『鮮血の美学』
1972年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ウェス・クレイヴン
製作 ショーン・S・カニンガム
撮影 ヴィクター・ハーヴィッツ
音楽 デヴィッド・ヘス
出演 デヴィッド・ヘス/ルーシー・グランサム/サンドラ・カッセル/マーク・シェフラー/ジェラミー・レイン/フレッド・リンカーン/ゲイロード・セント・ジェームズ/マーティン・コーヴ
《解説》
脱獄囚に娘をレイプされ惨殺された夫婦が、脱獄囚らに復讐していくという、現在も続くレイプ・リベンジというジャンルの原点であり、「悪魔のいけにえ」と並ぶアメリカ・ホラー映画の金字塔
「13日の金曜日」シリーズの製作者ショーン・S・カニンガムと「エルム街の悪夢」の監督のウェス・クレイヴンそれぞれの第一作、ニューシネマの末期に16ミリで撮られた低予算のB級ホラー映画だが、今から観るとスプラッター・ホラーの先駆といえる
「悪魔のいけにえ」より早くチェーンソーを使っているのも話題、物語の下敷きとなっているのはイングリッド・ベイルマンの「処女の泉」
《物語》
郊外に住むマリー・コリンウッドは17歳の誕生日を迎えた、一人娘として大切に育てられたマリーに父親からはネックレスのプレゼント 母親からはノーブラを咎められる
近所に住む仲良しのフィリスと森の中でガールズトーク、少女から女性へと体が変化をする年頃で話題は性のこと、2人は車に乗ってロックコンサートに向かった
その頃、白昼堂々と2人の殺人犯が脱獄して世間を騒がしていた、脱獄犯のクルーグ・スティローは神父と修道女の2人を殺し終身刑に服していた
もう1人はウィーゼル・ポドウスキーは子供への性的虐待暴行などの犯罪歴があった、クルーグの息子とクルーグの女セイディの手引きで脱獄を成功させた
コンサートの前にマリファナを買おうとして売人を捜しジュニアと呼ばれる男に導かれてあるアパートの一室に入った、そこには脱獄犯のクルーグとウィーゼル、そしてセイディがいた、危険と気付いた時には既に遅く、2人はナイフで脅されて囚われてしまった
翌朝、人質としてトランクに詰め込まれて移動、その頃マリーの両親は誕生日パーティの準備をしてマリーの帰りを待つが翌朝になっても戻ってこない
心配した両親は保安官に捜索依頼をして行方を捜してもらう、クルーグたちは車が故障し、その場に乗り捨てマリーとフィリスをトランクから出して森へと入る、マリーはそこが自宅近くだと気付いた、マリーとフィリスは森の中で服を脱がされ屈辱的な行為を強いられる
クルーグが車に道具を取りに行き、寒さの為に服を着ることを許された2人、隙を見て逃げたフィリスだったがウィーゼルとセイディを撒くがクルーグに捕まってしまい腹を刺されて内臓を取り出されて殺された
マリーはクルーグに胸にナイフで文字を彫られた上に激しく凌辱を受けて呆然自失
絶望したマリーは湖に入水自殺を図るがクルーグに撃たれて湖に沈んでしまった
夕方になり服を着替えたクルーグたちは近くの家に立ち寄り、車の故障で助けてほしいと頼むと出迎えた夫婦は快く受け入れてくれ食事を出してくれた
しかし罪の意識に苛まれるジュニアがマリーのネックレスをしていた事で夫妻はクルーグらの会話を盗み聞きして湖に駆け付けると瀕死のマリーを発見したが時既に遅く死亡した
彼らが何者で、マリーとフィリスが殺されたことを知り、夫妻は復讐を誓う、クルーグとウィーゼルを別々に誘き出して復讐を開始、血塗れの展開が始まった
《感想》
実のところ、おいら的にはそんなに好きな作品ではないんです、殺伐とした雰囲気は良いんですけど、テンポも悪くて所々で笑いがあるんですけどそんなのいらないです
せっかくの恐ろしい雰囲気が保安官がパトカーをガス欠にして延々と歩いてコリンウッド家に向かう場面は映画のテンポを殺してます、ヒッチハイクしたトラックの屋根に乗って落ちたりとギャグを入れてるのですが見ていて痛々しいもん、それになんで保安官は太ってるの?(笑)
それでもオープニングに実際にあった事件をモチーフにしているとテロップが入ります、脱獄犯が少女を乱暴して殺害なんて親なら耐えられないでしょう、それ以上に残酷なことをされていますもん
自分の手で死刑執行してやろうと思いますよ、その両親の復讐の仕方が強烈です、母親はウィーゼルを誘惑してそのままアソコを噛み千切ってしまいます
こんなのを見たら怖くてその行為自体を躊躇してしまいますよ、この母親が頭をグリグリ振って噛み千切りウィーゼルは絶叫して絶命、アソコを噛み千切られても死なないと思いますけど
父親はクルーグを殺そうとするのですが殴り合いでは敵わずチェーンソーを取り出して追い掛け回してシェービングクリームで転ばしたり感電させたりしてチェーンソーで殺します
逃げ出したセイディはプールに落ちて上がってきた所を母親がナイフで喉元をサックリと切ります、これがなかなか爽快なシーンです
このクルーグとウィーゼルとセイディが悪い奴の見本のような感じで悪い奴はどこまでも悪いですね、でも映画のワルは徹底的にワルであってほしいです、ビッチなセイディはクルーグの息子のジュニアの前でも裸になる女なんです
製作に後に「13日の金曜日」を撮るショーン・S・カニンガムと後に「エルム街の悪夢」を撮るウェス・クレイヴン、なんだか黄金コンビですね
でもこの2人は他にあまり代表的な作品はないような気がしますけどね、それでも「13金」も「エルム街」もホラー映画を代表するキャラクターが誕生してますもんね
クルーグを演じるデヴィッド・ヘスは本作以外にも、「ヒッチハイク」や「真夜中の狂気」などでも狂った男を演じています
犠牲となるルーシー・グランサムとサンドラ・カッセルも体を張って頑張っています、森の中で全裸にされてしまうのはなかなかですね、枝とかでケガをしてしまいますから、森の中で全裸は凄いね、寒さもあっただろうし辛い撮影現場だったでしょう
本作は2009年にリメイクされています、「ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 鮮血の美学」そちらも胸くそが悪くなる作品ですが出来は良かったです、リメイクとしては成功だと思います
監督ウェス・クレイヴン×製作ショーン・S・カニンガム それが『鮮血の美学』です。
レイプ・リベンジというジャンルを確立してその原点でもあります ホラー映画を語る上で外せない本作はやはり傑作なのでしょうね
更に過激な裏237号室の『鮮血の美学』のレビューはこちらです!