立ち合いの変化は大きなリスクを伴うものです。
張り手も同様ですが、
体が起きたところをつけこまれて押される可能性が高いものです。
ところが、いまのお相撲さんたちは、
変化につけこむ敏捷(びんしょう)性を持ち合わせていません。
すぐに前に落ちるし、
せっかく残っても、相手を追いかけて押し切ることができません。
こらえ性がなく、自分も引いたり叩(はた)いたりします。
稽古が足りないと言ってしまえばそれまでなのですが、
大型外国人力士の台頭からか近年、むやみに体重を増やした結果、
動きが鈍くなったばかりか、膝を痛めやすく足運びが単調になり、
ますます変化に脆(もろ)くなっている、
そんなお相撲さんがあまりに多いように思われます。
いまの幕内平均体重が、全盛時代の大鵬の体重以上であることを
レベルアップの証拠とカン違いしている向きもあるようですが
実際は真逆です。
いずれにせよ、
立合いの変化であっという間もなく勝負が決まってしまうのは、
たとえ勝った方のファンであっても、
見ていて気持ちの良いものではありません。
そんな相撲には、双方にイエローカードを与えてやりたいものです。