『狼の血族』
1984年 イギリス
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ニール・ジョーダン
原作・脚本 アンジェラ・カーター
撮影 ブライアン・ロフタス
音楽 ジョージ・フェントン
出演 アンジェラ・ランズベリー/サラ・パターソン/スティーヴン・レイ/テレンス・スタンプ/トゥッシー・シルバーグ/デビッド・ワーナー/キャサリン・ポグソン/グレアム・クローデン/ダニエル・ダックス/ミッシャ・バージーズ
《解説》
少女の悪夢がそのまま映画になった!
ファンタジー・ホラー誕生、アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞受賞、アメリカンホラーとは一味違う特殊メイクシーンと、夢と現実が交差する映像美は必見
グリム童話「赤ずきんちゃん」をもとに思春期の少女の性への恐れと憧れを、少女の見る夢そのままのごとき幻想的な映像で描いた新趣向のホラー映画
《物語》
ベッドに1人の少女がまどろんでいた、13才のロザリン、彼女は夢を見ていた、彼女は狼に殺された姉の葬式のあと、森に住む祖母から狼男の話を聞いた
昔々、村の娘は行商人と結婚したが満月の夜に花婿は姿を消した、数年後、男がフラリと戻ってきてみると妻は再婚していた、激怒した男が狼に変身し妻に襲いかかろうとすると、新しい夫が丁度帰宅し、斧でその頭を切り落とすと、ミルクの桶に転がったのは人間の頭だった
祖母はロザリンに注意する、「濃い眉毛をもった男には気をおつけ、それは狼男なんだから」そして祖母はロザリンに赤い毛糸のマントを贈った、ロザリンが森から戻り、鴬の巣の卵からかえった小さな赤ん坊の像を母親に見せてロザリンは祖母から聞いた話をする
昔々、貴族の婚礼披露宴にそこにそぐわない村の娘が姿を現した、花婿に捨てられた彼女は並んでいる貴族に呪いをかけて狼へと変身させた
またロザリンは夢を見た、白い服を着た彼女は白いロールスロイスの運転手だった、後部座席に白い悪魔が乗っており、森の中の青年に小さい瓶を渡した、その瓶の中の液体は身体に塗ると、狼に変身する薬なのである
祖母を訪ねる途中の森でロザリンは眉毛の繋がった狩人と出会った、狩人は彼女より先に祖母の家に着き、祖母を食い殺していた、恐ろしくなったロザリンは狩人に発砲、すると狩人は狼に変身
ロザリンは狼を撫でながら狼少女の話をした、両親や村人が祖母の家にやってくると家の中には狼が二匹いた、一匹の狼はロザリンの十字架を首から下げていた
屋根裏部屋のベッドでロザリンは目を覚ました
《感想》
アンジェラ・カーターの同名小説は、赤ずきん童話に素材を得たもので、思春期の少女がしばしば見る悪夢のすばらしく豊かなイメージでまとめたものだった
映画はその夢を発展させた形で描かれる、それはグロテスクで不気味で美しくて哀しく、そして官能的です、それにイギリス製のファンタジー・ホラーなのでハリウッドの作品とは一味違ってなんだか不思議な印象です
祖母が孫に色んな事を教えている感じでもあります、ロザリンに落ちているリンゴを食べさせるのです、するとそこには虫がいて、祖母は木に実っているリンゴを食べる事と教えてくれます
作品のほとんどが森の中なんですが、スタジオに作られた森なんです、森というイメージこそが、この作品のモチーフのすべてであるとね、神秘と官能に彩られた森、人工的な森は現実の森を超越するが故に、いっそう観念としての森に近づいていきます
当時は特殊メイクが全盛の時代なので狼男への変身シーンは見応え十分です、今まで見てきた変身シーンとは趣向が違います、狼男への変身シーンは3つで全て異なる変身です
まずは顔の皮膚を自ら引き裂いて筋肉丸出しとなって、次は骨格が狼のようにせり出てきます、変身には苦痛が付きもののようですね、2つ目は従来型の変身です
3つ目は大きく口を開けて長い舌をベロ~ンって出して、更に口の中から狼の口が出現して、そのまま皮膚を引き裂いて狼が出てくるんです、これは新しかったね
「ハウリング」以降、狼男の映画は変身シーンの話題が先行していますが、本作は有名なおとぎ話をモチーフにしていますのでメルヘンチックです
その中でのグロテスクな変身シーンは見応えあります、主役の少女サラ・パターソンが少女から女性に変わる微妙な年頃を耽美に演じてます、思春期の少女はこんなに不思議なもんなんでしょうか?(笑)
やはり思春期の少女は性への不安と期待なんかがあって心の均整がとれなかったりして理想と現実が入り混じったファンタジックな幻想を抱くのかな?
鬼才ニール・ジョーダン監督が、グリム童話「赤ずきんちゃん」をもとに新解釈で狼と少女の関係を描いたダーク・ファンタジー それが『狼の血族』です。
若かりし頃に観て、おばあさんが狼男に殺されるシーンは?ってなりました、だって陶器になってしまうから。






















