今朝は、アンドレア(担当助産婦)の家庭訪問があるはずでしたが、
彼女から「徹夜でお産に立ち会ったあとで、とても疲れているの」と、
携帯に連絡が入ったので、金曜日に延期することにしました。
助産婦さんの家庭訪問について書くつもりでいたけれど、
急に予定が変わってしまったので、
昨日からブログに載せようか迷っていたことを書こうと思います。
実は、週末にイサ夫と喧嘩をしてしまいました。
喧嘩と言っても、
私が一方的に泣いたり怒ったりしているだけだったのだけどね。
妊娠後期に入ってから、
喜怒哀楽が激しくなっているせいでしょうか、
イサ夫は最初、「やれやれ、また始まった」という程度に思っていたようで、
適当に聞き流そうとしていました。
でも、今回の私の怒りは、
私たち夫婦(家族)が「外国人としてスイスに永く幸せに住む」ために、
私が日頃から懸命に努力してきたことに対して、
イサ夫がないがしろにするようなことをしてしまったのがきっかけでした。
日曜日の朝、イサ夫と私は犬を連れて近くの森に出かけました。
この森の一部は、私の所属する趣味のクラブが所有していて、
そこにクラブのメンバーが大事にしている
ベアラウフ(行者ニンニクの仲間)の群生地があります。
日当りの良い森の斜面にびっしりと、
まだ生え始めたばかりの柔らかくて香りの良いベアラウフを
イサ夫も私も夢中で摘んで、
30分ほどで持っていったビニール袋2つがいっぱいになりました。
測ってみると1キロ以上ありました。
ベアラウフは、食べごろの葉を全部とってしまっても、
翌日には、すぐ新しい葉が大きく成長しているほど、
生命力の強い植物です。
でも、美味しい葉が採れるのは3月中旬から4月初旬までの、
ほんの3週間ほど。
だから、そこでベアラウフを採るときは、
「食べごろの葉っぱだけを丁寧に選んで、
まだ食べごろでない小さな葉はきれいに残して採ろうね」
と、イサ夫にもちゃんと説明しておきました。
なのに、家に帰ってイサ夫のビニール袋を見てみると、
根こそぎ引き抜いたベアラウフの束があったり、
せっかくの大きな葉も半分に破けてしなびていたり。
「クラブのみんなで大事にしてきたベララウフの群生地なのに、
なんで、こんないい加減な採り方をしちゃったの?
他のクラブメンバーの家族もあそこでベアラウフを採るのよ!」
私は涙を浮かべて訴えました。
イサ夫は、オロオロうろたえながらも、
「僕は初めてだったから、よく分からなかったんだよ....」
などと言い訳を始めました。
ここで私の落胆は、
火の粉をあげて燃えるような怒りに変わりました。
私の所属する趣味のクラブのメンバー数は、
20家族ほどと非常に小さく、
家族代々そのクラブに所属して、
共通の趣味を通して家族ぐるみのお付き合いをしているような
スイスによくある非常に保守的なクラブです。
外国人どころか別のカントン(州)からやってきた「よそ者」が、
そのクラブに所属したことなど、私の前には一度もありません。
だから、
私たちのようなスイスに縁もゆかりもない外国人駐在員家族が、
そのクラブに受け入れてもらい、
メンバーに信用されるようになるまで、
私は本当に沢山の努力をしてきたのです。
率先してクラブのボランティア活動に参加し、
集会にはスイス人の好きそうなお菓子を手作りして持っていき、
つたないスイスドイツ語でも、なんとか面白いことを言って、
みんなを笑わそうとか、良い気分になってもらおうとしてきました。
最初の半年は、挨拶さえ返してくれないメンバーもいました。
それでも、サーリ(こんにちは)とメルシ(ありがとう)しか言えなかった
私のスイスドイツ語がどんどん上達してくるにつれて、
私の努力を認めてくれるメンバーが1人また1人と増えていって、
1年半が経った頃、やっとクラブのメンバー全員が心を開いてくれるようになりました。
この頃になると、
標準ドイツ語で何でも言いたいことは言えるようになっていたので、
他のメンバーとその家族とのお付き合いも急速に親密になっていきました。
ここまで懸命に努力してきたわけは、
イサ夫がアメリカでの留学を終えて、スイスで今の仕事に就くことに決めた時、
「ここでは、僕は本当に必要とされているし、
僕自身が本当に面白いと思える仕事だから、
これからずっとスイスに住むことになるかもしれない」
と言ったからでした。
「スイスに永く住んで、ここで自分たちの家族を築いていくなら、
地域に馴染まないと幸せには生きられない」
そう思って頑張ってきたのです。
このクラブが私たち家族にとって、
唯一の地域に根ざしたスイス人コミュニティへの入口でした。
イサ夫に乱暴に摘まれたベアラウフの山を見たとき、
そんな私の努力を否定されたような気がしました。
....、あれ?
うーん、
ここまで書いたら、なんだか落ち着いてきちゃいました。
涙の訳がベアラウフだったなんてね。
やっぱり、イサ夫に泣いて怒りをぶつける程のことでは、
なかったかもしれません。
イサ夫、ごめんね。
イサ夫はこれまで、
私がドイツ語を一生懸命勉強したり、
年配のスイス人ばかりのこの近所で、
私が隣人とまめにお付き合いしているのを見ても、
「アイちゃんは、そういうことが好きで得意だからしている」
くらいにしか思っていなかったそうです。
でも今回の一件で、ミニアイちゃんが生まれる前に、
スイスで家族を築いていくうえで、私が悩んだり努力していることを
イサ夫に分かってもらえたのは、良かったと思います。
1キロのベアラウフから2.5キロのベアラウフペストが作れました。
煮沸消毒した小さなビンに詰めて、
いつもお世話になっているクラブの人たちにも配ろうと思います。
