音楽88 〜About A Girl | Remember Every Moment

Remember Every Moment

Live your life filled with joy and wonder!
(人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない…。)

自分のiTunesに入っている曲。

A Sort Of Homecoming (Live) U2
4thアルバム「Unforgettable Fire」のオープニング曲。スタジオ・ヴァージョンはこのアルバムからU2の作品を担当するようになったブライアン・イーノとダニエル・ラノワらしいサウンド・エフェクトの中にU2サウンドの要であるギターが埋れてしまっていますが、「Wide Awake」に収録のライブ・ヴァージョン (これはデヴィッド・ボウイ作品で有名なトニー・ヴィスコンティーのプロデュース) はイントロのアルペジオからシャープにかき鳴らすブレイクの部分、一周回って静かに終わるエンディングまではっきり聴けるので好きです。U2は各アルバムをリリースする時に時代の流行というか先端のサウンドを入れていたりしますが、やっぱり「曲」それ自体がいいのであって、アレンジも結局は4人が生で演奏するという、ただそれだけの方がすばらしいことが多いです。U2が世界的なバンドなのに日本での知名度が芳しくないのはiTunesの強制ダウンロードの件でも明らかですが、それはU2の最高のパフォーマンスがタワーレコードとかに「名盤」として並ぶスタジオ・アルバムのカタログにあるのではなく、実はライブ・ヴァージョンにこそあるから伝わりにくいんだと僕は思っています。ライブが頻繁に行われる欧米に比べれば、それを観る機会の少ない日本でそれに気づくのはかなり幸運です。

U2サウンドを明らかに意識した曲を作るコールドプレイのクリス・マーティンは、この曲を自分の子供のために初めて聴かせた曲に選んでいます。というか、自分の曲ではないんですね…。

U2は僕が全カタログをそらで言えるほど知っている唯一のバンドだ。「アンフォゲッタブル・ファイア」の最初の曲、「ア・ソート・オブ・ホームカミング (注:帰郷のようなもの、の意味。いいタイトルだ) は何回も舞い戻ってしまうほど知っている。それは熱く奮い立たせるような、光り輝く、美しい曲だ。僕の生まれてくる赤ちゃんのために、最初にかけた曲の一つだ。

僕が最初に聴いたU2のアルバムは「アクトン・ベイビー」だ。それは1991年で、僕は14歳だった。それ以前に何てアルバムがあるかすら知らなかったんだ。そこから僕は遡った。月ごとに1枚、6ヶ月、聴いたことのなかったU2のアルバムを買い漁った。彼らが切り開いた新しいサウンド、駆り立てるようなベースとドラムが下にあって、上から漂うなんともいえないほど美しい、エフェクトを帯びたギター・トラックは、それまでに誰も聴いたこともないものだったんだ。彼らはいままでで唯一の、良質アンセム・ロック・バンドかもしれない。間違いなく彼らがベストだね。

僕がU2で一番好きなのは、曲やアルバム以上に、バンドが重要ってところかな。彼らがまだ最高の仲間同士で、お互いの人生で不可欠な友達の役割をみんながしているっていうのがいいよね。彼らは替えが効かないってところが好きだ。たとえばラリー・ミューレン・Jr.が一週間スキューバ・ダイビングに行くっていったら、U2の残りのメンバーは何一つすることはできないんだ。U2はコールドプレイみたいに、アルバムの全ての曲の権利がバンドのものだってしてきている。それに彼らは30年以上、メンバーチェンジも大きな分裂もなく存在し続ける唯一のバンドなんだ。

ークリス・マーティン。2010年12月2日、ローリング・ストーン誌「100 Greatest Artists」より。


So. Central Rain (Live) R.E.M.
ベース・ラインが印象的ですばらしいこの曲は、R.E.M.がデヴィッド・レターマン・ショーに初めてTV出演したときに披露した曲でもあります。当時はカレッジ・ラジオを中心にヒットし、批評家筋にも軒並み好評、というより大絶賛だったデビュー・アルバム「マーマー」がリリースされた頃で、2ndアルバムの代表曲の一つであるこの曲にはまだタイトルがなかった模様です。こんな曲を全米ネットのTVでいきなり演ってしまうのがR.E.M.らしいところです。この日のショーはYouTubeで観れますが、どうみてもこの頃はハブられて不貞腐れたか、自閉症児のようにしか見えないのちのカリスマ・ヴォーカリスト、マイケル・スタイプに代わって、ギターのピーター・バックがメイン・ゲストとして対応し、ベースのマイク・ミルズ (眼鏡なし!) が学生風の姿で質問に答えています。肝心のリード・ヴォーカル、マイケルはといえば、曲が始まる直前に画面の隅からすっと立ち上がり、あまり目線を合わせない感じで歌い始めます。これがR.E.M.というバンドがより大きな注目を集めるきっかけになった瞬間です。

曲はピーター・バックの古典的なDコードのストラムがイントロと“I'm sorry”のサビで鳴り響き、マイナー・コードを織り交ぜながらも軽快でシンプルなコード進行は、R.E.M.はやっぱりパンク・ロックよりのバンドなんだなと改めて感じさせます。“Nightswimming”のような曲は別として、この曲も最初に曲ができて後からマイケル・スタイプが詩をつけて完成したものです。“Gardening At Night”のように、ピーター・バックの実体験が着想の元になっているらしい。

ピーター・バックが語るR.E.M.の曲作りというのは、「まず曲ができてそれをマイケルに渡す。そしてステージに上がるまでマイケルが何て歌うのか俺たちは聴いていない」というものなので、「だから初めて歌詞を聴いた時、本当に感動した」みたいです。この曲の実体験はピーター・バックが「マーマー」のツアーで晴れたロサンゼルスにいた時、洪水の被害も出ていた嵐の真っ只中にあったジョージアの両親に電話を掛けようとした時のこと。ウェザー・リポートは「サウス・セントラル・レイン、すべての電話線が切れた」と報じていたのだそうだ。

Did you never call?
君は電話をしなかったの?
I waited for your call
僕は君の電話を待っていた
These rivers of suggestion are driving me away
激しい雨で増水した川のように、溢れる暗示が僕を追い払う
The trees will bend, the cities wash away
木々は折れ曲がり、街は洗い流されるだろう
The city on the river there is a girl without a dream
川沿いの街に、夢をなくした一人の少女がいる

I'm sorry
ごめんね

Eastern to Mountain, third party call, the lines are down
東部標準時から山岳部標準時へ、通話回線は切れている
The wise man built his words upon the rocks
賢者は岩の上に言葉を築く
But I'm not bound to follow suit
でも僕がそれに従う義務はない
The trees will bend, the conversation's dimmed
木々は折れ曲がり、会話は朧げだ
Go build yourself another home
もう一つの故郷に自分を築き上げに行け
This choice isn't mine
この選択は僕のものではない

I'm sorry
ごめんね

Did you never call?
君は電話をしなかったの?
I waited for your call
僕は君の電話を待っていた
These rivers of suggestion are driving me away
溢れるような暗示が僕を追い払う
The ocean sang, the conversation's dimmed
海は歌い、会話は朧げだ
Go build yourself another dream
もう一つの故郷に自分を築き上げに行け
This choice isn't mine
この選択は僕のものではない

I'm sorry
ごめんね

R.E.M.の最初の全米TV出演はかなりのインパクトとイメージ作りになったに違いない。よくR.E.M.の初期のアルバムの歌詞はネイティヴですら聞き取れない、モゴモゴした声で歌われる、などと書かれていますが、さすがにそんなことはないと思います。この曲の歌詞は僕でも割とはっきり聞き取れるし、解りにくいのはむしろ意味の方だろう。ただ、詩なんてものは本来そういうもので、だからピーター・バックは初めて聴いた時だけでなく、「聴くたびに感動してしまう」のだそうだ。

そしてこの曲といえば反リップ・シンク (口パク) 。ふつうPVでは演奏はエア演奏、歌は口パクが常識であり自然ですが、この曲のマイケルは撮影中に歌うことにこだわっていたのだ。バンドは生で演奏していないし、とくに意味はないのであるが、なぜそこまで、というとんがったこだわりがその後のR.E.M.のブレない姿勢の原点といえるようなエピソードです。



その後次第に秘めたカリスマ性を発揮し出したマイケル・スタイプ。モリッシーがパフォーマンスのヒントになったのかもしれない。歌詞は飛ばしていたり、変えてたりしています。


About A Girl (Live) Nirvana
ニルヴァーナはコンバースのジャックパーセルとかダメージジーンズ、Tシャツ、ネルシャツみたいなファッションで、音楽を知らなくても意外なほど世界に影響が残っていたりします。振り返ってみればあれもカート・コバーンだよな、みたいなものは確かにあります。それは日本ではひたすら「グランジ」というジャンルだけで語られる音楽についても同じです。

だいたいニルヴァーナというバンドは評価を読んで語るよりまずは聴いてみるべきバンドで、僕がこれまでに読んだニルヴァーナに関する記事で深く掘り下げていたのは12年以上前のギター・マガジンに特集されたカート・コバーンのリフの分析くらいです (カートのインタビュー記事もピストルズは好きでクラッシュは嫌いというあたりとかは興味深いですが…) 。それを見ながらついでに実際に弾いてみれば、ニルヴァーナが一発屋などとは程遠い、むしろサイコロジーやセンスに優れたバンドだということがよく分かります。僕が気に入ったのは「イン・ユーテロ」に収録の“Heartshaped Box”のリフと、「ネヴァーマインド」ではむしろ“In Bloom”、そしてMTVアンプラグドで披露したデヴィッド・ボウイのカヴァー“The Man Sold The World”のギター・ソロと、ドレミファソラシドをそのまま弾いているようなサビの部分のリフだった。よく引き合いに出されるように、「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」のコードは確かに誰でも弾ける。ただそれをカート・コバーンみたいには弾けない。それに弾いても大しておもしろくもない。その点、“The Man Sold The World”はアコースティックギターで簡単に弾ける上に、カートのギター・プレイヤーとしてのユニークさを感じることができるのだ。古いタイプのロック・ファンに響くように言うなら、ニルヴァーナのリフはやはりテクニック的には大した事がないと揶揄されるビートルズの考案したコード進行と、同じくらいユニークなのだ。僕ですらこう感じたのだから、90年代に10歳くらいのミュージシャンたちが初めてギターを手にした時、“Come As You Are”のようなニルヴァーナの曲を弾いて、それをきっかけに自分たちのオリジナル曲を演り始めるというのはまったく驚くことではない。ふだん見たり聞いたりしているだけだったものを、自分でやってみたら同じようにすることができた。そんな時は子供ながらに感動するし、自慢したくなるものだ。ギターに限ったことではない。それは誰しも恐い最初の一歩を踏み出すのに一番大切なもの。

俺は「ネヴァーマインド」が出た頃にギターを弾き始めた。崇拝するモノをマネることができるっていうのは、本当に勇気づけられるものなんだ。それはたぶんキッズたちがスーパー・プログレッシブなジャズに夢中にならない理由じゃないかな。そんなものはできないからね。
ージャック・アントノフ

ジャック・アントノフなんて知らない、という人は今の音楽を全く知らないと言っているのと同じこと。アメリカのバンド、fun.のギタリストで最近はテイラー・スウィフトともコラボしているロック界では現在一番といってもいいヒット・メイカー。



放射能の影響を懸念する外国人も多い (日本人だって懸念しているんだから非難できることじゃない) なか、日本で被災地の支援活動もしてくれたサラ・バレリスのヒット曲「ブレイブ」。この曲もジャック・アントノフが共作クレジットに入っています。Fun.の全米No.1ヒット曲“We Are Young”みたいなポップ路線です。音楽はケイティー・ペリーの“Roar”に、PVのコンセプトはAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」にたぶんパクられました。

そんなジャック・アントノフがサイド・プロジェクトで始めたバンドの名前は“Bleachers”。きっとニルヴァーナの「1st」アルバム「ブリーチ」が名前の由来なんだろうと思います。このインタビューが記載された2014年4月5日のワシントンポスト紙を読んでいなければfun.とニルヴァーナは到底連想もつかなかったですが、言われてみれば多くの人の心をつかむポップなセンスはカート・コバーンを彷彿とさせます。

カートはエディ・ヴァン・ヘイレンのような早弾きも、恐ろしく複雑なジャズのコードも弾くことができなかった。というか、学ぼうとする関心がなかったんじゃないかな。でも、カートは本当にグレイトで、聴かせどころのある、リズミックなコード・リフのパターンを書く本能を持った凄いプレイヤーだったんだ。
ーブッチ・ヴィグ (「ネヴァーマインド」のプロデューサー)

そう。それがどんなに高等技術でも、人の心に響かなければ意味がない。見過ごされがちであるがカート・コバーンはヴォーカルと同じくらい、実はギターの方も人を惹きつけるカリスマ性をもったプレイヤーだったのだ。「アバウト・ア・ガール」のMTVアンプラグドのライブ・ヴァージョンを聴いてもそれはよくわかる。イントロはEmとGを繰り返しているだけなのに、出だしから何か違う。



“Anyone can play this stuff. But nobody can play it like Kurt Cobain.”
誰でもこのリフを弾くことができる。でも誰もカート・コバーンのように弾くことはできない。
ージャック・アントノフ

ファッションでいえば、同じ服装、髪型をしてもぜんぜん違うようにしかならない。たぶんそんな音楽なのだ。


Addicted To Love Ciccone Youth
ソニック・ユースのサイド・プロジェクト。「チコーネ」はマドンナの本名 (マドンナ・ルイーズ・チコーネ) の姓で、この曲を収録した「ホワイティ・アルバム」のジャケットもマドンナの顔を白黒で拡大コピーしたもの。とてもクールだけど冗談のようで、それでいてこんなので使用許可取れるのか?という限界に挑戦しているような名デザインで、それは同時にアルバムのコンセプトもあらわしています。

“addicted”という言葉は宇多田ヒカルがシングル曲のタイトルに使っていましたが、“Addicted To Love”はイギリスのロックシンガー、ロバート・パーマーのヒット曲のカヴァーです。たまに80年代のUKロックはアメリカでは成功していない、という論調を見ますが、それはいつも80年代を軽く見がちな風評のせいで、この曲は全米No.1ヒットです。曲はイントロの7/4拍子のドラムと派手なシンセサイザーの音色に耳を奪われますがリード・ギターを弾いているのは、同じくUKのデュラン・デュランのメンバーで、ロバート・パーマーとはパワー・ステーションというグループも組んでいたアンディ・テイラー。80年代にもブリティッシュ・インヴェイジョンは存在しているし、アメリカのオルタナティヴ・ロックの代表格であるソニック・ユースのようなバンドにも、サイド・プロジェクトでカヴァーさせるほどの影響を与えているのだ。この中毒性の高いトラックはスレイドのノディ・ホルダーが「スレイドの曲はたくさんカヴァーされているけど逆に自分でこういう曲を書きたかった、って思った最近の他の人の曲はある?」とインタビューで聞かれたとき、こう答えているほどです。

俺が自分で書いてレコーディングしたかった曲の一つはロバート・パーマーの“Addicted To Love”だ。俺にとってあれは究極のポップ・ソング。そのすべてが本当に核心をついている。



チコーネ・ユースVer.はキム・ゴードンがクールかつポップに、マドンナのようにセクシーに歌っています。


After Hours The Velvet Underground
たくさんのカヴァーが存在する、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの人気曲の一つです。

If you close the door
もしドアを締めるのが君なら
The night could last forever
夜は永遠に続くのに
Leave the sunshine out
陽の光を入れないで
And say hello to never
もう人に挨拶なんかしなくていい

こんな歌い出しの曲、華やかなカルチャー全盛の60年代にあるわけがないのに存在する。これがヴェルヴェット・アンダーグラウンド。キーが低いようで高いためか、ルー・リードがリード・ヴォーカルをとらずモーリン・タッカーが歌っています。ルー・リードが死んだ時、パール・ジャムのエディ・ヴェダーがルー・リード追悼のためにこの曲を選んでいましたが、最初の歌い出しはエディ・ヴェダーの心からのリスペクトが込められているような感じです。


19th Nervous Breakdown The Jason & The Scorchers
オリジナルはローリング・ストーンズ。「19回目の神経衰弱」というタイトルが秀逸です。もともとタイトルのアイデアが先にあった曲みたいで、初期のローリング・ストーンズらしいシャッフル・ビートの曲自体はそんなにいいとも思わないですが、このカヴァーはオリジナルを超えています。ジェイソン&ザ・スコーチャーズはアメリカのカウパンクのパイオニア。「カウパンク」というと牛みたいなかわいいものをイメージしますが、カントリー・パンクの略称です。カントリーといってものどかなサウンドではなく、どちらかというとギターをガンガン鳴らして勢いで押しきる感じです。


A Journey To Reedham Squarepusher
スクエアプッシャーらしいドリルンベースのビートで構成された曲。

俺は1996年に“A Journey To Reedham”を作った。始めてレイヴでかけた時を覚えている。みんな熱狂したんだ!そんな経験から結論づけられるのはこういうこと。もしキャッチーなメロディを書くコツをつかんだら、すぐにみんなにウケるってことだ。
ーSound On Sound 2011年5月

とトーマス・ジェンキンソンがインタビューで語っている通り、ビート以上にメロディの目立つ曲です。


American Oxygen (Video) Rihanna
キャッチーさがないのでリアーナの新曲としてはヒットになっていませんが、今年リリースされた曲の中でPV含めていちばん気に入っています。制作・プロデュースはアレックス・ダ・キッド、プロデュースにはカニエ・ウェストも絡んでいて、ダブステップ風のビートが使われています。一般的にカニエっぽくはないサウンドですが、ミニマルで計算された構成 (地味なようで所々はっとするほど美しい) はカニエ・ウェストの「イーザス」でも見られた手法です。アレックス・ダ・キッドとリアーナの組み合わせといえばエミネムの最大級のヒット・シングルになった“Love The Way You Lie”で、あの曲を世界中のチャートで1位にさせたのはやっぱりfeat.リアーナの歌うあのフックがあってこそ。逆にこの曲 “American Oxygen”にはラップがあった方がメッセージ性も強くできてヒットもしやすかったんじゃないかと思います。タイダルでの配信の見返りに、JAY Z協力してあげればよかったのに…。



このPVが素晴らしい。ブルース・スプリングスティーンを意識したような星条旗をバックに、キング牧師からツインタワー崩壊、ビートルズのアメリカ上陸からアポロ11まで、アメリカの歴史が映像で流れていますが、リアーナはカリブ海のバルバドス出身。海をボートで渡る移民の映像も流れています。歌詞で“Oh say”とか“Can you see”が頻繁に聞こえるのはそれがアメリカ国家の歌い出しだからです。PVに登場する映像では、リアーナとカニエ・ウェストが直前にポール・マッカートニーと共演しているせいか、ビートルズとビートルマニアの映像の部分がよくとりあげられますが、そこはどうでもよく、その直後にはボブ・マーリーが映っています。リアーナはそのメッセージ性の強さから多数のミュージシャンにカヴァーされているボブ・マーリー最晩年の曲「リデンプション・ソング」をハイチ支援でカヴァーしていますが、PVにボブ・マーリーの映像を挿入したのはその「リデンプション・ソング」の2番目のヴァースの歌詞

Emancipate yourselves from mental slavery
精神的奴隷の立場から自分たちを解放するんだ
None but ourselves can free our minds
俺たちの精神を解放できるのは、俺たちだけなんだ

という歌詞がイメージにあっているせいかもしれません。この曲は通常のボブ・マーリーのレゲエ曲と違って、アコギ一本でフォークソングのように歌われます。リアーナや、ジョン・レジェンドのようなピアノ主体のミュージシャンですら、それに倣ったアレンジで歌っていますが、スティービー・ワンダーは壮大なアレンジで録音しています。ベスト盤のレアトラック扱いになっているみたいですが、カヴァーされる側のアーティストがカヴァーをしているだけのことはあります。