侍タイムスリッパー | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『侍タイムスリッパー』

 

 

 

 

 

2024年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本・撮影 安田淳一

 

 

 

出演 山口馬木也/冨家ノリマサ/沙倉ゆうの/峰蘭太郎/庄野﨑謙/紅萬子/福田善晴/井上肇/田村ツトム/安藤彰則

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

幕末の侍が時代劇撮影所にタイムスリップ⁉

 

テレビドラマ「剣客商売」シリーズなど数々の時代劇に出演してきた山口馬木也が主演を務め、冨家ノリマサ、沙倉ゆうのが共演、「ごはん」「拳銃と目玉焼」の安田淳一が監督・脚本を手掛け、自主制作作品でありながら東映京都撮影所の特別協力によって完成させた

 

2024年8月17日に池袋シネマ・ロサの一館のみで封切られ、口コミで話題が広がったことからギャガが共同配給につき、全国100館以上で順次大公開、インデペンデント映画として異例の大ヒットを記録

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

幕末、会津藩士・松平家家中の高坂新左衛門は相棒の村田左之助と共に京都と向かい、長州藩士の山形彦九郎の暗殺のために西経寺で待ち伏せし、いざ山形と刀を合わせた瞬間に突然の落雷が直撃

 

 

気を失った高坂が目覚めるとそこは現代の京都にある時代劇の撮影所、そこで時代劇の撮影をしており訳が分からない高坂は監督に怒られてしまう

 

 

助監督の山本優子に別の撮影ではと言われて撮影所内をウロウロしていると頭をぶつけて気を失ってしまう、通り掛かった優子に救急車を呼ばれて病院へ

 

 

目を覚ました高坂は窓の外の景色を見て驚愕、病院を抜け出して外を歩くと見たこともない世界が広がっている、そして日本の歴史を知り、徳川幕府が滅んで140年、そして自分が過去からやって来たことに気付いた

 

 

元の世界に帰る方法もわからないまま彷徨い歩いていると見覚えのある寺を発見、ここは山形と対峙した場所だったことを思い出した

 

翌朝、西経寺の住職が外に出ると高坂が倒れていた、住職夫妻の助けで寺の中で介抱してもらい、連絡を受けた優子も駆け付け、記憶喪失と思われた高坂はしばらく寺に居候することになった

 

寺の中を掃除して休憩のときにケーキを食べた高坂は衝撃を受けた、こんな美味いものがみんなが食べられるなんて日本は豊かになったと感激

 

 

そしてテレビの時代劇を見て感銘を受け、これを作るのに優子が携わっていると聞いて、たまたま寺で行われていた撮影にエキストラとして参加

 

 

こうして高坂は斬られ役として現代での生活をスタートさせるのだが…

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

まさかまさかの自主制作映画が一館での上映からあれよあれよと全国公開となり、しかも日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞するなんて、司会の安藤サクラが「夢がある!」と

 

 

おいらは日本アカデミー賞は大手の4大映画会社の作品が受賞するのが当たり前だと思ってました、それがそれがインデペンデントな映画会社の自主制作映画が受賞するなんて日本アカデミー賞も捨てたもんじゃないなと思いましたね

 

 

安田淳一監督の脚本に惚れこんだ東映京都撮影所が全面協力、100年近い歴史を持つ京都撮影所で自主制作映画が撮影されることはないのです

 

 

監督の時代劇愛が共感を呼び異例の対応となり、屋外セットのロケだけでなく衣装やメイクやカツラまで、様々な分野まで協力を惜しまなかったそうです

 

しかも監督は米農家で本作のおにぎりは監督が育てたお米なんです、制作費もほぼ監督が調達し、足りなくなったら愛車を売って制作費を作ったらしいです

 

本当にアイデアの勝利で時代劇が大好きな監督が作ったって感じが伝わってきます、時代劇の独特の撮影の仕方や、殺陣などの斬られ役への指導なんかね

 

主人公の高坂新左衛門を演じるのは山口馬木也で、時代は幕末で会津藩士で、長州藩士の山形彦九郎を討つ命を受けて仲間の村田左之助と京都で対峙します

 

 

山形彦九郎を演じるのは庄野﨑謙で、高坂新左衛門と刀を合わせた瞬間に雨が降って落雷が直撃します、こうして高坂は現代に(設定は2007年)の京都へタイムスリップしてしまいます

 

そこは時代劇撮影所なので何かがおかしいと思いつつも町を見ていると、リハーサルが終わって本番の撮影になったのでみんながもう一度同じことをするのを見て不思議に思います

 

そこは時代劇の心配無用ノ介の撮影中なんです、そこで助監督をしているのが山本優子で演じるのは沙倉ゆうので、実際に彼女は助監督をしているんです、スタッフも数人でみんな掛け持ちでやっているんです

 

 

西経寺の住職夫婦に世話になる高坂なんですが、腹が減っておにぎりを食べさせてもらいますが、こんな真っ白な米は初めてだと感激します、時代劇を見て感銘を受けて優子の紹介で斬られ役になります

 

 

そこで殺陣師の関本に師事して斬られ役のノウハウを学びます、関本を演じるのは峰蘭太郎で、当初は福本清三を予定していたのですが急逝、そこで峰蘭太郎に声が掛かったのですが、福本さんが演じる予定の役だと聞いて脚本も読まずに了承したそうです

 

斬られ役として現代での人生を開始した高坂は10年前に時代劇からの卒業を宣言したスター俳優の風見恭一郎を主演とする新作時代劇に準主役としてオファーされるのです、風見恭一郎を演じるのは冨家ノリマサ

 

 

この風見恭一郎は高坂となら侍の心や時代劇の素晴らしさを後世に伝えられると思って時代劇に復帰したんです、そして2人の対決シーンでは真剣を使った殺陣なしの斬り合いをするのです、これが迫力あってね

 

 

久々に時代劇を観たくなる快作でした、悪い奴が出てこない作品で、笑って泣ける作品でした、ネタバレ禁止で書きましたが面白かったです

 

 

 

 

 

 

それがし、斬られ役にござる それが『侍タイムスリッパー』です。

 

 

 

 

 

一生懸命していると誰かが見ていてくれている、のセリフがありますがそれは福本清三が生前に言っていた言葉だそうです。