『ウィッカーマン』
1973年 イギリス
《スタッフ&キャスト》
監督 ロビン・ハーディー
脚本 アンソニー・シェーファー
撮影 ハリー・ワックスマン
音楽 ポール・ジョヴァンニ
出演 エドワード・ウッドワード/クリストファー・リー/ダイアン・シレント/ブリット・エクランド/イングリッド・ピット/リンゼイ・ケンプ
《解説》
外界から閉ざされた島で起こった迷宮事件
まさかのラストがゾクリと怖い官能ホラー!「フレンジー」などの脚本でも知られる劇作家アンソニー・シェーファーのシナリオを映画化した恐怖劇
島に君臨するサマーアイル卿をさすがの存在感で演じるクリストファー・リー、エロティックなヌード・ダンスで主人公を誘惑する村娘に扮した元ボンド・ガールのブリット・エクランドなど、キャストも異彩を放っている
ハマーを始めとする名門ホラー・プロが失速し、混迷する70年代英国怪奇映画界に突如現れた神憑り的傑作、古代宗教に支配された孤島を舞台に、生贄信仰の恐怖を軸にした謎解き物語が展開、詩情豊かな映像にエロスを織り込んで紡ぎ上げた、豊潤な驚きに満ちた永遠のカルト作
《物語》
スコットランド・ハイランド地方西部の警察に勤める巡査部長ニール・ハウイーはヘブリディーズ諸島のサマーアイルという孤島で行方不明になった少女ローワン・モリソンを探してほしいと匿名の手紙を受け取る
飛行艇でサマーアイルにやってきたハウイーは早速、手紙に同封されていたローワンの写真を見ても島民は知らないと首を横に振った
母親のメイ・モリソンを訪ねるとメイはローワンを知らないと言い、メイにはマーテルという娘がいるだけだと説明される
捜査は進まず日が暮れてしまった、ハウイーはパブの主人マクレガーに宿を用意してもらい、パブの客にも情報を求めるが誰も知らない
ハウイーが外に出ると若者たちがそこらじゅうでセックスに耽っている、ハウイーは非常に厳格なキリスト教を信仰しているため、島の若者たちに嫌悪感を抱く
眠りに就こうとベッドに入ると隣の部屋から声が聞こえた、マクレガーの娘のウィローが艶めかしい踊りと歌でハウイーを誘惑し、彼を困らせる
次の日、学校に行ってみると教師が子供たちに性的な授業をしていた、嫌悪感を持ちながら子供たちにローワンの事を聞くと誰も知らない、しかし名簿を強引に見るとローワンの名があった
島民みんなで嘘をついていたのだ、教師の話ではローワンは死に、しかも島民は生まれ変わりを信じてローワンもそうなるという、収穫祭の近づく中で島民たちは準備や儀式に忙しく彼の捜査は進まない、ハウイーは島の権力者であるサマーアイル卿を訪ねた
その庭では半裸の少女たちが火を飛び越える処女生殖の勉強中、でたらめばかりの生物学や宗教にハウイーはキリストを教えろというが、サマーアイル卿はキリストも処女から生まれたと返す
サマーアイル卿の祖父の世代、凶作が続いたためにキリスト教を捨てて古い宗教儀式に戻ったところ島は豊かになりリンゴの名産になれたという
この島はサマーアイル卿のもとでキリスト教宣教以前のケルト的宗教が復活していたのだ、男根を崇拝し、生殖と豊作を願う儀式のために性的な行いがされている異様な風景
ハウイーは独自捜査で次第に少女は人身御供として殺されるか、あるいはこれから殺されるのではとの疑念を抱くようになる、ローワンの墓を暴くと野うさぎが入っているだけ、昨年の感謝祭の主役だったローワンは凶作の年の収穫祭の生贄となる事をケルト的ペイガニズムから確信する
ローワンを救うべく収穫祭に紛れ込み町外れの海辺の丘に立つ、柳の枝で出来た巨大な“ウィッカーマン”の像へと向かい、ハウイーはローワンを救うが島民に取り押される
そこでサマーアイル卿は生贄はローワンではなくハウイーであり、全ては彼をこの島へ招きよせて生贄にするためのワナだったのだ
《感想》
当時はなかなか観る事が出来なかった作品で観れた時は嬉しかったです、ユニバーサルからの劇場公開版だけど満足してます、ちなみに以前にはビデオ発売されたのは81分版、日本で劇場公開され再発売されたのは88分版、アメリカでビデオ化され日本でも廃盤となっているDVD完全版が102分版、様々な権利の問題でいろんなバージョンが存在します
物語は世間の常識が通用しない原始的な島民を、ケルト人の民族学的風習に裏打ちされた怪しくもどこかのどかな物語をミステリー、ホラー、ポルノ、ミュージカルなどの要素を混ぜ合わせて描いています
ウィッカーマンとは柳の枝で編まれた巨大な人型の檻でドルイド教徒が生贄となる人間を燃やしていたものだそうです、今ではスコットランドやアメリカ・ネバダ州でお祭りとして催されています
まったくすごい作品です、やはり異教徒の怖さを描くなら常識が通用しない事が怖いですね、毎晩のように誰かとセックスに耽っていてもいいみたいですが、常識からしておかしいですよね
学校では女教師が女子生徒に男根を讃えるような授業をしてるし、それにあちこちに男根をモチーフにした石像や樹木があったりします
少女たちの半裸授業も当たり前に歌いながら火を飛び越えて生殖の儀式などやっぱ常識では考えられない、だからジワジワ怖いです、実際に恐怖を感じる場面はラストくらいですが普通のホラー映画とは違うカルト映画です
この主人公のハウイーは敬虔なクリスチャンなので童貞でそこがポイントなんですけどね、どこの国にも生贄や人柱みたいなものはあるんですね、演じるのはエドワード・ウッドワード
匿名の手紙で少女を捜して欲しいとの手紙が来てハウイーはサマーアイル島にやって来たのです、そこでは古代の宗教を信仰していて生殖についてが主なようなのです
それについてハウイーはキリストを教えろと言うのですが、やはり宗教は自分の信仰するものが正しいのでしょうね、これもある意味怖いところです
それに生贄は誰でもいいわけではないみたいです、だからこその生贄なのでしょうね、「吸血鬼ドラキュラ」で有名なクリストファー・リーがいい雰囲気を醸し出しています、なんかノリノリみたいでした(笑)
それにウィロー役のブリット・エクランドが妖艶な魅力を存分に魅せてくれてます、エロダンスをされた日にはもう大変です、実は胸を出すのは了承していたのですが、後ろ姿の全裸はボディダブルだとか、お尻は恥ずかしかったのかな?
もう完璧に綺麗でエロいブリット・エクランドがこの作品を更にカルト化してると思います、やはりこの手の作品には絶対に必要なエロティックな女優ですよね、彼女の印象は本当に強くて見惚れるほどでした
男は消えた少女を追って、この島に来た、人生最大の恐怖が待っているとも知らずに… それが『ウィッカーマン』です。
あまりにも有名なカルト作、観てなくても内容を知っているのでは?、セルDVDの特典映像も見逃せません、様々なバージョンが存在する理由が語られてます。
更に過激な続・裏237号室の『ウィッカーマン』のレビューはこちらです。