クロコダイルの涙 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『クロコダイルの涙』

 

 

 

 

 

1998年 イギリス

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 レオン・ポーチ

 

脚本 ポール・ホフマン

 

撮影 オリヴァー・カーティス

 

音楽 ジョン・ラン/オルランド・ガフ

 

 

 

出演 ジュード・ロウ/エリナ・レーヴェンソン/ティモシー・スポール/ジャック・ダヴェンポート/コリン・サーモン/ヒトラー・ウォン/ケリー・フォックス/シュレイ・アータス

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

殺さなければ愛せない

 

美貌の演技派ジュード・ロウの魅力に満ちた、ミステリアスなサスペンスロマンである、クロコダイルは生きるために獲物を殺すが、涙を流してそんな本能を正当化している、そのことを、本作の主人公は引用している

 

香港映画界の雄レオン・ポーチ監督によるイギリス映画、しかもオリエンタルな美術に彩られながら、主人公の毒牙にかかる女性たちをはじめ、さまざまな国籍の人間が入り乱れていく

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

青年医師であるスティーヴン・グリルシュはある日、地下鉄のホームで飛び込み自殺を図ろうとしていた女性マリア・ヴォーンを飛び込む寸前で助けた

 

 

数日後、街で偶然出会った彼女に、「なぜ助けたのよ」と言われてスティーヴンは自分の名刺を渡した、しばらくしてマリアは彼を訪ね、スティーヴンはマリアの心を開き2人は恋人同士となった

 

婚約指輪を贈られたマリアはベッドで愛し合いながら幸せを嚙みしめていた、マリアの体を愛撫していたスティーヴンの手に力が入り、その首筋に咬み付いた、痙攣して絶命するマリア

 

 

スティーヴンは全てを手に入れた成功者だ、しかし彼は自分を愛してくれる女性の血を吸わないと死んでしまう吸血鬼、女性の愛なしでは生きられない男

 

完璧な愛だけがスティーヴンを癒してくれる、その為にスティーヴンは次から次へと女性を誘惑しては、血を吸って殺して、完全犯罪を重ねている

 

 

マリアの死体が海に捨てたが、違法漁船のトロール船の網の中からマリアの死体が発見された、警察は殺人事件として捜査を開始、スティーヴンは自ら警察に電話をして捜査の協力を申し出る

 

ヒーリー警部は協力的な態度からスティーヴンを犯人とは言いかねていたが、若いロッシュ刑事は疑念を抱いていた、半年前にもスティーヴンの元恋人サラが交通事故で死んでいるのだ、2人の死は偶然?

 

 

そんなスティーヴンの前に新たな女性が現れた、エンジニアのアン・レヴェルズもまたミステリアスに謎めいた好青年のスティーヴンに惹かれていった

 

 

ヒーリーとロッシュは捜査を続けスティーヴンを尾行、しかし尾行途中で見失ったヒーリーは大勢のチンピラに絡まれたところをスティーヴンに助けられ、手当てまでされてヒーリーは彼の無実を信じるようになる

 

スティーヴンを犯人とする具体的な証拠はなく彼への捜査は切り上げられた、スティーヴンの体は限界が近づいてきた、アンの血を吸わなければ体は崩壊し、数週間で死に至る

 

 

そしてスティーヴンはアンとベッドを共にし、愛を確認、最後の決断を下す瞬間がきた

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

ドラキュラ伯爵のような圧倒的な怪物の吸血鬼ではなくて、強い人間くらいの吸血鬼なのです、身のこなしや速さは俊敏です、それにスマートです

 

この吸血鬼のスティーヴンを演じるのはジュード・ロウで、その端正な顔立ちは紳士な吸血鬼の末裔って感じがします、ただ残念なのは頭部ですね

 

 

オープニングで自動車が木と木の間に挟まっている事故から始まるのです、その現場にスティーヴンはいるのです、運転手はサラで自動車で暴走した結果の事故死となります

 

スティーヴンは電車に飛び込もうとしていた女性マリアと偶然町で出会って名刺を渡す、数日後にマリアが訪ねてきて彼女の心を開いて恋人同士となるのです、マリアを演じるのはケリー・フォックス

 

ベッドでセックスをするのかと思ったらスティーヴンはマリアの手を押さえて首筋に咬み付いた、血しぶきが飛んで悲鳴を上げるマリア、痙攣を起こして目を開けたまま絶命

 

 

ベッドのシーツで包んで浜辺に捨てるのです、ここは全てを砂の中に飲み込んでしまい、海に出てもあっという間に沖へと流されてしまう場所、違法漁船が通らなかったら永遠に見付からなかっただろうと

 

警察の捜査が始まり、スティーヴンは自ら警察に電話して協力、警察はもちろんスティーヴンを疑います、マリアだけでなくその前の恋人のサラまで亡くなっているのですから

 

 

彼を追うのはヒーリー警部で演じるのはティモシー・スポールでその表情からは温厚ではあるけど腕利きには見えませんでした、スティーヴンを尾行中にチンピラたちに殺されそうになるのですがスティーヴンは言葉巧みにチンピラからヒーリーを助けるのです

 

スティーヴンは新しい獲物を見付けるのです、それがアンで演じるのはエリナ・レーヴェンソン、小柄で幼く見えるのですが芯が強い感じです、スティーヴンの魅力の虜となります

 

 

アンと一緒のところを以前のチンピラに囲まれてアンをよこせとリーダーの男が言うのですがスティーヴンはチンピラたちを圧倒、リーダーの男は刃物を出しますがスティーヴンには敵いません

 

 

警察はスティーヴンを怪しいと思うのですが決定的な証拠がない、それにヒーリーはスティーヴンとちょっとした友情関係が出来始めたりしてね、ヒーリーが奥さんについた嘘は面白いです

 

現代の吸血鬼を描いた作品ですが怖さはなく、自分を抑えきれない感情のような物の爆発、アンもスティーヴンにいよいよ狙われるのですが、スティーヴンの中の感情が今までと違うのです

 

 

 

 

 

 

最も危険で美しい男のサスペンス・スリラー それが『クロコダイルの涙』です。

 

 

 

 

 

このタイトルは作品の内容が分かりませんがクロコダイルの涙って自分の悪行を正当化してるのでしょうか?