ジョジョの忠義な哲学 第8部 4(完結) | ジョジョの忠義な哲学ッッ!

ジョジョの忠義な哲学ッッ!

ジョサイア・ロイスの名著『忠義の哲学』(Philosophy of Loyality / Josiah Royce)の「ジョジョ」訳を連載中です!
人類に平和をもたらす「忠義」について、『ジョジョの奇妙な冒険』との合わせ技で楽しく解説します。


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ジョサイア・ジョイスが語り直す、名著『忠義の哲学』!

(これまでを振り返るのはこちら

 (第1部第1回はこちら 4部までのまとめ  5・6部のまとめ

 

(登場人物紹介ページはこちら

 

人類の経験、この世の出来事すべてを包括し、その意味と価値と互いの関係性を完全に理解する全知の存在。

 

この実在世界そのものを本体とするスタンドにして、変化と拡大を続ける「永遠真理」そのもの

 

それがッッ
ホワット・ア・ワンダフル・ワールド(この素晴らしき世界/WAW2)」!!!

(破壊力:なし スピード:A 精密動作性:A 射程距離:∞ 持続力:∞ 成長性:∞)

 

※WAW2は、原作者ジョサイア・ロイスの言う「実在的経験の全摘要」あるいは「万物を統一的に見る世界包括的な理性」をジョジョ風に言い表したものです。

 

 

ジョサイア・ジョイス

「ニーチェの言う「超人」の最たるものこそ、「WAW2」。
個々の人間を超え、あらゆる人間経験を包含し、完全に理解するッッッ
もちろん、「喪義」の理想も含めてね。

「WAW2」は常に、永劫に僕らと共にある!!

 

ただ、「僕らは「迷える者」だ。
「人類忠義の拡大」という「本義」の善を実現する道がわからず迷っている」

 

「正しい道はどっちだぁぁ~?!」(ジョサイア・ジョイス)

イラスト:森子(お問い合わせはpixivへ

 

広瀬由花子
いわゆる「迷える子羊」。
だけど、何とかしようと努力するのが真の忠義
よね……」

 

 

ジョイス
「それがニーチェの言う「畜群」「末人」「ルサンチマン」から脱却する道でもある。
優れた倫理宗教が示そうとする道も、それなのさ。
聖書の詩編や讃美歌を見ればわかる。

 

その道は「人類忠義の拡大」という「本義」への忠義に合致する。
「本義」に対して忠義になることで、僕らは実在世界全体の主、WAW2のために働くことになるんだ

 

 

広瀬康一
「キリストは人々の罪を一身に引き受けて死に、そして復活して永遠の存在となった……
っていう話ですね。
仏教説話だと「月のうさぎ」、日本神話だと「ヤマトタケルとオトタチバナヒメ」の物語かな。

 

どちらも自ら身を挺して、尊いものを救おうとする……
忠義の見本
ですね」

 

 

由花子
「うさぎは月にのぼり、オトタチバナヒメは祭神として神社に祀られて、永遠に近い存在になってるわ」

 

 

ジョイス
宗教的な物語や象徴ってのは、僕らが真の忠義の意味を理解する助けとなるんだよ。
それは個々人を超えた永遠真理に属すものだ、とね。

過去、現在、未来のあらゆる人々、経験、そして理想を抱擁し、結びつけ、完全に理解するWAW2のための努力だ、と……
そのことを鮮やかに、情緒豊かに描いてくれているからな」

 

 

康一
「そういうのは、いろんな宗教に共通する概念ですね。
宗教心の薄い、現代を生きる僕らでも納得する感じです」

 

 

由花子
「でもそんな風に、忠義を中心に宗教を考えるのは……
逆に熱心な信者にとっては不満かもしれないわ。
奇蹟や伝説、それに基づく教義や戒律を神の真実だと真面目に信じてるんでしょうし」

 

 

ジョイス
「宗教上の伝説や物語、すなわち宗教的想像力の産物は、
地域や国家、民族によってそれぞれ異なるのが当然だ。
多様であるべきだと思うよ。

 

だがそういう伝説の字面にこだわるヤツ……
「すべてが真実! 額面通りに受け入れろ!」と主張する、
あるいは「超自然の奇蹟の証拠」を探すのは感心しないね。

 

例えるなら、生身の自分の背中に天使の翼を探そうとするようなものさ。
WAW2の永遠真理がその実体を、人の眼前に現わすことはないんだからな

 

 

康一
「宗教的想像力の産物から得られるのは、あくまで「象徴」に過ぎないってわけか……」

 

 

ジョイス
宗教とはッッ
情緒を通じて!
また適切な想像力を通じて!
永遠なるものと忠義の精神とを解釈することッッッ!!

 

[忠義の定義 ACT4]!
忠義とはッッ 永遠なるものを「信じる意志」!!
そして!
その信念を行動で「表そうとする意志」だッッッ!!

 

人は自らの忠義を通じてこそ、永遠真理の主、WAW2との関係を実感できるんだ

 

 

由花子
「何に対しても忠義でなく、ただ毎日を自分のためだけに生きていたら……

「何のために生きるのか?」
「なぜここにいるのか?」
「自分は何か役に立つのか?」
「自分に生きる意味はあるのか?」

という疑問に答えを見出せない。

 

「自らの幸せ・快楽」という価値すら、自分の中で相矛盾して混乱して見失ってしまう。

 

その人だって、WAW2の中で生きて、そこから「有益」な真理をつかんで「成功」しようとしてるんでしょうけど」

 

 

ジョイス
「そう、「真理」とはプラグマティスト(実用主義者)が言うように、
「有益な結果」をもたらす観念だ。

僕らの誰もが、生きる上で日々求めているものだよ。

 

それら「真理」のすべてを、人類がいまだキッチリ定義、立証できないものも含めて、WAW2は掌握している。

過去、現在、未来と、時々刻々増大する人類の経験をすべて包み込み、完全に理解する存在だからな。

 

WAW2は生きているッッ
僕ら人類と共に!
成長する「善」なのだ!!!

 

 

康一
「「善」……
それは……
そうとも言い切れないんじゃあないですか?

WAW2は人類の経験をすべて包括する……
ってことは、悪も一緒に飲み込んでるってことですよね」

 

 

ジョイス
もちろん、WAW2は「悪」をも抱擁し、理解する。
だが、「悪」とは何なのか?

 

 

由花子
「「「悪」とは てめー自身のためだけに
弱者を利用し ふみつけるやつのことだ!!
」(※1)

 

あるいは
吐き気をもよおす『邪悪』とはッ!
なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ……!!
自分の利益だけのために利用する事だ
」(※2)

 

ってところかしら」

 

康一「「悪」とは てめー自身の……」

由花子「吐き気をもよおす『邪悪』とはッ!……」

(注 夫婦喧嘩ではアリマセン……)

 

ジョイス
「ま、そーゆーのも悪の一部ではあるがね。
実際のところ、「悪」はもっと広い概念だ。

 

簡単に言えば、人間にとって
こいつはメチャゆるさんよなああああ」(※3)
というものだよ。

 

苦痛、寒冷、酷暑、疾病、飢餓、虚偽、犯罪、外敵、死……
数え上げたらキリがないがな。
人間の歴史はこういう「悪」を消し去り、克服しようという努力の歴史だ

 

 

康一
「社会、科学、精神、あらゆる面での闘いですね。
しかも、どう考えても終わりが見えない……」

 

 

ジョイス
「だが、「敵があってこそはりのある人生」(※4)だよ。
特に「悪」がもたらす敗北、喪失、悲哀、苦悩……
それらは、「「義」の理想化」を強力に推し進め得るッッ

 

「悪」によって打ち砕かれた「義」――「喪義」の理想は!
悲嘆を通じてこそ輝きを増すんだ

 

 

由花子
「喪失や敗北の悲しみが、忠義を鍛え、より高いレベルへ引き上げる……
「悪」は忠義にとってチャンスとなり得る

 

 

ジョイス
「「悪」による試練がなければ、忠義はどうなる?

忠義にとって、究極の「義」とはWAW2そのものだ。
そして、WAW2にとっての最高善は忠義の善!!

 

どのような「悪」であろうと、WAW2の真理体系――「善」の内に組み込まれ得るッッ

 

 

康一
「でも、そのためには、ぼくたちがそれぞれ「悪」に直面して、忠義の努力を続けなきゃあならないですね」

 

 

ジョイス
「そう……
WAW2は僕ら人類と共に成長する「善」。
永遠真理の主とはいえ、最初から完全な存在ではないからな

 

僕らは、WAW2の中でそれぞれ独自に生きている。
自らの「義」のためにね。
もし、僕が自分の忠義を放棄してしまったなら……
WAW2はその分、忠義の善を一つ失うことになる。

忠義の人なら、誰だってそう言っていいんだ。

 

忠義に生きる限り、
僕ら一人ひとりに、WAW2の真理体系における居場所がある!
他の誰もなし得ぬ行動、自分自身の意思が与えられる!

時に孤独に悩むことがあろうとも、
WAW2の中で僕らは一つに結びついている

 

 

由花子
「私たちは、この世界でそれぞれ自分の選んだやり方で……
役割を果たそうとすればいいのね」

 

 

ジョイス
[忠義の定義 ACT4]!
忠義とはッッ 永遠なるものを「信じる意志」!!
そして!
その信念を行動で「表そうとする意志」だッッッ!!

 

真実から出た『誠の行動』は……決して滅びはしない」(※5)

 

ホワット・ア・ワンダフル・ワールドは語りかける。
「私は常に君たちと共にいる。
世の終わりまで共にある」

 

 

康一
「その声が聞こえるように、真に忠義な心で生きていきたいですね。
家族のため、地域のため、そして
「国民誰もが豊かに安全に仲良く暮らせて、外国にへーこらせずにすむ日本」に近づくために
……」

 

 

ジョイス
「ああ。互いの時代において、祖国のために、そしてそれを通じて「この素晴らしき世界」のためにな


さて、僕の話はこれで終わりだ。
僕も自分の時代へ帰らなくちゃあな。
百年の時を超えて、君らと語り合えて楽しかったよ」

 

 

康一
「そうですね……
楽しかった……
心からそう思います」

 

 

由花子
「ちょっと待って、帰る前にコーヒーでもいかが?」

 

ジョイス
「いいね。いただこう」

 

康一
「レコードもかけましょう。ピッタリのがあるんですよ……」

 

 

第八部完

 

エンディングテーマ  

ルイ・アームストロング/この素晴らしき世界

Louis Armstrong / What A Wonderfull World

 


わたしは「結果」だけを求めてはいない
「結果」だけを求めていると人は近道をしたがるものだ……………

 

近道した時 真実を見失うかもしれない
やる気もしだいに失せていく

 

大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている
向かおうとする意志さえあれば

 

たとえ今回は」(※6)
失敗してしまったとしても

 

いつかはたどり着くだろう?
向かっているわけだからな……………
違うかい?
」(※6)

 

 

『ジョジョの忠義な哲学』 完結

 

約1年10か月、48回の長きにわたり、お付き合いいただきありがとうございました。

次回(再来週)からは、ラドヤード・キプリングのエッセイ・短編小説の翻訳をお届けします。

底本は『Land and Sea Tales』(海山物語)。

「現場」で奮闘する者たちの忠義、勇気、そして成長が描かれた物語群です。

引き続きご覧いただけましたら、幸いです。

 

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※1:『ジョジョの奇妙な冒険』13巻

※2:『ジョジョの奇妙な冒険』第55巻

※3:『ジョジョの奇妙な冒険』第15巻

※4:『ジョジョの奇妙な冒険』第8巻

※5:『ジョジョの奇妙な冒険』第63巻

※6:『ジョジョの奇妙な冒険』第59巻