『民衆の敵』@Broadway | That's where we are

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the Church of Broken Pieces
(アメリカ救急医の独り言と二人言)

久々のブロードウェイ

 

「ニューヨークで好きな話の芝居があるんだ」

 

夫が好きな話(本)の一つは

本と言っても、もとから芝居用に書かれた

イプセンの『An Enemy of People(民衆の敵)』

 

 

じゃあ、行こうか?

と私が言う前に、既にチケット購入済みびっくり

 

まあ、こういうのは私は嫌だと言わないし

NYへ行くのも嫌いではないので

事後承諾でOK

 

 

 

場所はCircle in the Square劇場

 

 

舞台が劇場のど真ん中で

私達の席は、舞台のど真ん中

俳優さんたちを間近に少し見上げる形になります

 

 

 

(以下、ネタバレになるかもしれないので

この本、今、読んでいるところ!という方は

ここでページを閉じてくださいね)

 

温泉で町おこしをもくろむ小さな町で

温泉の水が汚染されていることを発見した医師

健康への被害を恐れ、温泉を開くことを中止するよう

市長である弟と、町の人達に訴えるが

利益優先の町の人達に迫害されていく...

 

こう言うと、正義感に燃えた医師が

凄く良い人の様に聞こえますが

原作でこの医師のイメージは

常に偉そうで、汚染の人体への影響とかよりも

自分が正しいことを証明するのを

何よりも優先しているイメージがあって

どこか好きになれなかったんですよね

 

子供たちことを心配する奥さんに対して

「お前は家事をやっていればいいんだ」みたいな

見下した態度をとる人だし

この辺は、1880年作ということで

当たり前だったのかもしれません

 

 

今回見た芝居では、このお医者さん

真面目過ぎて、でも仕事以外では子供の様に純粋で

なんかもう良い人過ぎて

町中の人から凶弾されて、可哀そう過ぎ

(奥さんは既に亡くなっている設定だった)

 

町の集会にて訴える医師を

テーブルの上にたたきつけ、氷をぶっかけ

「お前は皆の敵だ!」と叫ぶ人たち

 

席が舞台の真ん前なので

この時の恐怖と痛みに歪む医師の表情が

2メートル先に見えるのです

芝居だと分かっていても

正義(ではないのですが)を盾に暴力化する群衆

とても恐ろしかったです

 

 

 

今の世の中にオーバーラップします

 

医師を演じたジェレミー・ストロングは

この役でトニー賞を受賞しました

 

芝居の途中の休憩時間には

スポンサーであるノルウェイの蒸留酒

LINIEが振舞われました

原作者イプセン、ノルウェイの人だからね

 

 

 

ジャガイモが原料のお酒らしいですが

味はね、まあ、ちょっとね...

 

 

 

 

好きな人は好きなんでしょうねえ(;^_^A

 

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