昼顔 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『昼顔』

 

 

 

 

 

1967年 フランス・イタリア

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 ルイス・ブニュエル

 

原作 ジョゼフ・ケッセル

 

脚本 ジャン・クロード・カリエール

 

撮影 サッシャ・ヴィエルニ

 

 

 

出演 カトリーヌ・ドヌーヴ/ジャン・ソレル/ミシェル・ピコリ/ジュヌヴィエーヴ・パージュ/ピエール・クレマンティ/マーシャル・メリル

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

真昼のひととき、束の間の命を妖しく燃やす昼顔、夜がささやけば、愛する人の胸にふるえる清い花びら

 

昼は娼婦、夜は貞淑な妻の顔を持つ若き人妻の二重生活をカトリーヌ・ドヌーヴ主演で描き、1967年・第28回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した作品

 

「アンダルシアの犬」のルイス・ブニュエル監督が、ジョゼフ・ケッセルの同名小説えお映画化、音楽は使わず自然音だけで効果を狙っている

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

セヴリーヌとピエールの2人は仲の良い幸せな若い夫婦、しかし彼女はピエールが不感症だとセヴリーヌを罵り、情欲の塊となって縛り上げて鞭で責めた挙句に他人に強姦させるという妄想をしている、それはセヴリーヌの不感症が影響している

 

 

ある時、セヴリーヌの友人のルネから良家の夫人たちが夫に内緒で売春をしていると聞き、衝撃を受けたが何故か強く惹かれるものがあった

 

 

ピエールに娼館に行ったことがあるかと聞くと独身時代に少しと答え、そこは女を選んで30分個室で過ごす、男の欲望を放出する場所だと

 

 

テニスクラブでルネの恋人のユッソンを見掛けたセヴリーヌはいつもイヤらしい目付きで見るユッソンを毛嫌いしていたが、ユッソンは女好きで娼館の場所をさり気なく聞くと場所を教えてくれた

 

 

いけないと分かっていても心の疼きを抑えられず、その娼館を訪ねるのだった、そこの女主人アナイスはセヴリーヌに午後の2時から5時まで仕事をすることから昼顔と名付けた

 

そうしてセヴリーヌの二重生活が始まった、初日の客は会社の社長で戸惑うセヴリーヌは強引に抱かれてしまった、家に戻って着けていた下着は燃やし、ショックで1週間休んでしまった

 

 

客一人一人に性的な趣向が違い、部屋を覗いて勉強、毎日午後の数時間、セヴリーヌは行きずりの男に抱かれ、夜は今まで通り貞淑な妻

 

 

もはや夫を裏切っているという意識は薄れ、毎日心と体が満ち足り、最高に感じていたのだが、その満ち足りた日々が崩壊する時がやって来た

 

マルセルと言う粗暴な男がセヴリーヌに入れ込んで本気で惚れてしまい、夫と別れて自分の物になれと迫ってきたのだ

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

馬車に乗ったセヴリーヌと夫のピエール、しばらくは幸せそうだったが不感症だとピエールはセヴリーヌを詰り、馬車の運転手2人に命令して馬車から降ろして服を脱がして鞭打たせて無理矢理襲わせた

 

 

これはセヴリーヌの妄想で彼女は不感症でマゾなんです、演じるのは「反撥」のカトリーヌ・ドヌーヴで、気の強そうな顔をしているのですが、そんな人ほどマゾだったりするのかも

 

 

夫のピエールを演じるのはジャン・ソレルで、医者であり紳士的で誰もが羨む好青年なのです、それでもセヴリーヌとはセックスは上手くいかないんです

 

そんな彼女が友人のルネから共通の知人が売春していると噂話を聞いて何故か関心を持ってしまうんです、貞淑な妻なのですが胸の奥に燻っていた物が燃え上がろうとしているんです、ルネを演じるのはマーシャル・メリル

 

 

女好きでセヴリーヌをイヤらしい目付きで上から下まで見るルネの恋人でピエールの親友のユッソンを毛嫌いしているセヴリーヌなのですが、そのユッソンから娼館の場所を聞きます

 

それからはその娼館が気になって仕方ないのか娼館の近くにまで行き、遂には娼館の中に入って勤めてしまうんです、娼婦になるのがこんな簡単なことなの?

 

 

その娼館の女主人アナイスはセヴリーヌに昼顔と名付けるんです、昼顔とは娼婦の意味もあるそうです、アナイスを演じるのはジュヌヴィエーヴ・パージュ

 

 

監督はルイス・ブニュエルで、シュルレアリスムとエロティシズムを描く耽美的作品を多く撮ってます、ジョゼフ・ケッセルの同名小説を打診されるも興味はなく、苦手な作品を好みの作品に仕上げることに興味を持って引き受けたそうです

 

ルイス・ブニュエルは原作の凡作をわざわざ映画にする必要があるのかと、しかしフロイト的な解釈と良心とセックスの関係性を描くコンセプトで脚本家ジャン・クロード・カリエールは協力することに

 

フロイト的な精神分析学の要素とはセヴリーヌの深層心理を表す妄想で、それは随所に挿入されており、縛られたセヴリーヌをピエールがユッソンに命令して泥をぶつけるんです、綺麗なセヴリーヌが汚れていくんです

 

 

汚されたい、強引に凌辱されたい、とマゾヒスティックな性的な願望、しかし不感症で夫のピエールのセックスの期待に応えられないモヤモヤがこんな願望を燃やすんです

 

 

娼館では強引で乱暴な客が多いようで、温厚なピエールでは満足できず、セヴリーヌは暴力的でそれでいて屈辱的な快楽を求めていて、それが自身では汚らしいと恥じていてセックスも拒否してしまうのです

 

 

昼間は不特定多数の男を相手にする娼婦、夜は貞淑な妻という二重生活、最初のうちこそ抵抗感があったものの、いろんな性癖の男たちの相手をするうちに恍惚の表情となるのです

 

 

 

 

 

発禁の書に挑んで大胆に女体の神秘をえぐり出した巨匠ルイス・ブニュエルの問題作! それが『昼顔』です。

 

 

 

 

 

東洋人の男の相手をするのですが、日本人なのか中国人なのか、音の鳴る箱を持っているのですがあれは何?、バイブレーターなのかな?