口をついて出た言葉は
「あの、なにか不機嫌なんですか?」
だった。
あるお店に
2日続けて行った。
2日続けて
レジに同じ女性がいた。
私と同じくらいか
私よりちょっと若いくらいかな。
会計をしようとレジに行くと
その女性がとてもこわい顔をして
こちらを見ることもなく
ツンケンと接客する。
2日続けて同じ様子。
正直、イラっとして
この態度ないわ!って思って
そうしたら言葉が先に出ていた。
「あの、なにか不機嫌なんですか?」
大人気ないね(笑)
するとその女性はハッとして
初めて私の顔を見て
そして、こう言った。
「あ…ごめんなさい。
何かあると顔に出ちゃって。
いろいろなことが重なって…
いろいろあって…
話してたら涙出ちゃう」
彼女の目が
みるみるうちに
潤んでいった。
今度は私がハッとして
彼女に持っていた嫌悪感や
意地悪な気持ちが
すっと消えた。
「そっか、いろいろありますね。
いろいろ重なったりしますね。
でも、絶対に大丈夫。
必ずいい方に行きます」
私がそう言うと
彼女は少し笑った。
「そうですかねぇ…
だといいですねぇ…
本当にいろいろあって…」
「そんなにおつらいのに
こうして仕事をなさっていて
立派です」
ホントにそう思ってそう言った。
するとその目から
涙がこぼれた。
「やだ」
彼女は指で涙をぬぐいながら
笑顔で私を送り出してくれた。
「〇〇円のお返しです。
ありがとうございました」
「お世話さまでした」
まったく
知らないもの同士の人生が
少しだけ交差した。
最初は
不快な気持ちから
大人気なく言ったことだった。
私が言ったことで
彼女が心の中どう感じたかは
知るよしもないけど…
それでも、彼女が
感じ悪いイヤなヤツだと思って
立ち去らなくて済んだことを
うれしくありがたく思った。
きっと私は
彼女について何も
知っている必要はなかった。
知っている必要があるものが
あるとするならば
それは、あれが
彼女の本当の姿ではないし
彼女は絶対に大丈夫だと
いうことだけだろう。
ひとつだけ言えるのは
私は彼女の本当の姿を
見たということ。
1日目にその店に行った時
あまりに彼女が感じ悪かったので
奇跡のコースで教わったように
聖霊に祈った。
「あの人の本当の姿を見せてください」
って。
次の日
同じ店に行く用事ができて
また彼女に会い
そんなことがあって
感じ悪い店員としてではなく
いろいろありながら
一生懸命に生きる
美しいひとりの人間としての
彼女を見た。
私は奇跡を見た。
奇跡とは
「ほんとうのこと」
を見ること。
「ほんとうのこと」が
見えるように
知覚が変化すること。
「ほんとうのこと」を見ると
言葉にならない感動を覚える。
真実に出会う時
心が震えることに
理由も説明もいらない。
そして、それが
無条件に真実だと感じられる。
そんな奇跡は
奇跡を見ようという
心構えのあるところに訪れる。
奇跡のコースは
そのとても簡単なやり方を
私に教えてくれた。
人生に奇跡が満ちてゆく。
帰りの車を運転しながら
あの人が幸せに、笑顔に
なりますように、と祈った。
心の底から思った。
あの人は絶対に大丈夫、って。
私がなんとかするんじゃない
聖霊が彼女を助けるんだから
絶対に大丈夫、って。
そう思うと
涙がこみ上げてきた。
他者への祈りは
自分への祈りであると感じた。
あの女性が見せてくれたのは
私が心の奥底に
持っている苦悩であり
その苦悩ですさんだ心で
歪んだ私の姿であり
また、かつてそうであった
許せていない私の姿の残像。
そんな私を
どうか許してほしいと
近づいてきた私の姿の残像。
許しとは
私たちが行うのではなく
聖霊が行う。
それが起こるよう
聖霊がはたらく。
それは他者への許しに見えて
自分への許し。
私は彼女によって
聖霊に許され、救われた。
この世界の
すべての人が美しいのだと
その出来事で思った。
そう思えない日も
何度もやって来るけれど
それでも私は戻ってこよう。
この世界のすべての人が
美しいと感じるこの場所に。
私たちの本当の姿は
私たちが思っているようなものでは
ないのだというこの場所に。
それは神によって保障されている。
私が奇跡のコースに出会って
初めて目に留まった言葉。
私とコースの物語は
この言葉から始まった。
そして月日が流れ
私は今とても幸せ。
イエス・キリストの言葉を
書き取った書籍ということで
スピリチュアルな色を
濃く感じられがちだけど
それは一旦脇に置き
生きる上で有益な考え方を
学ぶと考えると
奇跡のコースはとてもシンプル。
スピリチュアルなものに触れる
と言うよりも
「それを知ってやってみると
すごく楽になるらしいんで
やり方を聞いてみよう」
というシンプルな気持ちで
奇跡のコースに
触れてもらえたらいいなぁって
いつも思ってて。
なにそれ
ヘンなのって思ったら
それこそ来てほしい(笑)
共に行きましょう
奇跡の道を。


