ジョジョの忠義な哲学 第8部 3 | ジョジョの忠義な哲学ッッ!

ジョジョの忠義な哲学ッッ!

ジョサイア・ロイスの名著『忠義の哲学』(Philosophy of Loyality / Josiah Royce)の「ジョジョ」訳を連載中です!
人類に平和をもたらす「忠義」について、『ジョジョの奇妙な冒険』との合わせ技で楽しく解説します。

ジョサイア・ジョイスが語り直す、名著『忠義の哲学』!

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人類の経験、この世の出来事すべてを包括し、その意味と価値と互いの関係性を完全に理解する全知の存在。

 

この実在世界そのものを本体とするスタンドにして、変化と拡大を続ける「永遠真理」そのもの

 

それがッッ
ホワット・ア・ワンダフル・ワールド(この素晴らしき世界/WAW2)」!!!

(破壊力:なし スピード:A 精密動作性:A 射程距離:∞ 持続力:∞ 成長性:∞)

 

※WAW2は、原作者ジョサイア・ロイスの言う「実在的経験の全摘要」あるいは「万物を統一的に見る世界包括的な理性」をジョジョ風に言い表したものです。

 

 

ジョサイア・ジョイス
「今こそ、わが究極の……
わが究極の忠義の定義を明らかにしよう。

 

イラスト:森子(お問い合わせはpixivへ

 

 

[忠義の定義 ACT4]!
忠義とはッッ 永遠なるものを「信じる意志」!!
そして!
その信念を行動で「表そうとする意志」だッッッ!!

 

 

広瀬康一
「永遠なるもの…………
WAW2のことは知らなくとも、本当に忠義な人なら、
自分の「義」の永続を願うものですよね」

 

 

広瀬由花子
「そうね、家族、子供たち、友情、故郷、会社、国家。
それ自体は有限で、いつかはかなく消えていくかもしれないけど……
少なくとも、永遠の価値がそこにあると信じている。
個々人を超えて伝えていくべきものがあると思っている。

だからこそ、忠義の人はその「義」のために懸命に行動できる……」

 

 

康一
「そして、たとえ惨めな失敗に終わったとしても、世界にとっては無駄じゃあない。
「永遠真理」の中で、僕らの忠義は意味のある努力。
そこに存在する「人類忠義の拡大」「あらゆる忠義の人生の調和、理想的統合」という「本義」への貢献」

 

 

由花子
「何だか忠義でいることに、自信と勇気が持てるわ。
もちろん、自分の忠義が正しいのか、「真理」に基づいているか、常々気をつけなきゃあならないけど。

にしても……
永遠なるものを「信じる意志」っていうのは、信仰心に近いものがありそうね」

 

 

ジョイス
忠義の人が信じる「永遠真理」の主、WAW2。
そいつは、宗教が認める存在でもあるんじゃあないか?

当然、そういう疑問が出てくる」

 

 

康一
「確かに、WAW2は神様っぽいですね。
拝んだからって、縁結びや受験合格なんてご利益はなさそうですけど……」

 

 

由花子
「宗教って、「生身の人間を超越した世界がある!」と考えるものよね。
その「世界」はWAW2と近い気がするわ」

 

 

ジョイス
宗教とはッッ
情緒を通じて!
また適切な想像力を通じて!
永遠なるものと忠義の精神とを解釈することッッッ!!

と、僕は定義している。

 

では、忠義と宗教の関係はどんなものか?

[忠義の定義 ACT3]!
忠義とはッッ あらゆる「道徳」の中心にして「良心」の要求!
「義」を選ぶにあたっては「果断」、「義」に尽くすにあたっては「誠実」となるッッ
「良心」は言う、「忠義に対し忠義」であれッッ!

 

ここまで、忠義を「道徳」の面からとらえてきたが……
改めて「宗教」の方面から考えてみようってわけさ

 

 

康一
「でも、「道徳」と「宗教」ってイマイチ相性良くないような気もしますね……
「道徳」は俗世の正しい生き方、「宗教」は俗世の価値観を超えた生き方って感じですけど」

 

 

ジョイス
「ある宗教家は言う
「道徳なんて、社会で批判されずうまく生きていく、ただそれだけのものだろ?
だが宗教は違うッッ
苦悩する人間に救いを与えられる!
オレたちを個々の人間を超えた世界、すなわち永遠の価値に結びつけ、調和してくれるんだ!!」

 

一方、ある道徳家は言う
「宗教なんてアヤシイ戒律や迷信のカタマリだろォ?
近づかない方が身のためだぜェ……
苦しむ人を救えるのはあくまで人間さ!
伝統的な道徳には大きな価値がある。
それに学んで、より良く生きるべきなんだよ!!」」

 

 

由花子
「やれやれって感じだわ。
人として正しい生き方をしたいってところは共通のはずだけど」

 

A:道徳 B:宗教 正しいのはどっち?

 

ジョイス
「そう、道徳と宗教に明確なボーダーはない!!
それを忠義は示してくれるッッ

 

 

康一
[忠義の定義 ACT4]!
忠義とはッッ 永遠なるものを「信じる意志」!!
そして!
その信念を行動で「表そうとする意志」だッッッ!!

 

ということで……
個々人の幸福の集まり、いわゆる「最大多数の最大幸福」を超える永遠の価値を志しながら、
自らの人生で懸命に行動する。
家族や仲間、地域や会社、国家……
自分の選んだ「義」のための行動が、「人類忠義の拡大と調和」につながる。
それが真の忠義。

 

でも実際のところ、そういう世界観をしっかり意識してる人ってかなり少ないですね……
単純に「義」のために働きたいと思う!
「義」のために行動せずにはいられないッッ
ふるえるぞハート 燃えつきるほどヒート!!」(※1)で忠義になってる人が多いんじゃあないですか?」

 

 

ジョイス
「そうだな。
個人にとって忠義は、
「何のために生きるのか?」
「なぜここにいるのか?」
「自分は何か役に立つのか?」
「自分に生きる意味はあるのか?」

という疑問に答えをくれるからな。

 

「義」から自らの理想を描き出し、良心を育ててゆく。
人生の指標を与えてくれるものだ。

 

そいつの「義」は、当人にとって少しずつ神聖さを増してはいくが……
ここまでのところ、信仰心のないヤツでも忠義になることはできる。

逆に忠義でありつつ、宗教をそこそこ信じているヤツ、のめり込んじまってるヤツもいるが、
「道徳」と「宗教」は別モノと思っている場合もある

 

 

由花子
「単に社会的信用度が上がって有利だから、神仏を大切にするって人もいるわね」

 

 

ジョイス
「そういう人たちの場合、忠義と宗教は断絶したままになっちまう。
とはいえ、だ。
真剣な忠義は、「義」という「人間を超えた実在」を潜在的に信じている!!
永遠なるもの――WAW2のために!
無意識のうちに力を尽くしているんだ。

 

これは無自覚の敬神、「道徳」と「宗教」の潜在的結合ッッ
そして!
この結合を自覚する時が来る!!
それはッッ
「義」が高度に理想化される時!!!」

 

 

康一
「それって……
忠義が負けてしまった時、ですね。
家族が事故で死んでしまったり、郷里が災害で破壊されたり、祖国が奪われてしまったり……
大切な「義」が打ち砕かれ、失われ、「喪義」となってしまう時。

 

たとえば「交通事故のない町」「震災からすぐ立ち直れる強靭な国」「奪われた祖国の主権回復」とか……
そういう遠大な理想が立ち上がり、忠義をさらに強く、ハイレベルなものとなし得る……」

 

 

由花子
「失われたものを取り戻す、あるいはそれ以上のものを作り出そうという運動につながるわね。
ユダヤ教やキリスト教が生まれたのも、そういう厳しい状況がきっかけだった」

 

 

ジョイス
「喪義」に対して忠義となる……
それは「失われたもの」の実在を信じること。

人間が見て触れることのできない、個々の人間を超える世界で「喪義」は生きているのだとね」

 

 

康一
「でも「喪義」がもたらす理想は、あまりに実現困難ということが多いですよね……
国民誰もが豊かに安全に仲良く暮らせて、外国にへーこらせずにすむ日本」っていうのもその一つですけど……
一生かけて忠義に努力しても、どれだけ成果が出るものか……」

 

 

ジョイス
「その代表格が、「人類忠義の拡大」という「本義」への忠義。
すなわち、あらゆる忠義を調和の内に包含するWAW2への貢献だよ。

 

このひどい人間世界では……
そういう忠義を為す者は誰であれ、失敗を免れないッッッ

何度も、何度も、何度も、ね。

 

「神は死んだ」のニーチェの言う、「永劫回帰」だよ。

普通の人間を超える理想の存在――「超人」を目指して努力を続ける。
何度も失敗を、無駄な人生を繰り返しながら。

 

この「超人」の最たるものこそ、「WAW2」。
個々の人間を超え、あらゆる人間経験を包含し、完全に理解するッッッ
もちろん、「喪義」の理想も含めてね。
「WAW2」は常に、永劫に僕らと共にある!!

 

ただ僕らは「迷える者」だ。
「本義」の善を実現する道がわからず迷っている」

 

 

由花子
「いわゆる「迷える子羊」。
だけど、何とかしようと努力するのが真の忠義よね……」

 

 

ジョイス
それがニーチェの言う「畜群」「末人」「ルサンチマン」から脱却する道でもある。
優れた倫理宗教が示そうとする道も、それなのさ。

聖書の詩編や讃美歌を見ればわかる。

 

その道は「人類忠義の拡大」という「本義」への忠義に合致する。
「本義」に対して忠義になることで、僕らは実在世界全体の主、WAW2のために働くことになるんだ」

 

 

エンディングテーマ  Metallica / King Nothing

 

次回、ついに最終回、連載完結!

 

ホワット・ア・ワンダフル・ワールドは語りかける。
私は常に君たちと共にいる。
世の終わりまで共にある
」!!!

 

 

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※1:『ジョジョの奇妙な冒険』第4巻