18章の向こう側 | That's where we are

That's where we are

the Church of Broken Pieces
(アメリカ救急医の独り言と二人言)

我が夫は自他とも認める読書家で

兎に角、ジャンルに関わらず

かなりの数の本を読んでいます

 

気に入った本になると、その本の

解読ガイドとかも買っちゃって

かなり真剣に読み込んでいて

 

読み始めて気に入らなかった本でも

一応、意地で読み終える方針

 

今まで2回挑戦して読み終えることができなかったのが

夫の両親の出身地、アイルランドの作家

ジェイムズ・ジョイス作『ユリシーズ』

 

1922年に出版されたこの本は

6月16日のアイルランド・ダブリンを舞台に

ブルームと言う男性を中心とした物語で

18章もあって、とにかく長い(いわゆる「大作」)

そして、物凄く読みにくい(らしいです)

 

夫「登場人物の誰が何を話しているのか

もう全然分からなくなってくる」

 

今度こそは!と、この『ユリシーズ』を18週かけ

読み解こう(読もう、じゃなくって)という

オンラインのブッククラブに参加した夫

 

オンラインなので、参加者の中には

本を読んできていないだろうな~、みたいな

人もいたみたいですが

夫は真面目に毎週1章ずつ読んでいました

 

そして、毎週オンラインのクラスが終わるたびに

「この本のどこが良いのか分からん」

「この本を絶賛する人がいるけれど

あれは一種のジョイス崇拝のカルトみたいな物だ」

 

私は『ユリシーズ』を読んだことはないし

夫から聞けば聞くほど読みたくなくなるし

でも教え魔の夫は、毎週私にサマリーを語るので

あらすじ程度は学んじゃっています

 

夫から聞いた『ユリシーズ』は

というかジェームス・ジョイス

 

「性格、悪くない?」

 

かなりひねくれた奴で

それが滲み出ている作品じゃないかと思うのですよ

「難解な作品」と言われているけれど

ジョイス、多分読者をイライラさせるために

わざわざこねくり回して書いたのじゃないかなと...

 

 

ワケ分らん、と思っても

933ページの本を読み切っちゃったら

「しょーもな、この本」とか

「読んでソンしたわ」とか

言えないじゃないですか

だから、「非常に難しい」で済まされちゃってる?

(そんなことはないのだろうけれど

そんなことを考えてしまう私の方が

ジョイスよりひねくれている?)

 

物語の舞台はダブリンであるけれど

執筆中ジョイスはチューリヒとパリにいて

ダブリン市内でここからここへ行くのに

この位の時間で歩いて行けるのか確かめて欲しいとか

細かいことを親戚だか友達に頼んで

その依頼を請け負ってくれた人がいたらしいです

なので、ジョイス、誰からも敬遠された

とことんイヤな奴、というわけでは

なかったのでしょうが

 

読み手のこともちょっと考えたらどうよ?

 

現在まで名作と呼ばれているからには

きっと次の章で、何かどんでん返しがあるはず

頑張って頑張って読み続けた夫

 

第18章、浮気をしているブルームの妻の独白

(8パラグラフもあるのに句読点なし、らしい)

『ユリシーズ』を絶賛し何度も読み返した

ジョイス教ユリシーズ派崇拝者もいらっしゃいますが

とうとう読み切った夫「もう絶対読まないと思う」

ぜんぜん共感できるものがないのだそうです

 

日本に行った時、これで

ズルしてみようかと思っています下矢印

 

 

私はしばらくこちらのアイルランド人と格闘中

 

雰囲気は素敵なイェイツ

ベルファストで宿泊したホテルに

置いてあったお水はなぜか「イェイツ水」

 

アイルランド・スライゴ―まで

彼のお墓を訪ねても行ったのですが

恋焦がれた人に何度も結婚を断られたら

50歳代に彼女の娘(22歳)に求婚したという

ちょっとアレな話を知ったのは何年もしてから

(もちろん娘にも断られた)

 

物書きって「普通」からちょっとズレているから

凡人には思いつかない物が書けるのでしょうね

 

follow me