本性
(えーーーーーーーーーーーーーーーっ)(なにそれ!)(本性!?)(そんな大げさなーーー)(※画像は、ことばの現代アーティスト イチハラヒロコさんの展示作品です)***傘があっても、ほとんど役に立たないような、ゲリラ豪雨。稲妻が走り、ごろごろと不気味な音が続く空の中、電車が駅に着き、改札口への階段をあがっていると、クイクイとリュックを引っ張られ、振り返ると夫の笑顔。「おおーーー!」「傘持ってる?」「うん」「なんで持ってるねん」「日傘兼用やから。持ってないの?」「うん。いれて!」「いや」私だけが傘をさし、てんちゃんは傘なしで、ふたりで一緒に雨の中を小走りで家に帰ることを、まったく疑ってなかったのだけど、改札を出ると、一緒に帰らず、コンビニに行くという。「えーーーーーっ、コンビニに行くあいだに、半分くらい家に帰れるやん!」(わけわからんな)(せっかく一緒に帰ろうと思ったのに!)と思ったけど、読みたい雑誌があるのかもしれないし、まあいいわと思って、新しいパンツのすそをくるくると折り曲げて、家に帰った。夏休みで家にいる子どもたちは大騒ぎ。マンションの窓から、稲妻が走るのが、バンバン見えたとか、大コーフンで報告してくれる。「停電なかった?」「ない」「してたら、オレら、こんなんしてへんやろ」(そりゃそうやけど)雨はしだいに小止みになり、ゴハンができたころ、てんちゃんが帰ってきた。で、なにやらブツブツ子供たちに言ってるのだ。「オレは、今日、おかあさんの本性がわかった。どう思う? 傘に入れてくれへんねんで。ひどいやろ? で、おとうさんはコンビニに雨宿りに行ってん。かわいそうやろ?」(えーーーーーーーーーーーーーーーっ)(なにそれ!)(本性!?)(そんな大げさなーーー)ひとりで傘をさしていてもずぶぬれになる雨の中を、相合傘!? わけわからんし。しかも、てんちゃんは、おうちでじゃぶじゃぶ洗濯可能なポロシャツとチノパン。どうせ、汗だく。天然シャワーで気持ちいいくらいやん。私は、本日おろしたての〈要クリーニング〉のデザイナーズパンツ。まだ、1回しか履いてないのに、折り目がとれるほどずぶぬれになるなんて、(いや)って即答するのは「当然」ですーーーっ。「愛情」とか「本性」とかそういう根源的な問題ではないと思うのですが、どうなんでしょう? 一方的な詭弁なのかな。私としては、一緒に帰りたかったのに、コンビニに行かれてしまって、寂しかったのに!でもまあ。傘をさした私と、傘なしのてんちゃんが、ふたりで走って家まで帰る情景を思い浮かべても、なんの「違和感」も「罪悪感」も感じない……つまり、「お姫様」で(いられると思って)いることが「本性」だと言われたら、なるほどなあって思います。女子は永遠にお姫様ですもん。浜田えみな