自分にとって
「絶対」と思うことって、
人それぞれ、違うのです。


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ちょっとつぶやきます。


私は原画主義です。


原画こそがホンモノだと思っています。
原画を観たいから美術館に行きます。
印刷されたものの色は、原画の色とは全くちがいます。
そのことに気づいてから、ポストカードも図録も買えなくなりました。
展示室の出口の次に必ずあるお土産売り場は、ほとんど目をつぶって通り抜けます。
今、観てきたばかりの原画の色が、印刷物の色に上書きされてしまうことが、とても、モッタイナイ。そう思うからです。

作家さんにとっても、「原画」は特別なのだと思っていました。


ところが。
ある作品展に行ったとき、作家さんご自身が、


「私にとって、原画にはそんなに価値がないというか、途中段階というか……」


とおっしゃっていたのを耳にしたのです。


そのかたにとっては、印刷され、製品になったものが完成形だというのです。
原画の色ではなく、印刷された色が、ホンモノなのだと。
そのかたが、商業的なイラストレーターさんだったからかもしれません。
依頼を受けて描いた絵は、本の表紙になったり、ジャケットになったり、パッケージデザインになったりしますが、それらは必ず印刷されていて、製品の発色やサイズこそが、多くの人の目にふれ、存在しています。


そう言われてよくみれば、原画には修正の跡があり、マンガの原稿みたいにホワイトだらけ。
実物は、とっても小さい作品だったり、ひとつずつ描かれた作品だったりします。
それがスキャナで読みこまれ、組み合わされ、原画だけでは持ちえない息吹が吹きこまれ、製品として命を与えられて躍動するのです。


そうか。
そういう考え方もあるのです。
自分にとって「絶対」と思うことって、人それぞれ、違うのです。


でも、わたしは原画が好き。


浜田えみな