キングコング対ゴジラ | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『キングコング対ゴジラ』

 

 

 

 

 

1962年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 本多猪四郎

 

特撮監督 円谷英二

 

脚本 関沢新一

 

撮影 小泉一/有川貞昌/富岡素敬

 

音楽 伊福部昭

 

 

 

出演 高島忠夫/佐原健二/藤木悠/浜美枝/若林英子/平田昭彦/堺左千夫/根岸明美/田島義文/大村千吉/田崎潤/松村達雄/有島一郎

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

ゴジラ勝つか?コング勝つか?20世紀最大の決斗篇

 

東宝創立30周年記念作品として、なんと対戦相手に世界のキングコングを迎えた超娯楽作だが、ゴジラがカラー作品に搭乗したのも初めてなら、シリーズとしてタイトルに“対”を付けたのも初めてという記念碑的作品

 

伏線と登場人物のキャラクターが充分に活かされた脚本と、コミカルかつダイナミックな演出で心底面白いと言える作品になっている、怪獣映画である前に映画として成立している

 

1970年に「東宝チャンピオンまつり」としてリバイバルされた際、ネガフィルムにカットが施され長らく全長版は幻とされていたが、海外に残されていたプリントなどから復元作業が行われた

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

自社提供のテレビ番組の視聴率低迷に頭を痛めるパシフィック製薬宣伝部長の多胡は南方野生薬草の調査から帰った牧岡博士からソロモン諸島に浮かぶファロ島に大異変が起こると原住民の噂を聞く

 

 

これを世界驚異シリーズと銘打って視聴率アップにしようと多胡は考えて、テレビ局員の桜井と古江は海外取材班としてファロ島に行く事になった

 

 

一方、北極海では海水の温度が上昇、調査をしている原子力潜水艦シーホーク号が光る氷山を発見するが、その直後に沈没してしまう、氷山の中から復活したゴジラは放射能を吐きながらベーリング海を一気に南下

 

 

ファロ島に上陸した桜井と古江は島の原住民たちの間に魔神信仰があり、噂話が現実と知る、その夜ジャングルの中から巨大な魔神キングコングが現れ、島民が用意していた赤い汁を飲み干して深い眠りについてしまう

 

 

生け捕りに成功した桜井と古江はキングコングを貨物船によって日本へと運ぶのだが、その途中でキングコングは目を覚ましてしまい、海へと逃げてしまう

 

松島湾からゴジラが上陸し、仙台市を通り過ぎて南下を続ける、千葉沖から上陸したキングコングは本能によって導かれるようにゴジラを目指し、中禅寺湖で対決となるもゴジラの放射能にキングコングは退散

 

 

自衛隊による100万ボルト作戦が功を奏し、電流を苦手とするゴジラの首都圏侵攻は防げたものの、キングコングには効果がなく、更にキングコングの体を帯電体質としてしまう

 

 

国会議事堂に登るキングコングに対して麻酔弾で眠らせて富士山麓へ、再び相まみえたゴジラとキングコングは激しい闘いを繰り広げる

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

「ゴジラの逆襲」から7年ぶりの続編でゴジラシリーズの中では歴代1位となる大ヒットを記録しました、1970年と1977年にリバイバル上映されましたが、それらはカットされた短縮版

 

 

本作は1933年版の「キングコング」以降は不遇であった特殊効果クリエイターのウィリス・オブライエンによって企画された作品だったが映画会社RKOがオブライエンの知らぬうちに改訂されて東宝に売り込まれたそうです

 

東宝はキングコングの名称使用料5年分として8000万円を要求、当時の東宝の映画3本分の製作費に匹敵する額に了承し、久しぶりにゴジラが撮れるとスタッフは意気込んでいたそうです

 

特撮監督の円谷英二はゴジラよりもキングコングをどう描くかで尽力したそうです、世界で最も有名な怪獣の1つであるキングコングがアメリカ以外の映画に出たのは日本だけでしょうね

 

 

久しぶりに本作を観たのですが短縮版ではなくて海外に残されていたフィルムをデジタルリマスターした完全版です、50年以上前の作品ですが、相当綺麗な画質でした

 

 

本作ではゴジラの反戦反核の要素は少なくて娯楽要素が満載です、この頃のゴジラはまさに破壊神で脅威の存在です、そこにファロ島に存在するキングコングが対決となるんです

 

 

ファロ島に噂される魔神伝説を視聴率低迷の起爆剤として取材班を行かせて、大タコと対決した後に原住民の酒を飲んで眠った所をイカダに乗せて貨物船で運ぶのですが、こんな巨大な怪獣をどうやってイカダに乗せたのか疑問はありますけど面白かったらそれでいいです

 

 

第一戦はゴジラの放射能にキングコングは毛を焼かれて退散してしまうのですが、このキングコングが愛嬌があって和みます、ゴジラに負けたのにさっさと逃げるんです

 

 

その後に自衛隊は対ゴジラ用に落とし穴に落して爆弾を爆発させたりしますが効果なし、そこで電流によってゴジラを首都圏侵攻を食い止める事に成功するんです、ゴジラは電流に弱くて去ります

 

しかし電流はキングコングには効果がなくて、逆にキングコングは帯電体質となって指先から電気を発する特異体質となってゴジラと第二戦となります

 

 

クライマックスの闘いでは曖昧な感じになりますが、自国のキャラクターを勝者敗者にする事を避けた日米の思惑があって議論を重ねた結果のラストとなりました

 

 

当時の特撮技術でここまで表現するのは並み大抵の事ではありません、円谷英二特撮監督らの執念を感じます、今のCGに慣れた若い人たちにはオモチャのように見えるかもしれませんが、こうして技術の進歩があるのです

 

 

 

 

 

ゴジラ対コング!日米怪獣スターの大進撃! それが『キングコング対ゴジラ』です。

 

 

 

 

 

2大スター怪獣の対決に胸が躍りましたよ、次作は「モスラ対ゴジラ」となります、それと「キングコングの逆襲」もね。