(日本一新第45号より転記)

発災翌日の3月12日、岩手県選出参議院議員である平野達男内閣府副大臣が、23人の事務方と共に岩手入りし、岩手県庁内に政府の現地連絡対策室を立ち上げました。事務方は、内閣府の防災担当参事官の下に各省庁の若手で構成。県庁内には、11日のうちに自衛隊の連絡窓口もでき、その後、北東北3県を管轄する第9師団の司令部が青森市から岩手県庁に移されました。


 これにより、発災当初から、被災地が直面する課題について国と地方自治体の職員が共同で解決する体制ができました。同じころ、県は、停電と通信途絶の中で、12の沿岸市町村全てに本庁職員を派遣して、状況を把握し、初動を支援しました。市町村と、県と、国の各省庁がつながって、人命救助、避難、応急復旧、被災者支援を展開しました。避難所のケアは、自衛隊に負うところ大です。


 工場で研修をしていた中国人が多数被災したので、外務省の中国語ができる職員にすぐ来てもらいました。被災市町村の行政機能が大きく損なわれており、県や他市町村からの大規模な支援が必要だということで、市町村行政に詳しい総務省職員に来てもらい、支援体制作りを手伝ってもらいました。その他にも、いろいろと、現場の要請で各省庁に動いてもらいました。後に政府が決めた被災地支援策のかなりの部分は、市町村、県、各省庁の事務方の「現場力」で作り上げたといえます。

ガソリンなどの燃料不足が長く続いた件は「現場力」では対応しきれず政府による全国的な調整力と指導力の不足がたたりました。なお、宮城県の政府現地連絡対策室担当の東祥三内閣府副大臣が岩手の被災地入りした時に、仮設ガソリンスタンドの設置を現地で決めてくれ、すぐ実行されたのは助かりました。


 「政治主導」を感じたのは、がれきの処理です。樋高剛環境政務官が政府のがれき処理プロジェクトチームの座長となり、関係省庁の事務方を糾合し、平時であれば1年かかるような省庁間調整を2、3日で終わらせました。阪神淡路大震災時を上回る財政措置も決まりました。がれき問題は被災市町村長が抱える最大の悩みの一つであり、大いに助かりました。樋高政務官は、中選挙区時代に小沢一郎秘書として陸前高田市などの今回の被災地を担当しており、かつて一軒一軒歩いた家ががれきとなってしまった、そのがれきの問題は何としても解決しなければならない、と言っていました。


 発災直後、私が被災地の市町村長さん達にお願いしたのは、住宅地図で一軒一軒確認するように被害状況を把握すること、名簿をしっかり作って住民の安否状況を把握すること、でした。住宅地図と名簿は、小沢一郎さんに習った選挙手法でもあり、災害対策本部長の仕事は選挙対策本部長の仕事と共通点がある、と思いました。


 また、私は津波の被害を受けなかった内陸の市町村長さん達に集まってもらって沿岸支援への協力をお願いし、さらに、県内の諸団体に被災地支援をお願いする文書を作って協力を依頼しました。目的を達成するために、より多くの団体、企業、個人の支援を取り付けていく、というのも選挙の手法に似ています。選挙において有権者の力を結集して為すべきことを実現する手法は、災害においてあらゆる力を結集して被災者を救う手法と共通するのです。


 ちなみに、団体対策に強い自民党本部は今回の災害でも動きがよく、経団連と被災県を直接結ぶホットラインは、経団連の機関紙で喧伝されていますが、自民党災害対策本部が仲介してくれたものです。


 がれき処理で財務省が前例のない財政措置を認めたのには、小沢一郎さんのはからいがあったと思います。小沢一郎さんが岩手入りした時、私との会談では「県は補正予算でいくら確保したか」とか「国の本予算には○兆円の予備費があるから、まずそれを使えばよい」とか、財政的な話が中心になりました。財務省筋から、かなり情報を得ており、また財務省に対してかなり影響を及ぼしているな、という印象を受けました。がれき処理以外でも、財務省が前例のない財政措置を認めた分野がいくつかあります。


 私は、平安時代の中央政府による東北平定の歴史を踏まえ「東祥三さんは宮城駐在の征夷大将軍、平野達男さんは岩手駐在の鎮守府将軍。今回は地方勢力と力を合わせて東北の平安のために働いていますが、小沢先生こそ2人の将軍の上にいる大将軍だと思っていますからね」と言いました。小沢一郎さんは、「はっはっは」と笑うだけでしたが、本人も大将軍的な立場を自覚していろいろ手を打っているのだな、と私は感じました。


 それから、仙台空港を在沖縄米軍が片付けたのは、新進党から自由党のころに小沢側近と呼ばれていた元衆議院議員の米津等史さんの働きかけによるものだったようです。米津さんは普天間問題の関係で在沖縄米軍と一緒に仕事をしており、大震災津波後、仙台空港が放置されているのをテレビで見て、在沖縄米軍に片付けられないかと持ちかけたところ、じゃあやろう、ということになった由。ここでも小沢一郎の弟子が奔走していました。


 大震災津波そのものによる被害への対策については、「小沢力」がかなり有効に働いていると思います。しかし、今のままでは、「小沢力」が全く生かされないのが、原発対策です。本人も、そこが一番もどかしいと感じているのではないでしょうか。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/110416/edc11041608100003-n1.htm


困難を克服できる日本人

2011.4.16 08:09


第9回産経志塾 講師として作家の佐藤優・元外務省主任分析官


ギリシャ人は2つの時間があると考えた。「クロノス」は時系列な時の流れ、「カイロス」はある出来事によって歴史や人生の意味が変わる瞬間。


2011年3月11日は、私たち日本人のカイロスとなった。  新しい日本を作りつつある今、このカイロスと対峙(たいじ)して根源的に、命とは何か、日本は存在する意義があるのか、日本人とは何かを考える必要がある。日本人は、国家の危機を団結して乗り越えてきた。  日本が終戦後、基礎にした欧米的な近代主義には「合理主義」「生命至上主義」「個人主義」の原理がある。これらの原理では解決できないことに直面している。近代主義を超克しなくてはならない。日本人はこれを乗り越える力をもっている。今、震災の現場では、わが国のために命を差し出す人たちがいる。  


こういう時には文学の力を借りる必要がある。小説「塩狩峠」(三浦綾子著)は、暴走列車を自らを犠牲にして止めた鉄道職員の物語。考えてからではなく、体が自然と列車の前に動いた。思想即実践、実践即思想。この中に、私が考える大和魂、日本精神がある。  明治天皇の有名な歌に「敷島の大和心の雄々(をを)しさは 事ある時ぞあらはれにける」がある。16日の天皇陛下のビデオメッセージでも、この「雄々しさ」という言葉を使われた。天皇の言葉に人々は大和魂が揺さぶられた。日本の根源的な力を信じることが大事なのだ。  メメントモリ(死を思え)という言葉がある。戦前の学者、田邊元氏の「死の哲学」を読むといい。原発事故が起きた。電気なしでは生活できない時代は、常に死のリスクを伴っていることを認識しないといけない。


戦前のエリート教育を記したものには「統帥綱領」「総帥参考」がある。こういった豊かな遺産から学び、新しい本物のエリートになってほしい。必要なのは擬古文が読めること、国際情勢の分析ができるよう数学ができること、そして英語だ。

 今、政治に力はない。ただし政治家は、民主的な手続きで選ばれている。彼らのだらしなさには、私たち日本人のだらしなさが反映している。勉強は自分のためではなく、国家のためで民族のためだという危機意識があれば学力はのびる。地域、商業活動、研究所、役所…どの集団にも指導的な役割がある。その指導者に自覚的になっていってほしい。

                   ◇

 ≪Q&A≫

 Q 日本の大学は、エリートとして通用する人間を育てられるか

 A 神学部のある総合大学がほとんどないのが問題だが、日本の大学教育は死んではいないと思う。基本的な哲学書を読めば急速に教養レベルがあがる。

 Q 独自の外交ルートを作れたのはなぜか

 A 仕事の上で友達を作るコツは簡単。約束を守るに尽きる。

 Q 学生は今、何をやるべきか

 A まず、きちんと寝て健康を維持する。中高生は学校の勉強をなめず基礎を固めておき、復興のために役立つ人間になること。

 Q 国をよくするために何をすればいいか

 A 税金から給料をもらう「臣」か、自分で稼ぐ「民」かで変わるが重要なのは能力と適性。一生懸命仕事をすることで社会が強くなり、それが国家を強くする。自分の居場所で、一人一人が社会に貢献していくのが大事だ。

                   ◇ 

 ≪塾生コメント≫

 ▼明法中学、千葉陵平さん(14)「日本人の根幹をなす精神の強さと奥深さを、『塩狩峠』の話を例に教わり、感動した。何をするにも、まず勉強しなくてはならないことが分かった」


▼慶応大学、佐藤まい香さん(20)「日本という国にプライドを持つこと、戦前の歴史、書物を学ぶことが非常に大事だと実感。思想は、さまざまな事象に大きな影響を与える。積極的に学んでいかねばならないと痛感した」

 ▼自営業、小山貴之さん(27)「内部事情の話を聞くことができてうれしかった。『大和魂で、絶対に日本を復興させなければ』という信念で、これからの人生を歩んでいかなければと思った」

 ▼会社員、形見健太郎さん(28)「『東日本大震災において、われわれ日本人は限界を超克できることを証明した』という話にとても勇気づけられた」

                   ◇

【プロフィル】佐藤優

 さとう・まさる 昭和35年、東京都渋谷区生まれ。51歳。同志社大学大学院神学研究科修了。60年、外務省にノンキャリアの専門職員として入省。ロシア語を研修で選び、同年5月に欧亜局ソビエト連邦課に配属。62年、モスクワ国立大学言語学部に留学。63年から平成7年、ロシアの日本大使館に勤務、10年には国際情報局分析第1課主任分析官。また、東京大学教養学部の非常勤講師(ユーラシア地域変動論)も務めた。主な著書に「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」(新潮社刊)、「国家の自縛」(産経新聞出版刊)などがある。

5月20日~22日

定員:40名

参加費用:3万円(学生2万円)

お問い合わせ:月刊日本 03-522-0096


残念。海外出張中だ。

えっつい拝

【佐藤優の眼光紙背】日本政府は支援諸国の主要紙に感謝を表明した意見広告を掲載せよ

眼光紙背:第94回

 3月11日の東日本大震災直後、日本に対して同情的かつ好意的だった国際世論が急速に日本に対して悪い方向に変化している。その理由は2つある。

 第1は、福島第一原発事故に関する国際社会の懸念が強まっていることだ。本件に関しては、英語で情報を積極的に開示することで、少なくとも「日本政府が情報を隠している」という疑念を払拭する必要がある。発表文は定型化されたものが多いので電子的な翻訳補助ソフトを用いれば、作業にそれほど手間はかからないはずだ。世界に向けた発信をしないとどれだけ国益が毀損されるかを政府関係者、国会議員は、わが事としてもっと真剣に考えて欲しい。

 第2は、東日本大震災に対し、各国が日本に対して支援を差し伸べているにもかかわらず、日本が感謝しているかどうかがわからないという不満だ。早急に日本政府と国会が手を打つ必要がある。具体的提案が2つある。

 第1は、日本を支援してくれた国の主要紙に日本国内閣総理大臣・菅直人名で感謝を意を伝える意見広告を掲載することだ。

 第2は、国会が、日本を支援してくれた国名をすべて明示した感謝決議を採択することだ。

 この2つの提案を一週間以内に実現すれば、国際社会における対日イメージの悪化に歯止めをかけることができる。是非検討して欲しい。

 なお、政府の意見広告、国会の感謝決議においては、欠落する国があると逆効果なので、細心の注意を払って欲しい。1991年の第1次湾岸戦争を支援した諸国に関する感謝をクウエート政府が米紙に掲載したが、そこに日本の名前が欠落した事件がある。当時の新聞を引用しておく。

解放、ありがとう 30国名挙げクウェートが米で広告、日本の名なし

【ワシントン11日=村松泰雄】「ありがとうアメリカ。そして地球家族の国々」。イラクからの解放を国際社会に感謝するため、クウェート政府が11日付のワシントン・ポスト紙に掲載した全面広告の国名リストに、湾岸の当事国を除けば多国籍軍への世界最大の財政貢献国である「日本」がなかった。日本と同様、兵力の直接提供を拒んだドイツは載っている。
 この広告は、ワシントンのクウェート大使館の提供によるもので、タイム、ニューズウイークなど米有力紙誌の最新号にも一斉に掲載された。米、英、仏をはじめ、貢献規模としては大きくないチェコスロバキアやアフリカ諸国まで、「砂漠の平和」に貢献した「国連に基づく国際協調」への参加30の国名が列挙されているが、財政貢献だけの日本、それに韓国も除かれている。
 このリストは、米ホワイトハウスが先に公表した戦力派遣28カ国に、米国とポーランドを加えたもので、ドイツについては独自の兵力派遣を拒んだものの、北大西洋条約機構(NATO)軍の一部としてトルコに航空戦力を派遣したことなどが、「参加」という位置付けにつながっている。「なぜ国際協調から日本を除いたのか、理由を調べてみるが、意図的な誤りではない」というのが、クウェート大使館当局者の説明だ。
 日本政府は今のところ、この広告に対して措置をとることを「大人げない」として、あえて静観の構えだが、この広告が「評価されない日本」「何をしようとしているのか分からない日本」のイメージを一層定着させることを、恐れている。(1991年3月12日朝日新聞夕刊)


 こういう事態を引き起こさないように、政府関係者におかれては細心の注意を払って欲しい。(2011年3月30日脱稿)

【佐藤優の眼光紙背】菅直人首相が福島第一原発事故に関する国際社会に対する特別声明を発表するタイミングに至っている 2011年03月29日08時30分

http://news.livedoor.com/article/detail/5448073/


佐藤優の眼光紙背:第93回 

3月28日午前の記者会見において、枝野幸男官房長官が「今、おそらく同じ時刻に原子力安全委がこの件についての見解をとりまとめる委員会を開いて頂いていると聞いている。

とりまとめようとしている案はあらかじめ報告を受けている。2号機の地下、タービン建屋の地下にたまっていた水の放射線濃度、これが大変高いことなどを踏まえると、2号機については一時溶融した燃料と接触した格納容器内の水が何らかの経路で直接流出したものと推定される、という分析を受けている」(3月28日asahi.com)と述べた。  


福島第一原発2号機の燃料が溶融したという認識を日本政府のスポークスマンが述べたことが国際的に大きな衝撃を与えている。この衝撃に対する日本側の認識が、率直に言って甘い。記者会見の記者からの「燃料の溶融は一時的なもので止まっているのか、続いているのか」という質問に対して、枝野長官は「これは原子力安全委員会の見解がまとまったら、おそらく記者発表されると思うので、専門的におたずねをいただければと思うが、私のところに報告されている原案では、一時溶融した燃料と接触した水だということできているので、継続的に溶融しているということではないのではないだろうか、と文書からは認識しているが、これは専門家の皆さんに直接おたずねいただきたい」(前掲asahi.com)と答えたが、この溶融に関しては、国際社会の関心がきわめて高いので、専門家や官僚に任せるのではなく、高度な政治案件と考えた方がよい。  

さらに汚染水が海洋に投棄される現実的な可能性がでてきた。3月29日付の朝日新聞はこう報じる。 東日本大震災で被害を受けた福島第一原発で、東京電力は28日、2号機のタービン建屋から外へつながる坑道とたて坑にたまった水から、毎時1千ミリシーベルト以上の放射線が測定されたことを明らかにした。汚染水は容量ほぼいっぱいとみられるが、排水作業は難航している。燃料を冷やすために注水は止められず、水の漏出は続き、汚染水は増え続けるとみられる。このまま行けば、大量の放射能を海など外の環境に投棄せざるを得なくなる。 (3月29日asahi.com)  汚染水の海上投棄が行われると国際社会の世論が大きく変化する。

1993年10月にロシアが低濃度の放射性液体物質を日本海に放棄した映像をグリーンピースが公開した。当時の新聞記事を引用しておく。 ロシア高官「通告済み」 「低濃度、国際基準守る」 核廃棄物投棄  


【モスクワ17日=徳永晴美】インタファクス通信によると、ロシア環境天然資源省のアミルハノフ次官は十七日、ロシア太平洋艦隊の海洋投棄専用船が同日、日本海海上で放射性液体廃棄物を投棄したことを認めるとともに、「国際諸機関および外国政府は、今回の行動については事前に通告を受けていた」と述べた。ロシア側は、低濃度の放射性物質を国際的な基準に従って投棄したとしている。  同次官は、「ロシアは国際原子力機関(IAEA)と海洋汚染の防止のためのロンドン条約の事務局、さらに関係諸国に対して約二週間前に今回の投棄について通告した」と語った。  同省のクツェンコ環境安全局長は、海洋投棄をIAEAで定めた方法と規則にのっとって行うために、投棄用タンカーで同省の専門家が監視していると説明した。  また、同省の核安全問題専門家のルィスツォフ氏は、「投棄されたのは、ウラジオストクのボリショイ・カーメニ地区の原子力潜水艦修理用造船所でできた低レベルの放射性廃棄物で、濃度は一リットル当たり一マイクロキュリーを超えない程度だ」と述べるとともに、今回の投棄総量は、最大限で二千立方メートルであり、全部でも数キュリーの「少量でしかない」、と安全性を強調。投棄された廃棄物が含有しているのはベータ・ガンマ活性アイソトープだけだと付け加えた。  同省の専門家によると、造船所の放射性廃棄物を貯蔵していたタンカーが故障し、湾内に沈没して沿岸を汚染する危険が生じたため、海洋投棄を行わざるを得なかった。投棄はもう一度予定されているという。  ○過去の投棄分で日本、6月に「安全宣言」  ロシア政府の報告書によると、日本海を含む極東海域には、計十カ所の放射性廃棄物投棄海域が指定されている。  旧ソ連時代の一九六六年から九一年に投棄された放射性廃棄物は、原子力潜水艦の原子炉二基などの固体廃棄物、原子炉冷却水などの液体廃棄物を合わせ、膨大な量にのぼる。低、中レベルの固体廃棄物だけで容器にして約六千八百個、廃棄物を積載して沈めた船も三十八隻となっている。 しかし、日本政府は六月、海水や海底土、海産物を調査した結果、廃棄物による影響はいまのところ見られないとする「安全宣言」をまとめた。(1993年10月18日朝日新聞朝刊  


しかし、国際世論はロシアの説明に納得しなかった。その後、ロシアは国際社会から激しくバッシングされた。福島第一原発の放射性汚染水の海上投棄を余儀なくされたときに激しい日本バッシングが起きる可能性がある。ダメージコントロールについて、政治主導できちんと考えておく必要がある。  


3月28日夜、ロシアは国営ラジオ「ロシアの声」(旧モスクワ放送)を通じて日本にシグナルを送っている。

福島第1原発での炉心溶解  福島第1原発の周辺土壌およびその周辺海域では、放射線量の数値が著しく上昇している。  日本の枝野幸男官房長官は会見で、福島第1原発2号機のタービン建屋のたまり水について、「溶融した燃料と接触した格納容器内の水が何らかの経路で直接流出したものと推定される」と述べた。東京電力は、2号機の炉心溶解の可能性については「判断材料が乏しいため、断定できない」との見方を示した。 原子力安全委員会は、2号機タービン建屋のたまり水について、 原子炉圧力容器が破損し、水が漏れた可能性があるとの見方を示した。  


クラチャトフ名称学術発展研究所のアンドレイ・ガガリンスキー所長(引用者註*正確にはクルチャトフ研究所傘下のエネルギー技術革新研究所のアンドレイ・ユリエビッチ・ガガーリンスキー副所長)は、次のような見解を示している。

--福島第1原発では炉心の溶解があったと見ている。少なくとも、6機ある原子炉のうち1機ではすでに溶解が起こったと考えている。すでに格納容器の密閉性は失われた可能性がある。現場の状況はそのような順番で進むものだからだ。  問題は、今後どのように状況が展開していくかだ。福島第1原発の状況はすでにパニックを呼んだ。  原発付近で採取された海水から規制値の1000倍を超える濃度の放射線物質が検出され、原発の放水口から300メートルの地点で高濃度のヨウ素が検出されたとの情報が伝えられた。 米国北部マサチューセッツ州でも、雨水から微量の放射線物質が検出された。福島第1原発での事故による影響と見られている。パニックを解消するには十分な情報開示が必要だ。  日本の隣国ロシアは、原発事故が発生した後、放射線観測を直ちに強化した。現在、ロシアの放射線量は基準値にある。情報はインターネット上でオンラインで掲載されている。(3月28日「ロシアの声」日本語版HP。http://japanese.ruvr.ru/2011/0328/48103540.html )  


クルチャトフ研究所は、1943年にスターリンの秘密指令によって、原爆開発のためにつくられた研究所だ。1955年まで、研究所の存在自体が秘匿されていた。この研究所はプーチン首相の直轄下にある。ガガーリンスキー氏は、チェルノブイリ原発事故の処理を担当した原発事故問題の第一人者だ。ロシアが送っているシグナルを、わかりやすく表現すると次のようになる。

 1.ロシアとしては、福島第一原発で少なくとも1機の原子炉で炉心溶融が起きたとみている。本件に関する事実関係を日本政府が可及的速やかに公表せよ。

 2.情報開示が不十分なためにパニックが起きていることを日本政府は認識し、対策をたてよ。

 3.海洋の放射性物質による汚染にロシアは強い関心をもっている。本件に関しては政治問題であるという認識を日本政府に持ってほしい。


 ロシアだけでなく、欧米諸国も似たような関心をもっているはずだ。これまでの日本政府の発表は、すべて国内向けであるという認識を諸外国はもっている。「福島第一原発の事故がこれだけ国際社会に心配をかけていることを日本政府と日本人は理解しているのだろうか。もはや心配という段階でなく、被害を受けることを懸念しているのだ。それが日本人にはわからないのか」という懸念を国際社会が強めている。


菅直人首相が福島第一原発事故に関する国際社会に対する特別声明を発表するタイミングに至っている。  この特別声明では、溶融の事実関係、海洋投棄を行う可能性があるかについての説明を簡潔かつ明確に行うとともに、原発事故で国際社会に迷惑をかけたことについて率直に謝罪すべきだ。  さらに文部科学省や地方自治体などが放射線の測定を行っているが、これに是非、英訳をつけてほしい。たいした手間はかからない。それによって日本が国際社会に積極的に情報を開示しようと努力している姿勢が、目に見える形で伝わる。(2011年3月29日脱稿)

佐藤さんが、13日、14日と続けて眼光紙背に寄稿しています。

http://news.livedoor.com/article/detail/5412425/


また、ある人は、以下の文書で、「東電の現場の命を賭しての作業」を擁護し、応援しています。


現場を信じよう

http://blog.ushinomiya.co.jp/

原発の最悪はチェルノブイリ、其れが共通認識であろうし、海外の報道を見る、読む限り日本脱出である。東電と言う、役所以上に官僚的な、大企業のトップの姿、情報開示はいつもの光景。この姿を見れば最悪を検討したくなる。が、日本企業の現場の実務能力は凄い。今、現場の判断と経験が磨かれているはずだ。本当なら現場の人々は完全に逃げている。海外であれば逃げても仕方ない程のレベルに来ている。が、現場は逃げない。トップは逃げろとも言わない。が、現場は命を賭して作業している。この現場の判断と経験は、担当役員、学者以上であろう。評論家ではなく現場で命がけの、東電、協力会社の人たちの腕に期待したい、信じたい。トップの判断ではない現場の強さ、此れが日本であり、これからの光明である。


大和魂、日本人としてのありかた、考えさせれる毎日ですが、少なくとも、必死で頑張っている現場の人を応援したい。


副島隆彦氏は、これからの若い人のために、命を賭して、原発の事故現場で、人が嫌がる仕事をする決意を表明しています。(涙)


えっつい拝



http://sankei.jp.msn.com/world/news/110307/erp11030722380006-n1.htm

北方領土「5年で取り戻せる」 佐藤優氏が講演

2011.3.7 22:35


講演する佐藤優氏=7日午後、奈良県奈良市(彦野公太朗撮影)

 奈良「正論」懇話会の第44回講演会が7日、奈良市の奈良ホテルで開かれ、作家の佐藤優氏が「北方領土奪還戦略」と題して講演した。佐藤氏は、昨年11月のロシアのメドべージェフ大統領の国後島訪問を、菅直人首相が「許し難い暴挙」と発言したことに触れ「軽いつもりで言って日露大外交戦争になった。菅さんは何をしでかしたかわかっていない」と断じた。

 また、ロシア側が北方領土で日本の衛星放送を視聴する住民に対し、ロシアのテレビチャンネルを増やす政策をとっていると指摘し「北方領土の脱日本化を進めている」と警告した。

 ウクライナへのクリミア半島の帰属を認めたことなど、ロシアがかつて占領した土地が相手国に返還された例を紹介し「しっかり交渉すればロシアは手放す。日本が一体となって官僚、政治家を鍛えれば、5年で取り戻せる」と強調した


     【 佐藤 優、来たる! 滝田敏幸・県政報告会 】


 下記の通り県政報告会を開催致しますので是非、御来場下さい。
〇 日時 : 3/12(土) 17時~18時半
〇 場所 : 印西市文化ホール
〇 内容 : 第Ⅰ部 「佐藤 優・時局講演会」、第Ⅱ部 「滝田敏幸・県政報告会」
〇 無料
〇 問合せ・申込み : 0476-29-5705


選挙前の県政報告会が主なため、印西市民を対象。

勉強会

日時:11月25日(木)16:00~

場所:衆議院第1議員会館

講師:佐藤優氏

テキスト:「世界史の構造」 著:柄谷行人 刊:岩波書店


申し込み。問い合わせ:新党大地の会