暴言暴挙のため家族が警察を呼び
何でなのか、警察官は
この人をERに置いていった
まあ、実際、誰が怪我をしたわけでもなく
器物破損と言ってもコップ1個
それも自分の家の中にあるもので
警察も、それじゃあどうしようもないのか
「俺の息子と従弟はな
ブラッズとクリプスのメンバーなんだぞ」
粋がる、と言うか
なんか、とっても偉そうにおっしゃる
ブラッズ(血)&クリプト(地下聖堂)?
スクリプト(The Script)は私が好きな
アイルランドのロックバンドだけど
それ、ヘビメタのグループかなんか?
あれ、クリプトン(Krypton)って
スーパーマンの生まれた星だったかな?
始めはハラハラして見ていたが
私はどうも、トンチンカンな質問をしたらしく
研修医も、ナースも、警備員も
呆れたように笑い出した
「何それ?」
「ストリート・ギャングのグループですよ」
「何でそんなの皆、知ってるの?」
「有名じゃないですか、皆知ってます」
アメリカに住んで20年以上
そんなん、一回も聞いたことがない
「ヤクザ」という日本語はアメリカでも通じるが
「有名なヤクザのグループの名を二つ挙げよ」って
答えられるアメリカ人、いないでしょ?
私にアメリカのストリート・ギャングの名前を
知っていることを期待するのが間違っている
ふ~ん、そんなんがあるんだ
それって、どうやってメンバーになるの?
(筆記試験とかがあるとは思えないし)
「メンバーになるには18歳以上が条件だ」
「そりゃ、16歳とか勧誘したら犯罪レベルよね
でも、18歳だって十分子供と思うけど」
「それから、5人に囲まれボコボコに殴られ
それに耐えないとメンバーになれない」
「あら、ヤダわ、それ
どうせなら、ちっちゃ目の5人を選んでほしいわね」
もうそれは自慢そうに
ギャングの知識をご披露して下さるので
「で、あなたは何の仕事をしてらっしゃるの?」
「俺か?俺は無職だ」
そして、続ける
「でもな、俺の息子と従弟は
ブラッズとクリプスのメンバーで...」
人の事はどうでもええの
「あの人、小学生みたいですね」
苦笑いする研修医
「自分の兄弟が上級生にいて
うちの兄ちゃんは喧嘩が強いんだぞって
自慢するみたいな」
うちにもやたら偉そうにするのが一匹
帰宅して、息子に訊いてみた
「ね、ブラッズとクリプトとかって知ってる?」
「それ、クリプトじゃなくて、クリプス
知ってるよ、ギャングの名前でしょ」
なんだ、本当に皆知ってるんだ

