フェルディナンド達は洋館を閉鎖して新たに箱根神社に近い場所に廃城した旅館を買い取ってそこに拠点を置いた。
ハルトムートとユストクスは弁護士事務所を空けるわけにはいかないので横浜に居たまま連絡係をクラリッサ、ダームエルが務めた。
闇の帝王ことダンケルフェルガーのヴェルデグラフにはマグダレーナの事の一部始終を報告したところ自分の父が汚名を着るところだったのを防いでくれたと感謝されクラッセンブルグや、トラオクヴァールなどから何かしらあれば全面的に協力すると言われた。
実は息子のレスティラウトが隣の学校のマインに御執心だったことが発覚したのだが既に双方に婚約者もあり認められないと彼は英国に留学していった事はフェルディナンドたちにはユストクスは秘密にした。
フェルディナンド達は穢れの化身を抑えるにはトラオクヴァールを先ずは排除しようと動いた。が、マグダレーナを封印浄化するとトラオクヴァールは大した敵ではなかった。
フェルディナンド達が通っている学園を経営しているだけでフェルディナンドが退学してしまえば手を出すこともできない。ヒルシュールもエルヴィーラも退職してしまえば恐るに足りぬ相手ではあるが一応国の教育機関を牛耳っている一族なのでフランとエルヴィーラの力を使ってネットに実態をばら撒いた。
すると面白いように学園の評判は地に落ち彼の政界進出は挫けた。
学園の方もセレブ御用達だった為に寄付金が潤沢にあったのだがそのセレブの子女たちが挙って転校してしまい理事たちからは一族の経営撤退を迫られた。
そしてそれに伴いジギスヴァルト達が犯した罪も白日のものとなりヒルデブランドは少年院に送られジギスヴァルトは留学先でも似たような事を犯し現地の警察に逮捕されていた。
クラッセンブルグはトラオクヴァールの一族の凋落でエグランティーヌとアナスタージウスとの婚約を解消。
エグランティーヌにはアナスタージウスへの恋情などなかったから素直に婚約解消を受け入れたがアナスタージウスはそうはいかなかった。
エグランティーヌの事をそれこそ子供の頃から好きでジギスヴァルトに取られそうになった時でも諦めきれずにジギスヴァルトの悪事を裏から暴こうともしていた。
そして棚ぼたのようにジギスヴァルトが留学して婚約者が自分になったことで浮かれていた。
しかしマグダレーナの件からこれまでの悪事や諸々のことが暴かれエグランティーヌとの婚約解消になり自暴自棄になっていた。
そして…アナスタージウスはエグランティーヌを手に入れられないのなら攫うしかないとエグランティーヌを誘拐した。
クラッセンブルグは青くなり教祖に助けを求めたが流石に穢れの化身でも何の怨念も抱いていないエグランティーヌを見つけることはできない。
アナスタージウスにしても、持っているのは怨念ではなくエグランティーヌに対しての恋情、思慕だけでは見つけることはできない。
途方に暮れるクラッセンブルグにハルトムートが接近する。
自分の主はエグランティーヌがどこに居るか見つけられると囁いた。
と、ここまで。