皆の神力が分かったところで神谷さんが目覚めた。
「ところでフランは何の神力なの?」
「ローゼマイン様。私は前世は灰色神官で魔力を持ってはいませんでしたので今回神力は持っていません。」
「えーそうなのですか?」
「神力を使う要領は魔力を使うのと一緒だから魔力を持たなかったものに神力は扱えないと言うことだな。」
「はい。残念ながら神力を用いて皆様の役に立つ事ができずに申し訳ありません。」
「しかしフランにも武器はあるじゃないか!?」
「武器?」
「フランは天才ハッカーの神谷龍彦の右腕としてやはりコンピューターの達人だ。」
「えーそうなのですか?」
「フランは龍神様とコンピューターで会話ができる。僕は中に龍神様がいるから普通にできるけど。」
「えーすごいですね。じゃ神谷さんが居ないときでもフランがいれば龍神様とコンタクトできるのですね!」
「僕とフランが離れることはないけど。」
「で、神谷さんにもヴェローニカの事を伝えても良いのですか?」
「神谷さんは龍神様を宿している時点でこの件に多いに関わってる。ヴェローニカは既にこの世界の穢れになっているから祓う対象だ。知る権利はあるし協力もしてもらう。」
「僕は龍神様と契約してるしね。この世が穢れで破滅するのは嫌だしね。僕にできることは何でもするよ。」
「では、現在のヴェローニカの状況を説明しましょう。」
「ヴェローニカはフェルディナンド様のお父様を手に入れるためにセラディーナ様を手に掛けたことは明白なのです。その時に使われた毒はフィリーネが潜入している製薬会社が秘密裏に作り出したドラッグですぐに死に至らしめるものではなく精神に作用して心を操り肉体も徐々に衰弱させるというものです。」
「まるでトルーク?でもあれは死にはしないですよね?」
「トルークも長年使用すると身体が衰弱して死に至る。」
「そうです。セラディーナ様はフェルディナンド様をご出産直後からヴェローニカにその薬を盛られていてご健康だったにもかかわらず体調がずっとすぐれない状態になってしまいました。」
「フィリーネが調べた所によるとその製薬会社はヴェローニカの父親の後援会の重鎮として新薬の認可など便宜を図ってもらっていたこと。そして闇のドラッグを開発してそれを売れば多額の利益が生まれる。ヴェローニカはその薬の実験台としてセラディーナ様を差し出したのです。」
「そしてそのドラッグはセラディーナ様の実験により体を衰弱させる成分を取り除くことに成功して精神だけに作用するように作られたました。その完璧ドラッグでフェルディナンド様のお父様に盛ることができたのです。」
「ローデリヒがそのことについての資料をスパイに入っている弁護士事務所で発見しました。」
「ヴェローニカはフェルディナンド様のお父様の心を得たかったようですがどんなにドラッグを使おうともセラディーナ様の記憶を消す事ができずにかえって苦しませる事になりました。そのために衰弱する成分は取り除かれているにもかかわらずお父様は心が抵抗を続けたためにお体が衰弱しました。」
「しかしフェルディナンド様が目覚めたので昨夜、ヒルシュールが密かにお父様に会い癒しを送りました。後数回癒やしを送れば回復すると思われます。」
「皆ありがとう。」
「ありがとう存じます。」
「ヴェローニカはユルゲンシュミットのカーオサイファが送った刺客ということなのか?」
「はい。まず間違いないと思います。自分の都合で人を殺めても平気でいられたり、フェルディナンド様をこれでもかといじめるさまはカーオサイファに魅入られてるとしか形容できません。」
「ヴェローニカが悪さをすればするほどこの世の穢が進むと龍神様が仰っているとフランが言っていたな?」
「はい。カーオサイファが盗んだ珠の行方はヴェローニカも知っているのか?それとも盗みにヴェローニカも噛んでいるのか?」
「珠に関しては未だ情報はつかめません。」
「しかしこの所フェルディナンド様へのいじめも増大してましたし、穢が増大しているのは確かです。殺人を悔いることが出来るといいのですが…最悪封印することを考えねばならないですね。」
「ヴェローニカの事は気になりますがドラッグをどうにかしないと行けないのではないですか?」
「そうだな。製薬会社の悪事を暴けばヴェローニカも捕まえることもできるし、穢れや、悪意を減らすこともできる。珠の行方の情報もつかめるかもしれない。」
「では製薬会社を吊し上げましょう!」
「製薬会社でドラッグが作られている証拠は手に入れてあるので先ずはそれをネットで拡散しましょう。」
「文章はエルヴィーラが神力で書き上げフランがコンピューターで拡散するとしましょう。」
「ヴェローニカからフェルディナンド様のお父様を引き離して製薬会社の目をそらせましょう。」
「それでしたらハルトムートが既にお父様を保護して地方の寮寮所に移しました。今頃ヴェローニカは慌てふためいていると思います。」
と…フェルディナンドのスマホが着信音を鳴らした。
相手は兄である。
フェルディナンドが出てみると…
「もしもし?フェルディナンドか?お前家を出たんだってな?父さんも一緒か?」
「兄さん…一緒ではない。僕はお祖母様の遺産を貰ったんですよ。坂の上の洋館です。」
「そうか…で、父さんと一緒ではないんだな?」
「ええ。一緒ではありません。何かあったのですか?」
「いや、知らないのならいい。もうここへ帰って来ることはないのか?お祖母様の洋館を相続したということはこちらの財産は放棄するということで間違いないな?」
「はい。お祖母様の遺産だけで結構です。」
「では、こちらの分の相続放棄を手続きする。顧問弁護士に連絡を入れておく。父さんから連絡があったら必ずこちらに連絡するように。」
「はい。分かりました。」
兄はジルヴェスターの器ではあるが本当に別人なんだなぁと改めて思った。
「ヴェローニカが焦っているようですね。お兄様を使うなんて。」
「そうだな。ではエルヴィーラ始めてくれ。」
「かしこまりました。もう草案は出来上がってます。細かい所を詰めたらフランに広めてもらいます。」
と、ここまで。