反撥 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『反撥』

 

 

 

 

 

1965年 イギリス

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 ロマン・ポランスキー

 

脚本 ジェラール・ブラッシュ

 

撮影 ギルバート・テイラー

 

音楽 チコ・ハミルトン

 

 

 

出演 カトリーヌ・ドヌーヴ/イヴォンヌ・フルノー/イアン・ヘンドリー/ジョン・フレーザー/パトリック・ワイマーク/ヘレン・フレイザー/ヴァレリー・テイラー

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

若きドヌーヴのニューロティックな演技が炸裂する傑作サスペンス!

 

ジェラール・ブラッシュの協力を得て「水の中のナイフ」のロマン・ポランスキーがシナリオを執筆、自ら監督した心理ドラマ、撮影は「博士の異常な愛情」のギルバート・テイラー、出演は「シェルブールの雨傘」のカトリーヌ・ドヌーヴ、「女ともだち」のイヴォンヌ・フルノー

 

ロマン・ポランスキー監督による第2作目の長編、ポーランドを離れてイギリスで撮影されたもので、彼のコスモポリタンとしての活躍の手始めとなった、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

美容サロンでマニキュアを担当するキャロル、昼休みにレストランで彼氏のコリンと会った、しかしキャロルの顔は曇ったまま、その理由は今夜、部屋に同居している姉のヘレンが彼氏のマイケルを部屋に呼ぶからだ

 

 

潔癖症のキャロルは洗面所にマイケルの歯ブラシがあるだけで嫌悪感が出て、それに部屋の壁のひび割れも気になる

 

 

部屋での食事の予定だったがマイケルの気分でヘレンとマイケルは2人で食事に出て行った、部屋にひとりぼっちのキャロルはいつの間にか眠ってしまった

 

夜中にヘレンの喘ぎ声で目が覚めたキャロルは男に対して奔放な性格のヘレンにも嫌悪感を募らせていく

 

朝になりマイケルが出て行った後にキャロルはヘレンに既婚者のマイケルとの不倫関係を咎めるがヘレンは私の問題だと言って取り合わない、ヘレンの乱れたベッドを見てますます嫌になる

 

 

その日の仕事を終えて帰り道で地面のひび割れをじっと見ているキャロルの前にコリンが現れ、夕食の約束を1時間も遅れていると怒っていると約束を忘れていたキャロル

 

 

キャロルは謝るが何だか不安定な様子でコリンに部屋まで送ってもらうが帰り際のキスを拒んでしまうが結局キス、キャロルの潔癖症は酷くなり男は嫌悪感の塊でマイケルの歯ブラシも捨ててしまう、その夜もヘレンの喘ぎ声で眠れないキャロル

 

 

翌日、ヘレンとマイケルが旅行に出掛け、キャロルは部屋に一人きり、仕事もぼんやりするようになり爪を噛んでしまう、部屋に戻っても食事の用意はするが食べない

 

 

そして電気のスイッチを入れると壁にいきなりひび割れを起こす、誰もいないはずなのに人影を見てしまう、遂には見知らぬ男が押し入って来てキャロルは乱暴されてしまう、しかしそれは全てキャロルの幻覚

 

 

仕事もできる状態ではなくなったキャロルを心配したコリンが訪ねてくるが強引に部屋に入ったコリンにキャロルはパニックとなる

 

 

壁のひび割れが酷くなり壁から手が生えてきて体を触られる、やがてヘレンとマイケルが帰宅するのだが…

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

初めて観た時はこの不条理サスペンスの意味が分からなくて混乱したものです、子供が観るには少し早すぎたのかもしれません、でも大人になって観たら凄くてやっぱり混乱しましたよ(笑)

 

可憐で美しいキャロルを演じるのがカトリーヌ・ドヌーヴでおそらく処女でそれでいて男性に対して極度の潔癖症で彼氏のコリンにキスをされたら後で歯磨きをするんです

 

 

それとは真逆で姉のヘレンは男性に対して奔放で男なら誰でも引っ張り込むイメージで、演じるのはイヴォンヌ・フルノーでマイケルとの不倫関係を楽しんでいるようです

 

 

しかしキャロルはこのヘレンの不倫相手のマイケルを嫌悪していて挨拶代わりにほっぺを触られるだけで怖い顔をするんです、まあ嫌いな男に触れられるのはもちろん嫌でしょう

 

 

その嫌悪感が募って真夜中に見知らぬ男に乱暴される幻覚を見てしまうんです、それも頭を押さえつけられてネグリジェを捲り上げられて後ろから強引に乱暴されるんです

 

他にもキャロルの心理を表したように壁にひびが入るんです、最初は小さなひび割れでキャロルもあまり気にしないのですが、ある時は電気のスイッチを入れると地震のような音がして大きくひび割れを起こすんです

 

 

更に男に体を触られる嫌悪感からか部屋の壁から手が生えてきてキャロルの体を触るんです、もちろん全てキャロルの幻覚なんですがその時のカトリーヌ・ドヌーヴの表情が良いんですよ

 

 

このキャロルのように女性の男性に対しての潔癖症や嫌悪感でここまで恐ろしくなってしまうものなのかと考えてしまいましたね、キャロルからしたら男はみんな彼女の体目当てに近づいてくる獣なんです

 

 

なのでキャロルは恐ろしい行動をとってしまうんです、モノクロの映像が光と影を強調していて更に不気味でもあります、それにカトリーヌ・ドヌーヴの美しさが最高の1本です

 

 

 

 

 

ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞 それが『反撥』です。

 

 

 

 

 

モノクロ映画だからと言って観るのを止めるのは勿体ないと思う作品です