電磁砲44です。
ボイラー・タービン主任技術者のことをメインにブログを書いております。
今回もボイラー・タービン主任技術者がするべき仕事について書きます。この内容は私の個人的な主観によるものです。発電所によっては全く該当しないこともありますのでご注意ください。
ボイラー・タービン主任技術者の仕事は大きく分けて4つあると思います。
- ボイラーやタービンの立上前準備と立下後処理
- 立上・立下作業
- B・T主任技術者会議出席
- 安全管理審査の受験
他にもあると思うのですが、とりあえずこれだけは書いておきたい内容を上げました。これは2胴水管ボイラーの例です。
2.立上・立下作業
2回目の記事は「立上・立下作業」です。基本は手順書に従いますが、基本事項があります。
立上時
「元弁(電磁弁)微開」
「暖管」
「エア抜弁・ドレンバイパス弁閉」
「元弁(電磁弁)全開」
立下時
「元弁(電磁弁)全閉」
「エア抜弁・ドレンバイパス弁開」
立上の時は暖管するために元弁を微開とし、機械全体が熱くなったらエア抜弁・ドレン弁を閉とします。これをしないと、スチームハンマー等が発生し、機械を壊します。また、弁の開操作はゆっくり行います。急激な操作をしてはいけません。
立下時は元弁を閉じると、蒸気が流れなくなります。そのまま放置してもあまり問題にはなりませんが、エア抜弁とドレンバイパス弁を開とし、余った蒸気を放出します。
ただし、立上時に気を付けなければならないことがあります。
図1
まず、図1を見てください。A蒸気溜とB蒸気溜は連結されています。AボイラーからA蒸気溜へ圧力2.0MPaで蒸気が提供されています。Bボイラーから供給される弁(圧力1.0MPa)とB蒸気溜からタービンへの弁は閉じています。
ここで、赤丸の弁を開けるとどうなるでしょうか。それが図2です。
図2
この状態では上記の圧力差が1.0MPaです。蒸気は圧力の高いところから低いところへ流れるので、圧力の流れは図2のオレンジ色のようになります。この場合、蒸気の逆流が大量に発生し、タービンへの圧力が低下してタービントリップする可能性があります。
では、次のようになるとどうでしょうか。
図3
今度は、BボイラーからB蒸気溜に入る弁まで圧力1.95MPaで蒸気が供給されています。そのほかの条件は同じです。この状態で赤丸弁を開してみましょう。それが図4になります。
図4
この状態では上記の圧力差が0.05MPaなので、ほとんど蒸気の逆流が起きません。
弁操作をするときは、このようなことを常に頭に入れておく必要があります。
簡単に作業内容を書きましたが、これは手順書が用意されている発電所ではこのようなことは当然考慮されています。
ここで記載した内容は一例です。この場合によらないことも結構あります。
いかがでしたか。前回も書きましたが、ボイラー・タービン主任技術者の行う作業は大きな責任を負います。作業は慎重に!
内容に疑問がある、ここは間違えている等のご指摘がありましたらコメント欄に書いていただけると助かります。
前回の記事に「いいね」してくださった方、ありがとうございます。このブログ記事ではじめて「いいね」がつきました。
今回もご覧いただきありがとうございました。次回は「B・T主任技術者会議出席」になります。
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