

初めて、満天の星空に出逢った。

 

星たちはたくさんいるのに

お月さまはひとりだけ。

 

お月さまも、今の私のように

ひとりで淋しいんじゃないかって思ったら

少し、心細さが和らいだ。

 

いつまで待っても、母も弟も

そして父も帰ってこなかった。

 

 

大人になってから

 

「ひとりぼっちのお月さま」っていう

 

絵本を描いたのは

この時の経験があったからかな。

 

 

絵本の全文