ふんわり風船ハート みぶき えみ@月の記憶の声を聴く人

   

月の記憶の声を聴きながら綴る

みぶきえみの世界観🌙

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前のお話

下矢印

 

 

3歳のお誕生日直前

私たち家族は、岩国へ引っ越した。

 

私が人生で唯一

広島以外の土地に住んだ場所だ。

 

錦帯橋は、家のすぐ近くだった。

 

私は、毎日10円を握りしめて

橋を往復することを楽しんだ。

 

 

夏には、錦川で水遊びをしていた。

 

 

まだ、2歳の私が

ひとりで外に出たとは思えない。

 

きっと母と一緒だったんだと思うけど

その記憶が全くない。

 

ただ、ひとりで黙々と橋を渡ってた

記憶しかない。

 

しばらくして

近くの観光ホテルの子と友達になった。

 

もう名前も思い出せないけど

彼女と一緒にホテルの食堂で遊んだり

花を摘んだりするのが

楽しくて仕方なかった。

 

この子が誰なのかを知るのは

父が亡くなった時だった。

 

束の間の幸せな時を過ごした後

両親のけんかが絶えない日々が始まった。

 

母は弟を妊娠していて

気持ちが不安定だったのもあっただろう。

 

そんな日々の繰り返しの中で

私は、自分の殻に閉じこもり

空や雲を眺めるようになった。

 

 

 

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下矢印