クラッセンブルグの当主は焦っていた。
娘のエグランティーヌは元は彼の愛娘の忘れ形見本当は孫に当たるのだ。
愛娘はかつて自分が野望を抱いてその駒にしてしまった娘。
娘も政略結婚などは受け入れてはいたが生まれつき体が弱く全てにおいて諦めていた。が、政略結婚させた皇族の血筋の元家族の御曹司との縁は娘を変えた。
彼女は御曹司の思慮深い所に惹かれ彼に恋したのだ。幸せな結婚生活を送った彼女は直ぐに身籠ったが生来体が弱く出産には耐えられないかもしれないと言われていた。
しかし政略結婚とは言え夫を心から愛した娘は命をかけ産むとした。
そんな所にクラッセンブルグの野望を挫くために当時対立していたベルケシュトックの当主からの刺客に娘が、攫われ御曹司は政略結婚の相手ではあったが娘を心から愛していた為に娘の事を探し回った。臨月を迎えていた娘は救出した時息も絶え絶えだった。
御曹司は娘を救出した時に負った怪我がもとで子供の顔を見ることなく亡くなった。
その衝撃から出産が早まり産むと直ぐに亡くなった。
自分の野望のために孫のエグランティーヌから両親を奪ってしまった事に申し訳ないと娘として護ってきた。
しかし自分はまた同じ過ちを犯そうとしていた。エグランティーヌに自分の仕事の駒になれと最初はジギスヴァルトと、そして次にアナスタージウスと婚約させてしまった。
エグランティーヌは舞踊に惹かれていてその道に進みたいと言っていたのを聞き入れず女は望まれて結婚するのが幸せと押し付けていたのだ。
エグランティーヌはジギスヴァルトもアナスタージウスにも恋情の欠片も持ち合わせてはいないときっぱりと言っていたのに…
そしてトラオクヴァールの失態が続き教祖からももう奴を切れとの指示。
クラッセンブルグはこれを期にエグランティーヌが望んだ舞踊の道へと進ませることにしてあと数日で英国に留学することが決まっていた。
そんな時にアナスタージウスにエグランティーヌが攫われてしまった。
アナスタージウスの事はそれ程優秀でもなく野望も抱いていない撮るに足らない愚鈍だと断じていたがまさかこんな強硬に出るとは思いもしなかった。
そんな隙をつかれ攫われたのエグランティーヌを探すにはアナスタージウスを知らなさすぎた。
教祖にも探してくれるように頼んだが無理だと突き放された。
どうするべきかと思案していると…
そこに教祖が敵認定しているフェルディナンドの後ろ盾の弁護士事務所のユストクスとハルトムートが接触してきた。
エグランティーヌの行方を探せると言う。
藁にも縋る思いで2人に対峙した。
と、ここまで。