ふんわり風船ハート みぶき えみ@月の記憶の声を聴く人

   

月の記憶の声を聴きながら綴る

みぶきえみの世界観🌙

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前のお話

下矢印

 

 

私は、知らない間に

眠ってしまっていたようだった。

 

目が覚めると

そこにはいつもの日常があった。

 

その瞬間は安心したものの

また、置き去りにされるのではという

恐怖感は引きずったままだった。

 

相変わらず、両親はけんかの日々。

その日、ひとつだけ違ったのは

父と母の言い争いの内容。

 

両親は別れ話をしていたんだと思う。

 

そして、その中で

繰り広げられる会話は

私の心を凍り付かせるものだった。

 

 

別れを決めた両親が

子供を押し付け合う。

 

 

実際、この時のことは

大人になるまで忘れてしまっていた。

 

 

私が暗闇の中で過ごした日

母は、まだ1歳の弟をおんぶして

家を探しに行ってたんだそう。

 

そして、手に職もなく学歴もない母が

子供をふたり育てるのは難しく

 

私を父のもとに残そうと思ったこと。

 

けど、話し合いの中で

子供は母が引き取り

父は養育費を支払うということに

なったようだった。

 

これは、高齢になった母が

話してくれたことだった。

 

母親になった今の私なら

その気持ちを理解しようと

歩み寄れたかもしれない。

 

けど、幼い私の中には

父にも母にも捨てられたという想いが

強く残ってしまった。

 

そして、無自覚ではあったけど

女は価値がないという想いを

現実として体験していた。

 

だから、母と弟との

3人の生活が始まっても

私は「育ててもらっている」という

気持ちから解放されることはなかった。

 

いい子でいないと、また捨てられる。

 

母が望む人生を歩むことを

幼いながらに決めたのだ。