冒頭から謝罪しておきますが、この記事で書いている物は完璧に怪しい中華ガジェットです。
真似される場合、自己責任で御願い致します m(_ _)m
ですが、使い方を知ったうえで利用される場合、すっごく便利で、例えば ASUS Tinker Edge T の様な変態電源を要求する SBC でもケーブル1本で即応出来る優れもの、しかも PPS 対応電源からは 3.3V~20Vの範囲で任意の電圧(200mV刻みで調整可)を自由に取り出せます。
お題の中華ガジェットはWITRN PDC002 でググると判りますが、そりゃダメでしょ、てか、え?って感じの検索結果です。が、筆者の所には検索結果からの予想に反して新品の実物が実際に配達され、予想に反して、ちゃんと機能しました。この機能から姉妹品の PDC005 などは自作ガジェットの機器側に組み込むのに適していそうです。
と言うか、機能はしましたが、使い方をちょっとでも間違えると完全アウトですね、コレ。機器をぶっ壊します。御注意下さい。
購入する際には 5.5x2.1コネクタセットと併せての購入が御薦めです。
準備する物:
■ PD対応 USB-C 充電器
■ Type-C 対応 USB電圧チェッカ + 5.5x2.1⇔Type-Cコネクタ
(もしくはテスター)
■ 壊れてもよいPC
■ 実験専用ネット回線(隔離用)
壊れてもよいPCと隔離用専用ネット回線を用意する意図は、怪しいUSB機器を接続し、かつ、怪しいアプリを起動する為で、この実験で利用したPCとネット回線は、クレカ利用のPCから隔絶した環境で保管してください。Bluetoothは可能なら送受信機を永久に取り外しておきます。
ステップ1:
デフォルトでは、このケーブルを PD対応 USB-C 充電器に挿すと強制的に最大電圧が出力されます。
なので一番最初にケーブルのトリガ電圧をプログラムします。
プログラム(ファームウエア)は、某熱帯雨林サイトに貼ってある(コピー)側のリンク先から日本語版がダウンロード出来ます。が、日本語マニュアルはネット上には無いので英語マニュアルを読解していただく必要があります。
固定電圧でOKなら、これでプログラミング終了です。設定した電圧に対応しているPD充電器と組み合わせて利用するだけです。
手順7:ケーブルを充電器に挿します。
=> これでケーブルがPDOを記憶!します。
手順8:挿した状態で10秒ほど待ってからケーブルを充電器から抜きます。
手順9:ケーブルに基盤を装着します。
、手順10:基盤を再度PCに接続します。
手順11:アプリでPDOの範囲で電圧設定が出来ますので、設定し書き込みます。
※設定できない場合、手順4からやり直しです。
手順12:PCから基盤を抜きます。
手順13:ケーブルから基盤を取り外します。
これで、設定した電圧が取り出せます。ただし、設定した電圧 × PDOの範囲のアンペアが最大電力になり、必ずしも充電器の最大ワット数の電力を取り出せる訳ではありません。理由は、充電器のスペックは主に最大アンペア数で決まるからです。
注意点:ケーブルの抵抗値が高め(1Ωくらい)です。
ケーブルの抵抗値が高いので設定した電圧は負荷に応じて想像以上に分圧されてしまい、こちらのグラフの様に欲しい電圧より下がります。
PPS 10V 設定で負荷を 5A まで上昇させてゆくと、電圧が分圧されて徐々に下がってゆく様子。この例では10Vでスタートし5A負荷で9.25Vまで概ね0.75Vほど電圧が下がっています(ケーブル側の抵抗により0.75Vほど分圧されています=この条件下ではケーブルは0.75V × 5A = 3.75Wほど発熱するはず)
ですが、オームの法則だと、
10V = 5A × 2Ω
なので、配線抵抗1Ωだと、もっと電圧さがりませんかね・・・というのが率直な感想ですが、電子負荷(FETによる電流制御)なので抵抗ではない形の負荷だから分圧が少ない。逆に言えば抵抗性の負荷だと、もっと電圧が下がるでしょう。
配線抵抗を想定して、充電器側が負荷に合わせて昇圧している可能性などを含め、もう少し調査してみますと、例えば、配線部分をオーム電子 SMT-L15CPD-K(配線抵抗 100mΩ) に変えて同じ負荷を掛けますと、この様に電圧の落ち込みが上図に比べて低い(具体的には 0.75Vと0.25Vなので0.5Vくらい差がある)事が判ります。
ですので、利用する際には負荷に合わせて少し高めに電圧設定するか、ケーブルを短くカット或いは低抵抗の物に電力線部分を改造・交換した方が良いと思われます。